黒猫文化会館

音楽と映画と珈琲と昼寝の生活

‘まる’の思い出

2020-06-22 15:24:00 | ほか

友人が猫を拾ってきた

片道二車線の大きな道路の真ん中で
車にひかれそうだったところを
車を降りて全力で走り救ってきた

友人は
こんなに全力で走ったのは
何年ぶりだろう
と言っていた

そこは街中だった

そのまま逃すにも
また、危険な目に遭うのではないか
ということで、拾ってきた

友人の行動力にリスペクトだ


猫は
とても大人しかった

寝て
食べて
また寝て
この繰り返し

鳴く事もなく
威嚇する事もなく
ただただ、ぐったり

弱っているのかな

段ボールのフタを開けていると
眩しいのか
古着に潜っていった

友人が
飼い主を探すといっていたので
もし、見つからなければ
うちで引き取ると伝えた

友人は、
もし飼い主が見つからなかったらどうしよう
と不安がっていたので
少しホッとしたように笑った


◇◇◇


夜、奥様と
この話で盛り上がった

飼うとしたらどこで飼うか
どうやって飼うか
たくさんシミュレーションした

残念なことに
僕が猫アレルギーの為
部屋を全て解放することは出来ない

勝手に
隣の父親の家で飼う事を視野に入れたり

奥様は
僕の作業部屋を猫の部屋にする為に
僕に説得に入ったり

旅行の時は
親戚が受け入れてくれるのか
などなど


もし
引き取るとしたら?

小さな命
かなりの覚悟を持って飼わないと
と…

時間が経つごとに
話は真剣になってゆく

時間が経つごとに
話は具体的になってゆく
引き取る気持ちになってゆく

名前も’まる’と決まった
丸まって寝ていたから
引き取ってもいないのに…

想像は止まる事がなかった

友人は2日後が仕事の休みということで
その日に飼い主を探す
と言っていた

もし、飼い主が見つからなかったら?

奥様も僕も
止まることなく‘まる’の事を考えた

考えれば考えるほど
想像は現実に近づいていった


◇◇◇


2日後
友人より’まる’を飼ってくれる方が
友人の奥様の伝手で見つかった
と連絡があった

奥様と僕は
名前を付けたからか
‘まる’への愛着も深まっていた

2日間
見つからなかったら’まる’を飼う
という現実に向かって
覚悟をする時間となっていた

結果
飼い主が見つかって
良かったという安堵な気持ちと
想像していた‘まる’と過ごす生活が
霧のようにフワッと消えたさみしさが
まるでコーヒーに入れたミルクの様に
混ざっていくような感覚だった


友人は’まる’を病院に連れて行き
検査をしたとのこと

‘まる’は足を骨折していた

引き取ってくれた方は
覚悟を決めて育ててくれるとのこと

安心した

これで良かった
そう思った

これで良かった
そう思うようにした


‘まる’の生きている時間には
なんの接点も影響もない所で
フワフワと何かを
言い聞かせるように
自分たちで言葉にしあいながら
納得しようとしている奥様と僕がいた



’まる’がんばれー










今日、車でかかっている音楽は、
ポーキュパイントゥリー
Arriving Somewhere But Not Here
のDVD





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