【空港情報】2025年春 迷走する関西空港 なにかと不便になっています 

はじめに

2025年3月27日、関西空港第1ターミナルの国際線出発エリアがリニューアルオープンするそうですね。新規ラウンジのオープンも予定されていて、大阪万博のオープンを控えて大々的に情報発信されています。

季節は春休みシーズンに入り、空港利用者は増えています。コロナ禍以来あまり旅をしていなくて、久しぶりに関西空港を利用する方もいらっしゃるかもしれません。残念ながら、近年の関西空港は利便性が低下傾向で、「こんなはずじゃなかった」というトラップもあるかもしれません。この5年は改悪の一途をたどっています。順番に見ていきましょう。

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国際線出国後エリアの動線が改悪

国際線出国後エリアは2023年12月に一度リニューアルされています。この際、ゲートに向かう動線がかなり悪くなっています。

リニューアル前の国際線出発エリアは、「シンプルで機能的」でした。出国後すぐの3階中央エリアから徒歩すぐの場所にウイングシャトル乗り場があり、南北の出発ウイングに素早くアクセスできました。

国内線も保安検査後すぐ目の前にゲートがありました。羽田空港ほどコンパクトではありませんが、成田空港(特に第2ターミナル)より動線が優れていたと思います。

2022年の関西空港国内線エリアの改修で、国内線はターミナル南側~南ウイングゲートに集約されました。以前は保安検査後すぐ目の前に出発エリアがあったのに、ゲートへの移動時間が延びました。特にJAL系のゲート38~41までアクセスするのに10~15分くらいかかるように。

2023年のリニューアル後の動線では、出国審査後に3階の中央エリアに出たあと2階に降りる必要があり、直接ウイングシャトル乗り場に向かうことができなくなっています。

そのあと、免税店街を通り抜ける必要があります。これは2025年3月のリニューアルでも変わらないようです。国際線搭乗客が多くの荷物を持って歩くのは、苦行ともいえるでしょう。免税店を通るのは、できるだけお金を落としてもらいたいから。顧客ファーストではなく、経済論理ファーストですね。

週末は駐車場が満車 リムジンバスは減便のまま

コロナ禍が一段落した2024年以降、空港島内の駐車場がかなり混雑してきています。コロナ禍以前は、年末年始やお盆でもなかなか満車にならなかったのですが、2025年現在、週末は常に満車あるいは平面駐車場の一部しか空いていない状態です。

通常の駐車場が満車になるので、第2ターミナル国際線ターミナル脇の臨時駐車場が運用されることが多くなっています。第1ターミナル利用者にとってはかなり不便な状況です。

臨時駐車場の方がP6駐車場よりターミナルビルに近いので便利なのですが、臨時駐車場はP6が満車にならないとオープンしません。

ちなみに、伊丹空港は平日でも常時満車に近い状態です。単純にフライト利用者が増加しているから、ひいてはインバウンドの影響と考えられます。羽田空港で駐車できずにフライトに乗れないことがあるとニュースになっていましたが、関西空港もあまり状況が変わらなくなってきています。

りんくうタウン、泉佐野、日根野駅周辺の駐車場(ただし、タイムズなどの時間貸駐車場は48時間以上の利用は対応していません)、空港送迎型の車預けサービスなどの利用の検討が必要です。

空港側は公共交通機関の利用を推奨していますが、関西空港のリムジンバスはコロナ禍の減便から以前の水準に戻っていません。伊丹空港ー関西空港線が最も顕著で、1日6~7便しかありません。他の路線も、地方便を中心に減便状態が続いています。

以前、関西空港は一部のタクシー会社のリムジン送迎を公式サイトで紹介していましたが、2025年現在中止しています。

また、関西空港へ向かう鉄道も、深夜は運行していません。特に、早朝便の利用は難しく、前泊が必要なります。ホテル日航関西空港のように駐車場長期無料利用サービスを実施しているところもあるので上手に利用する必要があります。

公共交通機関は使いたくても使えず、やむを得ず車を利用すると駐車場が満車ばかりという、悲惨な状況になっています(伊丹空港も程度の差はありますが似た状況です)。今や、関西空港はインバウンド用の空港といっても過言ではありません。

さすがに臨時駐車場まで満車になることは、年末年始などの繁忙期以外では少ないです。第1ターミナル利用者は移動に時間がかかるので(第1ターミナルの駐車場より30分くらい余計にかかる)注意しましょう。

KIX-ITMカード:搭乗記録の事後登録廃止

関西空港便利用者はKIX-ITMカードに搭乗記録を登録するとポイントが付与されます。ポイントは駐車料金やマイルに還元できるのでとてもお得なサービスです。

2025年2月まで、搭乗記録の登録は後日でもOKでした(ずっと以前はエアサイドエリアでの登録が必須でしたが、登録機に列ができて不評だったので後日のオンライン登録が可能になっていました)。

2024年ごろから、保安検査場と搭乗口の機械が変わり、保安検査証などが発行されなくなったため、搭乗記録の後日登録に支障が出てきたようです。2025年3月以降、搭乗記録の事後登録ができなくなりました。フライト利用時に忘れずに登録機に並んで搭乗記録を付ける(仮登録する)必要があり、面倒になりました。

今回の改定で、以前のように列に並ぶ必要があります(空港内機械での手続きは比較的簡略化されています)。その分、搭乗前後に時間が必要になります。まあ、搭乗前に関していえば、最近の関西空港便は遅延が常態化しているので(特に羽田便と那覇便)、問題ないとも言えますが(皮肉な話です)。

国内線フライト遅延が常態化

2024年以降、関西空港の国内線遅延が常態化しています。主に羽田空港混雑が影響していますが、関西空港側にも多少要因があります。就航便が増えてB滑走路が常用されるようになっていますが、離着陸前後のタキシング時間が長くなっているのも原因だと思われます。

朝から夕へと時間が進むにつれて遅延時間が加算されてきます。羽田の場合、昼以降の便は「遅延が当然」といった状況になっています。羽田空港では、夜になると伊丹空港、福岡空港など、門限のある混雑空港の便が優先される傾向にあるので、関西空港、千歳空港便などに影響が出やすいです(千歳や那覇空港もかなり混雑しているようです)。

羽田発が遅れるので、復路になる羽田着便も遅れます。遅れるのがわかっていても、たまに定時出発するので(笑)、早めに空港に向かう必要があります。

2時間以上前から遅延を宣言しておいてくれれば対応しやすいのですが、多くの場合40分前くらいになって(搭乗機がゲートに到着したタイミング)やっと遅延の案内が出ます。というか、出発時刻の30分前にゲートに機材が到着していなければ、どうやっても定時出発は無理です(なのに遅延の案内がなかなか出なかったりする)。このへんの問題は、空港や航空会社側にも改善の余地がありそうです。

最近は、フルサービスキャリアもLCCと同じように出発準備時間を短くしがちなので、遅延に拍車がかかっています。そもそも到着から出発まで30~40分という設定は無理筋なのかもしれません。

国内線プライオリティ・パスの利用制限

これも関西空港が悪いわけではありません。2024年下半期から各社一斉にクレジットカード付帯プライオリティ・パスの利用制限が発表され、ほとんどの方がレストラン店舗でプライオリティ・パスの利用ができなくなりました。

関西空港の国内線エリアにある「ぼてぢゅう」もプライオリティ・パス対象のレストラン店舗でしたが、多くの方が利用対象外になったため、プライオリティ・パス客用のエリアが徐々に閑散としてきています(利用できても一人客という状況が多い)。

そのため、対照的的に大混雑になっているのが「KIXエアポート カフェラウンジNODOKA」です。こちらはラウンジ扱いなので、プライオリティ・パスの利用制限を受けません。お食事やシャワー利用もできるので、今までぼてぢゅうを利用していた客を吸収し、受付に長い列ができることもあります。

2023年ごろは閑散としていたラウンジ内は、半個室タイプの席はすぐに埋まり、フリーエリアに多くの方が滞在するようになっています。シャワールームの利用待ち時間も長くなっています。

国内線手荷物受取所も混雑

関西空港の国内線手荷物受取所は、コロナ禍前は4ヵ所ありましたが(もっとあったかも)、開港当時の見込みより就航路線が少なかったこともあり、国際線エリアリニューアルのために縮小され3ヵ所になっています。

手荷物受取所は、慣習的に、JAL系(JTA含む)、ジェットスター系、ANA系(スターフライヤー含む)の3者で3ヵ所を割り振っています。羽田便の遅延などでフライトの到着が集中すると、手荷物受取所の順番待ちが発生します。

もっとも混雑しがちなのは便の多いANA系です。21~22時の到着便が集中する時間帯に、20時台の便が遅れて到着するとなかなかのカオス状態になります。1ヵ所はジェットスター便、1ヵ所はJAL系便の受け渡しが行われる中、ANA便が4便くらい到着が集中すると、便が到着してから受取開始まで30~40分くらいかかることもあります(実際に受け取れる時間はさらに遅くなります)。

必ずしも受取所のエリア分けが決まっているわけではないのですが、ジェットスター便の受け取りが終わるまで待って、エリアがあいたのでANA便が割り振られるといった具合です。20分くらい後に到着したJAL便の受け取りの方が早くなったりします。

関西空港は千歳や那覇などのリゾート路線が多いので、預け入れ荷物は多くなりがちです。到着便が遅れ、さらに手荷物受取で30分以上待ち時間が発生し・・・絶望的な心理状況になります。

これらの事由により、第2ターミナルのピーチ便の方が荷物に関してはスムーズと感じることもあります。

まとめ

2025年3月現在、国内線遅延の常態化、空港アクセス手段不良、インバウンド急増などの要因が交絡して、関西空港が不便になってきています。あまり改善に向けた動きもなさそうです。

最近良くなったことを考えてみましたが、国際線エリアの店舗数が増えたくらいでしょうか。価格はインバウンド価格に跳ね上がっていますが(笑)。ホテル日航関西空港の朝食料金が下がったのが唯一の改善です(あまり大勢に影響がない話ですが、関西エアポート経営のホテルです)。

大阪万博の窓口として期待される関西空港ですが、万博開催前からこの状況なので、実際に始まると、とんでもないことになりそうです。少なくとも、「関西空港は便利でおすすめ」とは言えませんね。現時点でも、万博に行くにはどうした方がいいと訊ねられたら、「国内線なら伊丹空港がおすすめ」あるいは「鉄道を使った方が」とアドバイスするでしょう。

国際線の場合、出国後ゲートまでの動線が非常に長くなり、利用回数が多い方ほど面倒に感じるようになっていると思います。今まで2分で動けたところが10分以上、出国後ゲートまで30分はみておく必要がありますから、かなり余裕をもって行動する必要があります。2025年のリニューアルでもメインの動線は変わらないようです。

国内線は、遅延するのが当たり前と思って利用しましょう。ただし、空港内駐車場が満車のこともあるので、車利用者は満車時の対策を念頭に行動しましょう(というか、空港の駐車場をあてにしない方がいいです)。関西空港着便も多くの場合遅延するので、予定到着時刻の30分以上あと(平均して1時間後くらい)の電車・リムジンバスを利用することになると思っておくといいです(そのリムジンバスの本数が以前より少ないんですよねえ・・・)。

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