注文住宅の給湯器を考える!|アーキ・モーダ

代表の鈴木です。

本日は給湯器についてお話ししたいと思います。
お湯を作る設備、いわゆる「給湯器」について少し掘り下げていきたいと思います。

住宅設備の中でも給湯器は非常に地味な存在で、実際に注文住宅の打ち合わせにおいて給湯器にこだわるお施主様はほとんどおりません。

キッチンや食洗機、ユニットバスなどはじっくりカタログを見たりショールームなどで使い勝手やデザインを熱心に確認したりしますが、給湯器についてはカタログすら見たことない方が多いと思います。

「まあお湯を作るだけだし、普段あまり目にしない外部の外壁についてるだけなのであまり興味がないよ」というのが本音だと思います。

しかし給湯器はお湯を作る以外にも非常に大きな役割が期待できる設備です。

それは「省エネ」です。

住宅で計画されている設備の中で消費エネルギーが一番多いものはどの設備機器かご存知でしょうか⁉︎

それはズバリ給湯器です。

家庭内エネルギー消費量の画像

住宅における消費エネルギーの1/ 3が給湯に使われていると言われています。

住宅の省エネ化を検討する上ではさまざまな方法がありますが、給湯器の選定も省エネには大きな効果が期待できるのです。

電気で動く設備機器が多い中、給湯器の動力のメインはガスですからCo2削減のみならず、経済的な負担減にも繋がります。

それでは給湯器の役割や種類を見ていきましょう。

給湯器の役割

給湯器の役割はご存知「お湯を作ること」ですが、その他にも暖房設備を動かす役割も持っています。

それは主に「温水式床暖房」や「浴室暖房器」などです。

最近は「温水式床暖房」を計画される方も多いと思いますので、どのタイプの給湯器も暖房機能を備えた商品を取り揃えています。

給湯器の種類

【ガスふろ給湯器】

リンナイ 給湯器の画像
画像:リンナイのHPより引用

もっとも馴染みの深い給湯器だと思います。

ガスふろ給湯器は「従来型給湯器」と「エコジョーズ」という種類に分類されますが、今では「エコジョーズ」が主流になっています。

「エコジョーズ」とは、排熱を再利用することで給湯熱効率を高め、ガス使用量の削減を叶えるシステムです。

従来型と比べ、熱効率が80%→95%へ、ガス使用量は15%削減と謳われております。(リンナイ社のデーターより)

結果CO2の削減も可能となり、現在多くの住宅会社で標準採用されている給湯器と言えます。

車に例えるならば、昨今大排気量エンジンから排気圧を利用したターボユニットを装着するダウンサイジングターボエンジンに切り替えて性能と燃費を両立させることにも似ていますね。

ガスふろ給湯器のメーカーとしては「ノーリツ」「リンナイ」「パロマ」の3社でほとんど国内のシェアを持っていますが、どこのメーカーの給湯器を選んでも性能や機能面に大きな差異はありません。

給湯器の選び方として注目すべき点が2つあります。

それは給湯能力機能です。

給湯能力とは「号数」のことで、一般家庭用の給湯器だと10号、16号、20号、24号とありますが、一般的な4人家族を想定すると24号一択の選択となりますので悩む必要はありません。

目安として20号は2人家族用、16号はワンルームマンションやワンルームアパート用となっております。

次に機能でみると「フルオート」「オート」の選択があります。

なんの説明も聞かなければ、安価な「オート」タイプで不満はないと思いますが、「フルオート」と「オート」の機能の違いを調べてみると「フルオート」に魅力を感じる方もいると思います。

「フルオート」にしかない主な機能をまとめてみます。

  1. 【自動足し湯機能】:浴槽のお湯が設定水位より下がると自動的に足し湯を行う機能
  2. 【自動沸きあげ機能】:二番湯以降、浴槽のお湯の温度が下がった時に自動的に設定温度に沸き上げる機能
  3. 【配管自動洗浄機能】:浴槽の残り湯を排水する時に追い焚き配管を綺麗なお湯で洗い流す機能

オートタイプでも「足し湯機能」については風呂リモコンにある「手動ボタン」で実現できますし、「沸きあげ」についてもボタンひとつで可能なので、それほど困ることはないと思います。

浴槽の湯の量や湯の温度も家族間でそれぞれ好みがあるかと思いますので、「何でもかんでも自動である必要はないのでは?」と私は考えますがいかがでしょうか?

ただし、「フルオートタイプ」でしか選べない「配管自動洗浄機能」は魅力的に思えるかもしれません。

追い焚き配管は通常洗浄することはできませんので。

しかしながら今まで追い焚き配管の汚れが問題になったり健康被害が出たという話は聞いたことありませんが、気になる方は「フルオートタイプ」を選択されれば良いと思います。

「フルオートタイプ」と「オートタイプ」はそれほど大きな価格差がありません。

実売価格で給湯器本体1万円前後の差額ですので、あまり悩まずに選択できるのではないかと思います。(選択するリモコンによっては差額が広がることがあります)

価格はフルオートタイプのエコジョーズで税込15万円前後〜が目安です。

次にご紹介する給湯器は【エコキュート】です。

【エコキュート】

同じお湯をつくる目的の給湯器ですが、こちらの熱源は「電気」になります。

エコキュートはエアコンの室外機に似た「ヒートポンプユニット」とお湯を貯めておく「貯湯ユニット」で構成されています。

パナソニックエコキュートの画像
画像:Panasonic Webカタログから引用

エコキュートは、「ヒートポンプ」を使って大気中の熱エネルギーを回収、圧縮することで高温化しその熱でお湯をつくる仕組みになっております。

原理的には、電気エネルギーを「1」使って熱エネルギーを「3」作り出すことができるので非常に効率的で省エネであると言えます。

ガスふろ給湯器と比べて、およそ1/ 4の消費エネルギーの削減になりますので、ランニングコストも非常にお得となります。

ダイキン エコキュートの省エネの画像
画像:ダイキンのwebカタログより引用

また動力源が「電気」であるため「オール電化住宅」や「太陽光発電」との相性も良く、昼間に太陽光発電で発電した余剰電力でエコキュートを動かすことで、より省エネ効果を得ることが可能です。

価格と省エネ効果のバランスも良く、現在ZEHでは一番多く使われている給湯器であると言えます。

また昨今注目を集めている「災害対策」においてもガスふろ給湯器にはない魅力があります。

エコキュートは貯湯タンクがありますので、非常時において貯湯タンクよりお湯や水を取り出すことができます。

取り出せる生活水の量はおよそ2〜3日分と言われていますので、災害時の断水時には非常に重宝するのではないでしょうか。

エコキュートの選び方の注目点は「タンク容量」「機能」ということになります。

ガスふろ給湯器でお話しした「号数」が「タンク容量」だと思えば選び方の基本はガスふろ給湯器とさほど変わるわけではありません。

「タンク容量」は一般住宅用で考えると「370L」と「460L」の選択が一般的ですが、このタンク容量に関してはエコキュートの場合は悩みどころです。

なぜならメーカー公表の目安だと「370L」の場合で想定使用人数は3人〜5人、「460L」で4〜7人となっており、一般的な4人家庭ではどちらを選べばいいのか?と悩むわけです。

大は小を兼ねるという発想でいけば「460L」となるのですが、タンクの高さが容量の差分460Lの方が大きくなりますし、価格差も定価で9万〜10万円ほど差があります。

家族の人数も生涯4人であり続けることもないわけですので、将来のライフスタイルまでよく考えて無駄のない選択をされれば良いのではと思います。

「機能」については、ガスふろ給湯器と同様に「フルオート」と「オート」が選択できますが、主な機能差についてはガスふろ給湯器と似ています。

エコキュートについても「自動ふろ配管洗浄機能」はフルオートだけの機能なのでここに魅力を感じるかどうかが決め手になりそうです。

非常に魅力的に感じるエコキュートですが、設置に関してはいくつかの注意点があります。

1.【設置スペースの確保】

ガスふろ給湯器と違い、エコキュートは「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」がセットとなり、それなりの設置スペースが必要となります。

メンテナンススペースを考慮した設置スペースとしては、幅で約2mほどのスペースが必要で、奥行きについては通常タイプで有効70㎝、薄型タイプで有効50㎝は必要なので都心部の狭小地ですとなかなか設置スペースを探すのに苦慮すると思います。

2.【騒音トラブル】

エコキュートに関するトラブルで一番多いのは「騒音問題」があげられます。

エコキュートは電力の安い深夜電力を使って稼働させることが多いのですが、その際にヒートポンプの作動音(低周波音)が不快な振動音として近隣へ伝わることがあります。

エコキュートを製造しているメーカーでは設置の際の注意喚起として、隣家の寝室の近くや自邸の寝室の近くには設置しないように求めておりますが、以上を考慮しながら必要な設置スペースが確保される場所を探すのも一苦労かと思います。

最後に価格についてですが、材工で税込65万前後が目安です。

各市区町村単位で、わずかですが補助金が設定されている場合がありますので、よく確認してみることをお勧めします。

またエコキュートは「グリーン住宅ポイント制度」の対象商品となっております。

【エネファーム】

エネファームとは、ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気をつくるシステムで、その時に発生する熱でお湯をわかすことができる製品です。

このためエネファームを稼働させる熱源は「ガス」となります。

発電しながらお湯をつくることでエネルギーを有効活用できることから省エネにも大きく貢献します。

エネファームで発電した電気は家庭内の照明器具や家電などに使用し、発電時に発生する排熱でお湯をつくるイメージなので、もはや給湯器というよりも「家庭用燃料電池=小さな発電所」と呼ばれています。

他のガス暖房設備(温水式床暖房や浴室暖房器)とも相性がよく、太陽光発電と組み合わせれば、「太陽光発電+エネファーム」のダブル発電効果により、ZEHにも非常に相性の良い設備と言えます。

ガスがメインの動力源のため、ランニングコストのガス代は上がりますが電気代は大幅に削減できることでトータルでランニングコストの削減が期待できるのが「エネファーム」の特徴です。

エネファームの省エネ説明画像
画像:東京ガスHPより引用

またエネファームを使用するとお得なガス料金も用意されています。

エネファームを供給しているのは東京ガスですが、製造メーカーは「パナソニック」「京セラ」「アイシン」などがあります。

↑画像をクリックすると拡大表示されます。

エネファームは、エコキュートと同じような大きさがありますので、設置スペースの確保は要注意です。

価格は「エコキュート」よりもかなり高くなり、材工で税込150万〜が目安になると思います。

こちらも各市区町村単位で、補助金が設定されている場合がありますので、よく確認してみることをお勧めします。

【ハイブリッド給湯器】

給湯器の中でも、電気とガスの両方を動力源とする「ハイブリッド給湯器」というものがあります。

ノーリツでは「ユコア HYBRID」 リンナイでは「ECO ONE」という商品が代表的です。

システム構成としては、「ヒートポンプユニット」と「ガス給湯器(エコジョーズ)内蔵型貯湯タンク」になっており、見た感じはエコキュートのシステムと似ています。

ハイブリッド給湯器の画像
画像:リンナイwebカタログより引用

エコキュートとの最大の違いは、タンク容量に左右されず「湯切れ」を起こさないという安心感です。

通常使用するお湯は「ピートポンプ」で沸かしタンクに貯めた湯を使い、お風呂の湯はりや複数の蛇口から同時給湯など大量にお湯を使うときはタンクのお湯に加えタンクに内蔵されたガス給湯器(エコジョーズ)で必要な湯量をサポートします。

電気で稼働するピートポンプの省エネ性と、ガスのパワーとスピードを生かした「いいとこ取り」の給湯器と言えます。

また、万一の災害時においても電気かガスのどちらかが供給されていればお湯を作り出すことができますので、より安心感が高い給湯器と言えます。

お湯を作るのに「電気」と「ガス」の両方を使うので省エネになるのか!?

という疑問があると思いますが、エコキュートよりもさらに省エネでランニングコストも削減できると言われています。

ガスの消費量は、エコジョーズより85%も少なく、電気はエコキュートより45%少ないと言われています。 (リンナイの公式データーより)

ハイブリッド給湯器 省エネの画像
画像:リンナイのwebカタログより引用

普段の生活スタイルでよくお湯を使うご家庭や、大人数の家族構成の場合は特におすすめの給湯器です。

ハイブリッド給湯器は太陽光発電や温水式床暖房との相性も良好なシステムです。

特に太陽光発電で発電した昼間の余剰電力で、ヒートポンプを運転し自家消費できますので、「エネファーム」同様さらに省エネの恩恵を受けることが可能です。

設置スペースの条件は「エコキュート」とほぼ同じで、幅で2m、奥行きで有効55㎝ほど必要となります。

価格は、材工で税込100万くらいが目安です。

まとめ

代表的な4種類の給湯器をご紹介してきましたがいかがでしょうか!?

住宅設備の中でも給湯器はなかなか面白い存在です。

給湯器はデザインで勝負できない分、機能や省エネ性をとことん追求して様々なアプローチから商品化されています。

昨今、住宅の省エネ化は避けては通れない命題となっておりますが、あらためて給湯器にも注目してみても良いのではないでしょうか!?

住宅の省エネ化において、給湯器の選択によって効果が大きく変わりますので!

それではまた。

2021.05.31

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