【国内鉄道旅】バス?それとも鉄道? 専用線も一般道も走る 名古屋市の新交通システム「ゆとりーとライン」(ガイドウェイバス志段味線)

はじめに

今回は名古屋の新交通システム「ゆとりーとライン(ガイドウェイバス志段味線)」を紹介します。大曾根~小幡緑地の9駅6.5kmを走行する鉄道(軌道)です。名古屋ガイドウェイバスと名古屋市交通局によって運営されています。

スポンサーリンク


ガイドウェイバスとは

見た目はどう見てもバスで、小幡緑地から先は一般道も走行しますが、専用路線走行中は鉄道に分類されます。車輪の案内装置がガイドレールに接することにより、走行が誘導されるシステムです。地下鉄と異なり、ガイドレールから電力を受けるわけではありません(普通のバスと同じくディーゼルエンジンです)。

似たような交通システムに、トロリーバス、レールバス、DMV、BRTがありますが、いずれもガイドウェイバスと異なります(法的にはトロリーバスと同じ扱いですが)。

紀州鉄道 キテツ1形(現在は引退)

バスのような鉄道といえば「レールバス」とよばれる車両がありますが、ガイドウェイバスはレールバスではありません。レールバスとはバスをベースにした車体に車輪を付けて線路を走行できるようにしたもので、製造コストが安いメリットと、大量輸送に向かないデメリットがあります。レールバスはれっきとした鉄道車両で、一般道は走れません。

鉄道とバスを兼ね備えた存在といえばDMV(デュアル・モード・ビークル)という車両もありますね。日本では阿佐海岸鉄道で導入されていて、線路と一般道の両方を走行できます。DMVは鉄道モードで線路を走りますが、ガイドウェイバスは鉄道モードでも線路を走りません(ガイドレールを走る)。DMVは金属車輪とゴムタイヤを使い分ける必要があるので繊細な運用が必要とされ、故障による運休も多くなります。

専用路線を走るバスといえばBRT(バス・ラピッド・トランジット)が有名です。鉄道廃線後に線路を撤去してアスファルトで舗装し、バス専用路線にする方法です。定時性が確保され一般道にも乗り入れることができる点はガイドウェイバスと同様です。BRTはバス車両が運行するので専用路線でもバスですが、ガイドウェイバスはガイドレールに沿って走行する鉄道になります。

ゆとりーとラインは日本で唯一のガイドウェイバスです。法的にはトロリーバス(無軌条電車)と同じ扱いだそうです(電気で動かないけど)。トロリーバス同様に、走行にはバスの免許だけでなく鉄道免許も必要になります。日本のトロリーバスは2024年に全廃されたので、唯一のトロリーバスでもあります。

大曾根駅から4路線が運行しています。大曾根~小幡緑地は専用路線を走行する鉄道扱いで、小幡緑地以遠は一般道を走行するバスになります。同じ車両で直通しますが、鉄道区間とバス区間で運営母体が異なるので、料金体系も変わります。大曾根→ナゴヤドーム前矢田は200円、大曾根→小幡緑地は250円なのに、大曾根→竜泉寺口は320円に跳ね上がります。

大曾根~小幡緑地が専用路線を走行するのは、一般道の渋滞を回避して定時性を確保するためです。もちろん、大曾根行きの場合は一般道走行後に専用路線に入るため遅延の恐れがありますが、小幡緑地以遠はあまり渋滞しないようです。

この路線が真価を発揮するのは、ナゴヤドームでのイベント開催時です。便数を増発し、需要に応えることが可能です。専用路線なので渋滞しないのがメリットです。

大曾根駅から小幡緑地駅へ

ゆとりーとラインの起点は大曽根(おおぞね)駅です。JR中央本線、名鉄瀬戸線、名古屋市営地下鉄名城線が乗り入れるターミナル駅です。ゆとりーとラインも鉄道扱いなので、停留所ではなく駅になります。JR線のホームは他の鉄道駅から離れているので、乗り換えに時間がかかります。

ゆとりーとラインの駅舎は、名鉄駅や地下鉄駅の目の前にあります。高架路線なので、高架駅です。エスカレータで上に昇ります。

エスカレータから降りると、改札のような区画がありますが、基本的にバスと同じ清算方式(車内で支払いあるいはICカードタッチ)なので、立ち止まらずに進んでいきましょう(混雑時は改札で清算することもあるらしい)。

ホームです。路線によって、並ぶ列が①と②に分けられています。反対側のホームは降車専用です。

大曽根駅は始発駅で、その手前部分は車両が転回したり、駐車したりするエリアになっています。このあたりはバスっぽいですね。

ホームからバンテリンドーム側は、車両の走る路線になります。ガイドレールに沿って車両は進むことになります。

出発時間になり、車両が入選してきました。うーん、どう見てもバスですね。

乗車時に整理券を取るか、ICカードをタッチします。後乗前降です。降車時は降車ボタンで知らせます。まあ、バスですね。

出発すると、右側にナゴヤドームが見えます。

約13分で、鉄道路線の終着駅「小幡緑地」に到着します。

小幡緑地駅でバス路線へ転換

小幡緑地駅より先は、なだらかに下っていきます。一般道に合流します。右手に見えるのが小幡緑地です。

高架路線が地上に降りると遮断機があり、ここで鉄道とバスの運用がスイッチします。

小幡緑地駅より80mくらい東にある竜泉寺口交差点で一般道に入ります。ここではバスモードです。

専用路線への侵入口は、一般車両や人の侵入が禁止されています。

広域で見るとこんな感じです。

竜泉寺口のバスー鉄道転換エリアに名古屋ガイドウェイバスの本社があります。名古屋市が筆頭株主の第3セクターです。ここから東のバス路線は、名古屋市営交通局の運行になります。

小幡緑地駅は小幡緑地の入り口になっています。

高架駅で、エレベータもあります。

実は、ゆとりーとラインと並走する道路に沿って、路線バスが運行されています。大曽根駅方面に向かうバスもあり、路線バスの方が停留所が多く時間がかかります。

ゆとりーとラインは、小幡緑地より先、春日井市のJR高蔵寺駅まで行くことができます。この地域の路線バスは北にある庄内川で南北に分断されていて、JR勝川駅方面にバスで行くことはできません(JR新守山駅には行けるので、鉄道路線に乗り継ぎなります)。

小幡緑地駅構内に戻ってきました。高蔵寺駅方面に行く用はないので(高架路線を乗りに来ただけ)、大曽根駅に戻ろうと思います。ほぼ遅延なしで車両が到着し、スムーズに大曽根駅に戻ることができました。

まとめ

2025年に乗車したゆとりーとライン(名古屋ガイドウェイバス)の紹介でした。見た目はバスだけど実は鉄道で、一般道に出るとバス扱いという、かなり珍しい交通システムです。

運行本数が多く、乗客も多数いらっしゃるため、今後の発展も期待されます。名古屋訪問の際に、一度は乗ってみるのも面白いと思いますよ。

シェアする

フォローする