軽度の弁膜症がある患者さんで不整脈が出始めている場合、その初期症状の可能性がありますが、初期症状と言ってもそれ以上進行しない症例も多くありますので、期外収縮が出ているからと言って、かならずしも弁膜症手術が必要となる前兆とは言えません。
期外収縮には上室性(おもに心房や洞結節などから発生する)と心室性があり、その波形から鑑別します。
心室性期外収縮の場合は、Monofocalといっていつも同じ波形の期外収縮で連発がなければ今は一日あたりの発生数が多くても臨床的に問題ない=予後は不良ではない、と言われています。筆者が医師となった時代は心室性期外収縮が多いと早死にすると言われていて、一日あたり発生数をホルター心電図で測定し、その数を減らすように抗不整脈薬を内服させていましたが、現在は連発が出る、または出た可能性があるような意識消失発作がある、または弁膜症や心筋症などの基礎疾患があるなどの条件があって初めて抗不整脈薬の適応となっています。致死的不整脈の可能性がある場合は、現在は抗不整脈薬よりも植込み型除細動器を設置するほうが一般的かもしれません。
上室性の場合は致死的不整脈に至る可能性は少ないので、抗不整脈薬や植込み型除細動器の適応となることはより少ないのですが、弁膜症の進行に比例して上室性不整脈が増加し、いずれ心房細動に至ってしまう可能性があるので、その場合は弁膜症手術のタイミングと考える場合があります。また、弁膜症など外科的治療の必要な原因がない場合で、発作性心房細動を起こした場合は抗凝固薬の適応となったり、カテーテルアブレーションを検討することになります。日本の場合は極端にカテーテルアブレーションをしたがる国、となっているようです。
期外収縮には上室性(おもに心房や洞結節などから発生する)と心室性があり、その波形から鑑別します。
心室性期外収縮の場合は、Monofocalといっていつも同じ波形の期外収縮で連発がなければ今は一日あたりの発生数が多くても臨床的に問題ない=予後は不良ではない、と言われています。筆者が医師となった時代は心室性期外収縮が多いと早死にすると言われていて、一日あたり発生数をホルター心電図で測定し、その数を減らすように抗不整脈薬を内服させていましたが、現在は連発が出る、または出た可能性があるような意識消失発作がある、または弁膜症や心筋症などの基礎疾患があるなどの条件があって初めて抗不整脈薬の適応となっています。致死的不整脈の可能性がある場合は、現在は抗不整脈薬よりも植込み型除細動器を設置するほうが一般的かもしれません。
上室性の場合は致死的不整脈に至る可能性は少ないので、抗不整脈薬や植込み型除細動器の適応となることはより少ないのですが、弁膜症の進行に比例して上室性不整脈が増加し、いずれ心房細動に至ってしまう可能性があるので、その場合は弁膜症手術のタイミングと考える場合があります。また、弁膜症など外科的治療の必要な原因がない場合で、発作性心房細動を起こした場合は抗凝固薬の適応となったり、カテーテルアブレーションを検討することになります。日本の場合は極端にカテーテルアブレーションをしたがる国、となっているようです。
とりあえず、筆者が最も信頼する循環器内科の先輩医師にも聞いてみて、その回答をトピックとして上げさせていただきます。
最近の日本国内では冠動脈治療を専門とするコロナリーインターベンション医よりもカテーテルアブレーションを専門とする不整脈インターベンション医の方が多いそうで、競争が激化していると聞いています。先日、他大学の循環器内科教授と話している時も、最近は不必要にカテーテルアブレーションをしたがる医者が多すぎて、厚生労働省から規制をかけると言われ始めているのでまずはガイドラインを作成してそれに準拠した適応で実施するような流れとしたいと言っていました。というのも、実際のところ冠動脈のインターベンションよりもカテーテルアブレーションの方が売り上げも利益率も、デバイスの価格も非常に高額で、病院もそれにぶら下がっている業者も儲かるからです(これは筆者の私見ではありますが、非常に的を得ていると思っていますし、現に筆者の病院でもカテーテルアブレーションの件数を増やすことが今後の病院経営に寄与するし、最終的には心臓血管外科の症例数を増やすとも思っています)。
さらに当施設でカテーテルアブレーションを専門としているいわゆる専門医にも同様に聞いてみたところ同様の回答で、20%以上の場合はカテーテルアブレーションを検討するのが一般的でそうすることで左室収縮力の改善が期待できる、ということでした。その報告があってから、心室性期外収縮に対する循環器内科の考え方が大きく変化し、薬物療法は依然としてやらない方向であることは変わりませんが、カテーテルアブレーションの適応が広がっているようです。自覚症状がある場合は20%以下でもカテーテルアブレーションを行なう場合があるそうです。
最後に筆者が最も信頼する循環器内科医に総合的な判断として、心室性期外収縮のカテーテルアブレーションの適応について相談しました。するとやはり、心室性期外収縮の患者さんにカテーテルアブレーションを行なうと左室収縮力が改善するということは証明されているので、左室収縮が低下しているまたは低下傾向にある、弁膜症や虚血性心疾患、心筋疾患などがない患者さんで20%異常の心室性期外収縮が出現している患者さんについては検討して良い、とのことでした。これは心室性期外収縮そのものが正常の収縮の直後に出た場合の心筋組織片の負荷、そして心室性期外収縮が出現したあとの次の収縮までの間の時間が長くなることによる、充満圧上昇が左室心筋に与える負荷が将来的に左室の収縮障害を起こすメカニズムによって心室性期外収縮に誘発される心筋症になり得るからと考えられ、実際にカテーテルアブレーションによって心室性期外収縮が消失すると左室収縮力が改善はするが、生命予後を改善するということまではまだ証明されていないので、左室収縮力が低下したり悪化傾向にある患者さんに限って実施を検討するのがいいのではないか、とのことでした。ほぼ同じ内容かもしれませんが、最も信頼している医師の第3案が最も妥当と思います。そのなかで、現在の心エコーデータについて詳しく説明を受けて、そのカテーテルアブレーションの妥当性について再度説明を受けてはいかがでしょうか?
今回のご質問をきっかけに筆者もたいへん勉強になりました。良い機会を与えて頂き感謝申し上げます。こちらも勉強したことを新しいトピックとして上げさせていただきます。
最近はオムロン携帯型心電計で利用していますが、私の場合は波形から見ますと、単発、単形、頻発性の心室性期外収縮で、連結期が一定の五段脈~六段脈が大半を占めているようです。したがって単純に計算しますと、ちょうど(連結期が一定なら6の逆数で)17%程度の期外収縮発生率になるのかなと考えています。
今後、薬物治療(アーチストとレニベース)でこの状態が改善してゆくのか、それとも左心室心筋組織への影響はやはり避けられず悪化傾向へ陥ってゆくのか、カテーテルアブレーションの妥当性と合わせて、再度の説明を慎重にお願いしてみることにいたします。
あらためまして、先生のご親切に心より感謝申し上げます。