ロングトレイルの旅   関東ふれあいの道一周

1都6県をつなぐ自然歩道「関東ふれあいの道」1800Kmを一周するりゅうぞうのブログです。

野反湖、旅の終わり ぐんま県境稜線トレイル(最終回)

 

 

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(写真:野反湖の青)

どうぞ読者に!⤵

みなさん、こんにちは。

(;゚Д゚)ノ

ぐんま県境稜線トレイルの旅の続きです。

前回は、ムジナ平を後にし、笹薮地獄を抜けて、再び県境稜線に立ったところまで書きましたね。

前回の旅はコチラ⤵

道が不明瞭な笹薮を過ぎ、ようやく道標も立つ尾根道に出ました。

しかし、緊張が解けたせいか、再び足裏に激痛が。

何とか濡れないようにケアしてきたのですが、朝から延々と続く藪漕ぎですっかり元の木阿弥となり、足はふやけ切ってしまいました。

足裏のしわがますます深くなり、しわ同士が擦れ合って、とても痛い・・

しかし、ぐんま県境稜線トレイルは、まだ全体の半分も進んでいません。

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計画では、今夜は赤石山のふもとで野営する予定でしたが、それはもう不可能。

今日中に野反湖までたどり着かないことには、旅が続けられません。

そこまで出れば、キャンプ場もあるし、バス停だってある。

とにかく、前に進まなくては!

ということで、2019年8月12日、トレイルの旅3日目の続きです。

 

遠い遠い尾根

笹薮を脱し、見晴らしの良い尾根に乗ると、改めて感じるこのトレイルの長さ。

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地図を見ると、恐らくここはムジナ平の北にある、大黒の頭という場所です。

ここから白砂山までの稜線には、5つのピークが存在しています。

上ノ倉山忠次郎山前沢山上ノ間山猟師ノ尾根ノ頭の5つ。 

そして、白砂山から野反湖までには、猟師ノ沢ノ頭、堂岩山、地蔵山と、さらに3つのピークを越えなければなりません。

 

ぼくが持っている「2017年度版 山と高原地図」には、白砂山から野反湖までのルートしか記載されていませんが、この区間のコースタイムは3時間10分。

ここから白砂山まではルートの記載がなくコースタイムがわかりませんが、地図を見るかぎり3時間はかかると思われました。

現在時刻は10時20分

そうすると、野反湖までは約6時間

ただしこれは休憩の時間を含んでいませんから、これに+30分

いや、疲れているからもう少し休んでしまうかも・・・・じゃあ+1時間

そうすると、到着は18時前になると予想。

8月なので19時過ぎまでは明るいですが、やはりこの到着時刻は心もとない。

 まして、足の裏が痛くて普段のようには歩けない状態です。

これは、ゆっくりしてはいられない!

(;゚Д゚) 焦る・・・!

 

ということで、とにかく前へと進みます。

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なんだか再び笹が深くなってきた気がしますが、道はついてる。

足は痛いけれど、早足で行く!

 

笹薮が深く・・・・気のせいだ!

どんどん行くぞ!

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・・・もしかして、また笹薮地獄がやってくるのでは?

いやいや、そんなことはない!

弱気になるんじゃない!

どんどん進もう・・・!

 

( ;´Д`)ひえー

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こうなるとさすがに、速度を落とさなければいけません。

道に迷ったら、元も子もない。

焦る気持ちを抑え、慎重に進みます。

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尾根線は、何があっても外さない!

足もとには、見えにくいですが、刈り取られた道の跡が残っています。

それでも、ところどころ不明瞭な箇所は、愚直に尾根をたどります。 

少し眺望のきく場所に出ました。

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雄大な稜線が南にくだり、そして緩やかに西へと伸びています。

一番右の、一番高く見えるピークが白砂山でしょうか・・・

( ;´Д`) 遠いっ!

本当にあんな場所までたどり着けるのか、という気になってくる。

さらに白砂山から先、野反湖までは3時間もかかるのです。

いかん、また弱気になってきました。

嘆いている暇はない、先に進まなければ!

 

そうするうちに、再び道が明瞭になり、道標の立っているピークに出ました。

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道標の柱に「前沢山」と書いてあります。

とすると、白砂山までは、上ノ間山と、猟師ノ尾根ノ頭の2つのピークを越えればいいだけだ!

時刻は11時40分だったので、大黒ノ頭からは1時間20分かかりました。

これは見積よりも少し早いペースです。

よし、この調子を維持しよう!

 

白砂山に登る

 と、思った矢先に、再び急な登りが立ちはだかります。

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なんだ、こんな坂!

(;´Д`) うおー!

足は痛いけど、ガシガシと登っていく!

登りきると、植生が低木の密林に変わりました。

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密生するシャクナゲが、その鞭のような枝で行く手を阻みます。

腕でかき分けながら突進!

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再び道が分かりくくなってきた!

しかし、道跡はついています。

外さないように注意しましょう。

このあたり、地形が複雑で、道迷いしやすい地形です。

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右が新潟県、左が群馬県

しかし、まだまだ遠いなぁ・・・

この稜線を下り、そして登り返すと、上ノ間山に到着しました。

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時計を見ると12時30分。

左側がもと来た稜線方向ですが、いつのまにかガスに覆われていました。

そして、右側の白砂山方向にも、薄く雲がかかり始めています。

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白砂山はもう目と鼻の先、がんばろう!

幸いにも、ここからは、よく整備された見晴らしの良い道に変わります。

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稜線に沿って、遠くまでハッキリ道が見て取れます。

これは一日中笹薮地獄に苦しんだ身としては、嬉しい限り。

白砂山が近づいてきてこともあって、気持ち的には少しゆとりも出てきましたが、同時に足の痛みもひどくなってきます。

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広々として気持ちのいい尾根です。

ただ、足がとても痛くなってきました。

白砂山に到着したら、10分ぐらい休んでもいいかな。

しかし、思ったより、白砂山までが遠い。

小さな登り下りが延々と続き、それを繰り返すたびに気力と体力が失われていく。

足の痛みはさらにひどくなってきて、次第に耐えきれないほどになってきました。

それでもまだ続く登りと下り・・・

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だんだんと足を前に出すのが苦痛になってきます。

足裏が地面に触れるたびに、激しい痛みが。

;つД`) ううっ・・・

そしてさらに続く長い道。

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気持ちがいいはずの広い尾根道も、もう楽しむ余裕がありません。

そしてまた登り。

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一体この尾根はいつまで続くんでしょう。

執拗に続く尾根沿いの登り下りが、たまらなく辛い。

もう、半ば目をつぶり、何も考えないで歩き続けます。

止まって休みたいのですが、止まるともう歩く気力がなくなりそうなのが怖い。

とにかく先へ進みましょう。

 

そして、13時45分、とうとう白砂山に到着・・・

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野反湖 もう歩けない

白砂山の山頂には年配の男性が一人いて、ぼくが現れると驚いた表情を見せました。

この方向から歩いてくる人間がいるとは、思っていなかったのでしょう。

ムジナ平方向へと続く道の入り口には、三坂峠で見た注意書きと同じ看板が立っていました。

さらによく見ると、朽ちて倒れた看板があり、「稲包山方面には登山コースがなく、立ち入ると遭難の恐れがあり大変危険」と書いてあります。

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もちろん今では、ぼくが歩いてきたように道が整備されているのですが。

 

山頂には腰を掛けて休めるベンチがありました。

倒れこむようにして、そこに座ります。

ザックを下ろし、靴と靴下を脱いで、目をつぶる。

靴下を替えたいのですが、もう新しい靴下がありません。

ここから野反湖までは、あと3時間の道のりですが、果たして足が持つでしょうか。

 

10分ほど眠りました。

いつもなら、ほんの少しでも眠ると体力が戻り元気が出るのですが、今回は回復を感じられません。

もう3日も歩き続けて、今日は朝4時から10時間、ろくに休息も食事もとっていない。

足の痛みも相まって、体力・気力の減退がひどい。

こんなことは珍しいです。

いつもなら、どれだけ疲れていても、心の片隅はどこか楽観的というか、苦境を楽し余裕があるのですが、今回はそれがない。

 

再び靴を履き、野反湖に向けて歩き出したのは14時過ぎ。

何となく、白砂山からは下山するだけというイメージを持っていたのですが、ところがどっこい、まだまだ深い稜線が続いています。

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とにかく、明るいうちに野反湖へ!

しかし、足が痛い!

もう、立っているだけで激痛です。

ここからは写真を撮る気力もなく、ただ機械のように感情を殺して進みました。

特に、野反湖手前の最後の1時間はとにかく苦しかったです。

というわけで、大変申し訳ないのですが、この間の写真が一枚もありません。

 

野反湖に到着したのは、17時55分でした。

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登山口には広い駐車場があり、売店もありました。

夢にまで見た、自販機もあります。

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建物の前には、ぐんま県境稜線トレイルののぼりがはためいています。

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そして、建物の壁には、真新しいぐんま県境稜線トレイルの案内板がありました。

野反湖の位置は赤字で書いてありますが、このトレイルのちょうど中間点という所でしょうか。

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ぼくは建物の前にあるベンチに座り、靴を脱ぎます。

足の裏の写真です。

不快に思われる方はどうぞ飛ばしてください。

 

 

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ふやけ切って、真っ白に変わり、全面しわだらけになってしまいました。

このしわが擦れ合って、痛くて痛くてたまらない。

もう、これ以上は歩けない。

白砂山尽きかけていた気力は、少し蘇りつつありました。

あと2日旅を続け、終点の四阿山まで進む気持ちも復活していました。

でも、もう歩くことができないのです。

何だか悔しくなってきて、足をさすってみます。

足の裏は冷たくて、触っただけで痛い。

やはり、旅を続けることは無理です。

とてつもなく残念ですが、ここが引き際でしょう。

 

ベンチに座り、ぼんやりしていると、この3日間の旅の記憶がよみがえってきます。

谷川岳の賑やかな登りと、肩ノ小屋以降の孤独な稜線

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不思議な音が聞こえた大障子避難小屋の夜

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夜の不安な稜線を進み。

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夜が明け、雄大な稜線のど真ん中を進みました。

この夜明けは、本当に生きていることを実感しました。

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しかし、この後、足の濡れと疲労が顕著になってきました。

そして稲包山でのビバーク

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この後は、どこまでも続く笹薮に苦しみました。

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苦しかったなぁ・・・

でも、見たこともない景色が広がっていて、素晴らしい旅でした。

また行くかと聞かれれば、また行きたい。

でもその前に、この旅はまだ未完の旅。

いつか完結させなければ。

 

翌朝、バスに乗るためにキャンプ場から再び駐車場に戻り、野反湖を眺めます。

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湖水が深い青色をしていて、引き込まれそうな気がします。

周りを囲む山々の緑と鮮やかなコントラストが、夏を感じさせる。

ともかく、ぼくの冒険は、ひとまずこれで終わり。

そしてまたいつか、この場所から旅の続きを始めるつもりです。

その時まで、ぐんま県境稜線トレイルよ、さようなら。

すばらしい夏でした。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、また。

(^ω^)ノ バイバイ!

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白砂山への笹地獄 ぐんま県境稜線トレイル⑨

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(写真:ムジナ平から白砂山の間の笹薮)

どうぞ読者に!⤵

みなさん、こんにちは。

( ;´Д`)

ぐんま県境稜線トレイルの続きです。

前回は、稲包山を朝4時に出発し、ムジナ平に到着したところまで書きましたね。

前回の旅はコチラ⤵

www.trailtravel.net

2019年の8月10日昼12時谷川岳天神平を出発し、はや3日目。

しかし、足を濡らしたことや暑さによる疲労で、2日目から遅れ始めます。

計画では、2日目の夜はムジナ平で夜を迎えるはずなのに、稲包山で野営

旅の計画はコチラ⤵

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もはや、このロングトレイルを歩き切るのは無理かもしれない・・・

 

果たしてこの後どうなるのか?

ということで2019年8月12日の旅の続きです。

 

ムジナ平を後に

稲包山を朝4時に出発し、8時50分にたどり着いたムジナ平

しかしそこは想像とは違い、ほんの4畳半ほど藪が刈り取られただけの場所でした。

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休憩できるような広場があると思っていただけに、かなりの衝撃です。

朽ちかけた丸太が転がっていましたが、落ち着いて休める雰囲気には程遠い。

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座り込んで靴を脱ぎ、足を乾かしたい・・・

昨夜雨の降った笹薮を漕いできたため、足は再びずぶ濡れになっていました。

足の裏の痛みも、昨日はまだ我慢できたのですが、もはや相当に苦しい。

しかし、この場所は腰ほどもある笹に囲まれて落ち着きません。

クマも出てきそうだし、このまま休まずに進むことにします。

 

とはいうものの、一面の笹原で、どちらに行けばいいか分からない・・・

何となく、左側の木の脇に踏み跡らしきものがあるような気も。

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全般の地形と地図を見比べると、どうやらこの方向のようです。

踏み入ってしばらく進みますが、これは本当に道なのか?

振り返ると、茶色く開けたムジナ平が遠くなっていく。

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これ、茶色の刈跡が見えなくなると、もうムジナ平には戻れないな・・・

それはマズイので、ムジナ平を逆方位でコンパスセットし、慎重に進みます。

ここで迷うと遭難の恐れもあるので、とても不安・・・

 

笹薮の道をたどって

恐る恐る進むうち、やがて登り斜面の地形に変わります。

しかし、これが正しい道か判別がつかない。

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ますます笹薮は深くなっていく・・・

とにかく不安が募ります。

(;´・ω・) 道を間違えたか・・・

 

致命傷にならないうちに、戻る方がいいのでは?

恐れたわけではないけれど、後ろを振り返ってみる。

すると、ムジナ平は完全に見えなくなっていました。

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しかし、尾根線上に乗ったようで、これさえ外さなければもとの道に戻れる。

もう少し行ってみよう・・・

地形的には、この方向で正しいはず!

躊躇いながら進んでいると、ようやく踏み跡を発見!

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((゚д゚)! これは間違いなく道!

間違っていなかった!

心の底からホッとしました。

高度が上がってくると、笹薮は次第に丈が低くなり、薄くなってくる。

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よかった! このまま笹薮が薄くなってくれれば・・・

振り返ると、巨大な谷が左手から迫ってくるのがよく分かりました。

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この辺りで、地図と地形が一致し、すこし安堵・・・

と同時に、再び足の裏に違和感が。

やはり緊張していたんでしょう、足の痛みを忘れるほどルート・ファインディングに夢中になっていました。

その緊張が解れた今、ふやけた足裏の皮が破けるような痛みを感じます。

立ち止まり、靴の中で足指を動かしてほぐしますが、あまり効果はありません。 

痛む足をよそに、道の勾配はますます急になっていく。

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相変わらず笹に覆われていますが、尾根が狭くなってきました。

足もとが笹で確認できないので少し危ない。

足の痛みも相まって、とても歩きづらいです。

 

ここを抜けると、再び開けた笹原の斜面に。

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かなり急です。

ちょっと苦しい。

そしてまた、道が不明瞭になってきました。

どこまでも続く笹地獄。

とにかく、早くこの深い笹原から脱出したい!

もうその思いだけで、一心不乱に登ります。

(;´Д`) ハアハア・・・

 

そうするうちに、左手に尾根線が見えてきました。

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どうやら、再び県境の稜線に乗れるようです。

みると、稜線沿いは植生が変わっていました。

あの稜線まで登れば、笹薮から脱出できるにちがいない!

がんばろう!

 

再びの県境稜線

そしてとうとう、9時30分、再び県境の稜線に登ることができました。

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ムジナ平を後にして40分ほど、とても長い時間に感じました。

本当にキツイ笹薮だった・・・

しかし、この尾根上はしっかり笹が刈払われていて、歩きやすそうです。

道標も立っていて、道迷いの不安からも解放されました。

(*;´Д`) よかった・・・

心から、登山道整備をしていただいている皆さんに感謝。

ようやく人心地ついたので、靴を脱ぎ休憩です。

ムジナ平手前の水場で補給した水を飲み、少し元気が回復。

足裏を見ると、完全にふやけ、前面に深いしわが刻まれている。

相当にまずい状態です。

ここからはできるだけ足裏に負担をかけないように歩きましょう。

再び靴を履き、稜線に沿って歩き始めます。

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南側、すなわち群馬側は、深い谷になっていました。

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谷側に入り込んだら、抜け出ることは難しそう。

尾根線を外さないように進みましょう。

引き続き、刈払われているので安心です。

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やはり足裏が痛い。

しかし、なんとか白砂山を越え、今日中に野反湖まで到着しなければ。

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野反湖にはキャンプ場もあるし、バス停もある。

人も住んでいるし、もう安全圏です。

時間的にはまだ余裕があるのですが、それはもちろん健常の状態でのこと。

この先足がさらに痛くなれば、時間的に少し危なくなるかもしれません。

しかし、まだまだ続く県境の稜線・・・

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どこまで歩いても、果てしなく続いている。

足が痛いせいか、終わりがないような気すらしてきます。

この時、時刻は10時20分、果たして、明るいうちに野反湖に到着できるのでしょうか。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回もまた、どうぞ一緒に旅してくださいね!

次回の旅はコチラ⤵www.trailtravel.net

それでは、また。

( ;´Д`) バイバイ

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ここがムジナ平・・ ぐんま県境稜線トレイル⑧

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(写真:三坂峠~白砂山の入り口看板)

どうぞ読者に!⤵

みなさん、こんにちは。

( ;´Д`)ノ

ぐんま県境稜線トレイルの続きです。

前回は、平標山の家を後にし、ムジナ平を目指しましたが、疲労と足裏の痛みに耐えかね、稲包山ビバークしたところまで書きましたね。

前回の旅はコチラ⤵

www.trailtravel.net

もう一度、ルートのおさらいです。

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計画では、翌日(旅の3日目)は、野反湖を越え赤石山のふもとまで進む予定です。

しかしながら、今日ムジナ平まで到達しなかったので、かなり厳しくなってしまった。

稲包山からだと、白砂山まで8時間はかかると見込まれます。

そこからさらに赤石山のふもとまでとなると、まず到達は難しい。

元気いっぱいの時ですら無理でしょう。

疲れ切っているうえに、足がふやけてしまった状態では、なおさら・・・

さて、どうなることでしょう。

ということで、2019年8月11日の夜が更けていきます。

 

行こう さらに先へ

稲包山に到着したのは16時30分ごろ。

夜が迫っていましたが、もう先に進む力は残っていません。

計画外ですが、ここでビバークせざるを得ませんでした。

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山頂の祠にお参りをし、手早くツェルトを張ります。

明るいうちからその兆候があったのですが、夕刻になって天気が悪化してきます。

風がかなり強くなり、雨もパラパラ降ってきた。

急いで食事を終えると、直ちにツェルトに潜り込みます。

案の定、間もなく本格的に雨が降りはじめ、強風がツェルトを揺さぶる。

 

しっかりと張ったので、ツェルトが吹き飛ばされることはないと思いますが、それでも心安く眠るという感じではありません。

落ち着かない気持ちですが、明日の行動を考えましょう。

まず、行くか、戻るか、でかなり悩む。おそらく1時間は迷ったと思います。

濡れた足はふやけ、しわができ始めており、部分的には痛みも感じる。

一方、横になっているうちに、身体の疲労はかなり回復してきました。

今夜できるだけ足を乾かしておけば、何とかなるかもしれません。

気になるのは水ですが、残り少ないながらまだ800mlほどはある。

あと、水分たっぷりのリンゴも一つ残っています。

ムジナ平の水場までは4~5時間ほど、今夜の雨なら水枯れはない。

・・・・・・

(`・ω・´) よし、行ける!

そうすると、あとは出発時間です。

計画では明日は赤石山のふもとで野営する予定でしたが、この状況ではすでに不可能。

とすると、野反湖のキャンプ場で野営するしかない。

ここから野反湖までは約10時間と見積もっていますが、足の状態を考えれば12時間ぐらいかかるでしょう。

そうすると、明るいうちに到着するには、明日の朝4時に出発しなければ・・・

ということで、3時起床、4時出発を決心し、一刻も早く眠ることにしました。

 

濡れた笹薮を進む

朝3時・・・

夜半にますます強くなった風雨のため、ほとんど眠れないまま起床。

真っ暗な中、ツェルトを畳み出発の準備を整えます。

幸いにも、雨は止んでいましたが、凄まじい数の蛾が襲い掛かってきます。

ヘッドライトめがけて無数の蛾が飛んでくるので、顔面にバシバシと当たるし、中には口の中に飛び込んでくる不届き者も・・・

( ;´Д`)  ぐわぁぁ・・・

畳むツェルトにも何匹も集ってきて、払いのけますが何匹かは巻き込んでしまう。

そんなこんなで手間取りましたが、何とか予定通り4時に稲包山を出発

守ってくれてありがとうございました、と祠にお礼をいって山頂を後にします。

 

さて、ここからは人跡まれなルートです。

覚悟していましたが、いきなり深い笹薮に突入

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微かに踏み跡がついていますが、いかにも頼りない。

この後しばらく行くと踏み跡は完全に無くなってしまいました。

「道を間違ったか?」と、かなり戻りますが、それらしい分岐はありません。

地図を何度も見ますが、地形的にはこのまま進むのが正しいようです。

ただし、夜の闇と藪で視界が制限されて、完全には地形がわからない。

とりあえず、もと来た道を失わないようにコンパスで逆方位を確認しつつ、踏み跡を意識的につけながら進むようにします。

・・・夜よ早く明けて・・・

明るくなれば、もう少し道の判断が正確にできるのですが・・・

しかしまだ4時、夜明けにはまだ1時間ほどかかります。

もう、写真を撮る余裕もありません。道を失わないようにすることで精一杯。

 

不安に耐えながら進むうちに、再び踏み跡らしきものが明瞭になってきました。

そしてその頃に、待ちに待った夜明けが。

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ようやく写真を撮る余裕が出てきました。

道は次第に谷を出て、尾根に登るようです。

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快晴ではないですが、やっぱり太陽が昇ると安心感が違いますね。

まだ低い雲が張り付いていますが、天気は回復傾向のようです。

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5時20分に、三坂峠という場所に到着。

ここで道は二つに分かれ、北に行くと苗場プリンスホテル方向へ、西に行くとムジナ平を経て白砂山へと向かいます。

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ここが最後の決心点。これ以降はエスケープルートはなく、野反湖へ抜けるしかありません。

道標の脇に立っていた注意書きが、緊張感を高める。

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エスケープ無理、避難小屋なし、水枯れあり、携帯ダメ、熊・・・

(;゚Д゚) ううぅ・・・

しかし、ここまで煽られると、逆に闘志が沸いてきたりする。

もう一度、気を引き締めましょう。

よし、行くぞっ!

 

樹林帯から笹薮へ

三坂峠の道標の脇を、白砂山に向けて踏み出します。f:id:trailtravel:20200918124137j:plain

とにかく一番の不安は道迷いでしたが、嬉しいことにこのような標識が。

道を整備してくださっている方々に感謝です。

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さらに、ところどころでは指導標識も立てられています。

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ここは地図上で・1766という場所ですが、ちゃんと現在地も記載してありましたよ。

時間は7時10分、ムジナ平まではあと1時間ほど。

道跡も明瞭だし、かなり安心です。

そこで、とっておきのリンゴを取り出して食べました。

日差しこそ弱いですが、とても蒸し暑く、のどが渇いてたまらない。

それでも、水が残り少ないので、一口飲んでは我慢し、我慢できなくなればまた一口と節約してきたのです。

このリンゴの美味しかったこと!

かじるたびに、果汁が溢れて口中に広がります。

カラカラに乾いた体に、その果汁が染み渡る感じ。

ほんとに美味しかったなぁ・・・

 

リンゴを食べて、朝から続いていた緊張も疲労も、かなり安らぎました。

美味しい食べ物は偉大です。

元気も戻ってきたので、先に進みましょう。

この辺りから、植生が一変します。

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笹原になってきました。

これまで樹林帯で明瞭に道が見えていたんですが、分かりにくくなってきた。

さらにイヤなのは、濡れた笹で足元が濡れることです。

夜の間はレインウェアを着ていたんですが、夜明け後の樹林帯では暑くて脱いでしまいました。

なので、また足元が濡れすぎると、靴の中にしみこんでくる可能性がある。

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しかし、もう完全に辺り一面の笹原。

いよいよ道が不明瞭になってきて、足が濡れるどころじゃなくなってきました。

平標山の家の御主人が、5月に道の草を刈ったと言っていましたが、あれから伸びたのでしょうか。それとも一時的に新潟側に入っただけなのか?

とりあえず稜線を外さずに進みます。

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地形的にイヤなのは、こういったノッペリ系の場所です。

ここはなんとか道が見えました。

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ここもなんとか道が判別できました。

もう、かれこれ40分ぐらいムンムンと蒸し暑い笹薮を漕いでます。

リンゴの効力もすでに尽き、かなりの疲労が・・・

 

ここがムジナ平・・・

笹薮の向こうに、森が見えてきました。

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どうやら道は再び樹林帯に入るようです。

とにかく早く、この笹地獄を抜けたい!

森に入ると、待ちに待った道標が立っていましたよ!

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道標には「セバトノ頭」と書いてありました。

とすれば、ムジナ平は目と鼻の先。

はやる心を押さえながら進むと、8時5分に、とうとう水場の表示が!

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Σ (  ゚ ∀ ゚) おおーっ!
「水場0.1km」と書いてある!

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これで昨日の午後から悩まされた水不足も解決っ!

ムジナ平も目と鼻の先ですが、まずは水場へ!

と、勢い込んで谷のほうに降りましたが、ここがまた難路・・・

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しかも、踏み跡がほとんど確認できません。

もしかしたら、ここで道迷いするんじゃないか?

そんな恐怖すら感じさせる。

さらに下ると、トンネル状の溝に入り込みました。

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数カ所、笹枝にテープが結びつけてありましたから、道は間違っていない・・はず。

しかもこの溝は枝分かれしていて、下るときはいいのですが、戻るときはどちらから来たか分からなくなります。ぼくも帰りに一度大きく間違えました。

時々振り返り、景色を記憶しながら進みましょう。

そして5分ほど下ると、とうとう水場を発見!

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写真ではよく分かりませんが、確かに水が流れています。

しかし、昨日雨が降ったにしては、予想より水量は乏しい。

数日好天が続いた時は、枯れる恐れは十二分にありそうだ。

ともかく、500mlをまずは一気飲み。それでも足らずさらに500mlを一気に飲み干します。チョロチョロと水筒にたまる水量がもどかしい。

さらに水を補給し、これで一安心。

もと来た道を登り返しますが、違う枝溝に入ってしまい、少し迷ってしまいました。

 

道標の位置に帰り、少し歩くと樹林帯が途切れ、再び笹原に。

笹原の真ん中が茶色くなっているけれど、あそこがもしかして?

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そのまさかでした。

ここがムジナ平・・・です。時刻は8時50分。

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(;゚Д゚) えええ・・

笹薮を4帖半ほど無理やり刈り込んだだけ。

しかもだいぶ刈った笹が伸びてきて、剣山のようになっている。

いや、刈っていただいた方には本当に感謝なのですが・・・

ここで野営するのは、かなり勇気がいるのでは?

なんだか、熊も出そうだし・・・

何張りかのテントを展開できる広場を想像していたので、ちょっと驚きました。

ということで、特に休む場所もないため、このまま先へ向かいます。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ぜひ、引き続き次回も一緒に旅してくださいね!

次回の旅はコチラ⤵

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それでは、また。

(;゚Д゚)ノ バイバイ

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稲包山で夜を迎える ぐんま県境稜線トレイル⑦

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(写真:稲包山山頂でのビバーク

どうぞ読者に!⤵

みなさん、こんにちは。

;つД`)

毎回、記事の間隔が空いてスイマセン・・・

それでなくとも、長いぐんま県境稜線トレイルの旅。

どうか引き続きお付き合いください(お願い!)

前回は、平標山の家に到着したところまで書きましたね。

前回の記事はコチラ⤵

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 大障子避難小屋を朝の2時に出発し、8時20分に平標山の家に到着

まだ朝とはいえ、すでにもう6時間以上歩き続けています。

情けないことに、かなりの疲労を感じる・・・

さらに、朝露に濡れた足首を伝って、靴の中まで濡れてしまいました。

足の皮がふやけてしまい、痛みすら感じるほどに。

本来なら、この場所は8時前には通過していなければ、今日の宿営地であるムジナ平に明るいうちに到着することは難しい。

ルートの詳細はコチラ⤵

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それなのに、疲れのあまり平標山の家で1時間近く休んでしまいました。

こんなことで、この先どうなるのか?

不安は募るばかり・・・

ということで、2019年8月11日の旅の続きです。

 

疲労困憊の三国峠

平標山の家でラーメンを食べ、トンボと遊ぶうちに、9時を過ぎてしまいました。

計画より大幅に時間が過ぎていると、分かっているんですが・・・

分かっているのに、疲れて体が動かない!

ふやけた足も、痛い!

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もう進みたくない!

何だか変な声が聞こえてきます。

ここからなら、苗場スキー場方向へ下ることができる、今しかないっ!

声は、ますますぼくの耳の奥で囁いてくる。

正直言うと、ほとんどこの声に従いそうになっていました。

足も痛いし、そもそもムジナ平に到着できる時間じゃない。

一体どこで夜を過ごすつもりなんだ?

しかも、稲包山から先は、道すら定かでない難路・・・

 

ずいぶん悩みましたが、ようやく決断。

やっぱり、三国峠までは行こう!

三国峠からは30分ほど下れば国道に出るし、さらに40分ほど進めばバス停に出る。

進むか、止めるか、三国峠を最後の決心点にしよう。

平標山の家を後にしたのは、計画より1時間半ほど遅れた9時20分でした。

ここからは完全に谷川主脈を離れ、樹林帯が続きます。

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これまでの鋭い稜線とは打って変わって、歩きやすい道です。

少し開けた場所に出ましたが、谷川主脈方向の左側の谷には厚いガスが。

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少しガスが薄くなる時もありますが、谷川主脈の稜線は見えません。

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晴れていれば、雄大な山なみを望めたのに。

ガスに遮られて日差しは乏しいですが、気温は高い。

蒸します。この感じだと、午後は崩れるかもしれない。

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足がふやけているので、雨は困るなぁ・・・

そんなことを思いながら、延々と続く樹林帯を進みます。

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1時間ほど進むと、三角山という山頂らしくない場所に出ました。

標識の文字が達筆で気合入ってますよね。

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あと、地点間を時間で示しているのも珍しいですね。

三国峠までは1時間30分とある。

このとき10時15分だったので、だいたい12時前には着く計算か。

三国峠からムジナ平まではざっと7時間。

夏なので19時でもまだ明るいといえば明るいが、かなり厳しいなぁ・・・

ということで、休むことなく先を急ぎます。

さらに1時間ほど進むと、尾根の先に三国山らしき山が見えてきました

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ということは、あの向こうが三国峠だな。

時計を見ると11時10分。

見当通り12時前には三国峠に着けそうでしたが、平標山の家から2時間ほど歩き続けたために、再び足の痛みが強くなってきました。

もしかすると、足の裏にマメができたかもしれません。

足が地面に着くと、かなり痛い・・・

スピードを出すのが辛くなってきましたが、それでも峠への下りに到着

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木の階段が続いています。

どんどん下りましょう。

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しかし、トレイルと異なって、固い木段はもろに足裏に衝撃が伝わります。

((;゚Д゚)  痛いっ!

下ることが、痛くて痛くてたまりません。

もう、三国峠は目と鼻の先なのに・・・

12時ぐらいに峠を通過できれば、なんとかムジナ平まで行けるかもしれないのに・・・

それなのに、階段の途中のベンチに座り込んでしまいました。

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蒸し暑いなかを進んできたせいか、体の疲れもひどい。

10時間も動き続けてきて、頭もふらふらする。

もう我慢できなくて、靴と靴下を脱ぎ、さらにはTシャツも脱いで、ベンチに横になりました。

横になると、疲労がドッと押し寄せてきて、思わず目をつぶってしまい・・・

そのまま眠ってしまいました。

 

どうする? どうする?

目を開くと、12時30分を過ぎていました。

なんと、30分近くも眠っていたようです。

どうしよう! ただでさえムジナ平までは厳しい時間なのに・・・

いずれにしても、この状態では明るいうちにムジナ平に到着することは難しい。

道がはっきりしないのに、夜間動くことは危険です。

とすると、三国峠から下山するか・・・

 

かなり悩みます。

しかし、少し眠ったのでかなり体力が回復していました。

靴を脱いで乾かしていたので、足の痛みも相当和らいでいます

この感じなら、稲包山までは明るいうちに行けるかもしれない。さらに、また調子が戻ってくれば、速度を回復できる可能性はあります。

そうすればムジナ平もまだ諦めるのは早い。

稲包山までは地図でも実線道だし、三国峠からのコースタイムは4時間ほどです。

もし、翌日調子が悪ければ、三国峠まで引き返して下山することもできる。

 

(`・ω・´)  よし、行こう!

そうと決めたら、さっそく靴を履き、出発!

ますます急になる階段を、峠に向けて下ります。

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急な階段はやはり、足裏にこたえる・・・

そしてようやく、12時50分に三国峠に到着

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小さな神社が一つ、あとは何もありません。

じつは、自動販売機があればコーラ買おうと思っていたんです。

そんな自分の浅はかさが情けない。

そして、微かな希望が打ち砕かれて涙が出てくる。

ここが稲包山へと向かう道の入り口です。

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道標の立っているのが心強い。

もう戻らない覚悟で、気合を入れなおします。

登るといきなり、藪漕ぎ風の急登が襲い掛かってくる。

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踏み跡はあるものの、ほとんど誰も入ってこないんだろうなぁ。

クマが心配です。

はるか向こうに、苗場プリンスホテルが見えました。

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人間界とも、しばらくお別れだな・・・

 

再び稜線へ

 

ゼイゼイ言いながら20分ほど登ると、ようやく稜線に出ました。

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ようやく、一息つけます。

あとは、この稜線を外さないように稲包山まで進む!

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天気は相変わらず曇りベースですが、蒸し暑い。

しかし、ムジナ平まで水場がないので、今ある水を大切に使わなくてはいけない。

本当に苦しくなった時に一口だけ飲むようにして、先に進みます。

なんだか道が不明瞭になってきて不安ですが、とにかく稜線を外さず進む。

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緩やかにカーブを描きながら、稜線は南へと曲がっていく。

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本当にどこまでも続く稜線のトレイル。

三国峠を後にして約1時間半、2時30分にキワノ平ノ頭という場所に出ました。

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久しぶりに出現した道標に一安心。

ここは地図にも記載されている場所で、ここから稲包山まではコースタイムで1時間45分と書かれています。

とすると、17時までには到着できるかな。

気持ちも落ち着いたので、ここで一休みし、贅沢にも水を二口ほど飲みました。

三国峠の手前で眠ったのが効いているようで、先ほどまでの酷い疲労は感じません。

元気が残っているうちに、どんどん進んでいきましょう。

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一番奥に見えている一番高い山が稲包山でしょうか。

そして、稲包山から右に連なる尾根が、ムジナ平から白砂山へと続く稜線でしょう。

この辺りから、尾根沿いに送電線が走り始めます。

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鉄塔まわりに保線用の巡視路がいくつも混交していて、そちらに迷い込まないよう注意が必要。

たとえば、こんな場所ですが、正しい道は右上に登っていく方向です。

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そのような個所には標識が設置されているのですが、時には標識が倒れていて分かりにくい場所もある。

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迷わないよう、気をつけて行かないと。

 

もう進めない稲包山

 

このようにして進み続け、ようやく稲包山の取り付きに到着しました。

まっすぐ進めば稲包山の山頂、写真では見切れていますが右へ行けばムジナ平です。

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この時、時刻は4時15分

ムジナ平に向かう時間も体力も残っていませんでした。

それよりも、今夜のビバーク適地を見つけなければ。

ここまでツェルトを張れるような場所はなく、この先もないようです。

しかし、山頂なら少し開けた場所があるかもしれない。

動物の危険も、このような樹林の中よりは山頂のほうが少ないでしょう。

そう考え、稲包山の山頂に向かうことにしました。

ここから10分ほどで山頂には到着

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思ったとおり、山頂はかなり開けていて、ツェルトを張る地積もありました。

時間はもう16時半近く、これから登山者が来ることもないでしょう。

それに、疲れ切っていて、もうこれ以上進めない。

足裏の痛さも、かなり苦しくなってきて、今日はもう歩けない。

 

計画外の緊急的な行動になりますが、ここでビバークすることに決めました。

何だか守ってくれるような気がしたので、祠のすぐわきにツェルトを張ります。

f:id:trailtravel:20200913092547j:plain申し訳ありません、一夜の宿をお借りします。

祠にお参りをし、設営を終えると、あたりは次第に暗くなってきました。

どうやら山頂は雲の中に入ったよう。

風も強くなってきて、ツェルトが風にはためきます。

さて、これからどうなることやら・・・

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

明日このままムジナ平へと進むか、それとも三国峠へ戻るか。

次回もまた、どうぞ一緒に旅してください!

次回の旅はコチラ⤵ 

( ;´Д`)  バイバイ

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トンボ群れる平標山の家 ぐんま県境稜線トレイル➅

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(写真:平標山の家でのトンボ)

どうぞ読者に!⤵ 

みなさん、こんにちは。

(^ω^)ノ

ぐんま県境稜線トレイルの続きです。

いろいろあって、前回の記事からかなり間が空いてしまいました。

大障子避難小屋を2時に出発、夜の尾根を旅して平標山(たいらっぴょうやま)に到着したところまで書きましたね。

前回の旅はコチラ⤵


もう一度ルートをおさらいしてみましょう。

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2日目の今日は、平標山から三国峠を経て、ムジナ平までの予定です。

この日は、平標山のふもとに平標山の家という小屋がありますが、その後は野反湖まで無人小屋すらなく、特に稲包山~白砂山の間は道すら怪しいという難路

(現在ではちゃんと「山と高原地図」にルート表記があります)

はたして、大丈夫でしょうか?

ということで、旅の2日目、2019年8月11日の朝です。

 

平らだよ平標山

長く不安な夜の稜線を越え、たどり着いた平標山

そのなだらかな山容と、山すそに広がる草原

そして山頂に通じる白い木段

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まるで天国のようです。

昨日から厳しい旅が続いていたので、心が緊張から解放されていく。

穏やかな気持ちで登っていきます。

そして、7時50分、山頂に到着。

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これまで歩いてきた谷川岳主脈が、はるかに望める。

平標山はその名の通り、平らでひろーい山頂。

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ドッジボールぐらいなら、できそうな感じの広場になっています。

朝の2時に大障子避難小屋を出発して約6時間。

ほとんど休憩を取らなかったので疲れました。

少し休みましょう。

ザックを下ろしてみると、思っていたより疲労を感じます。

そして気になったのが、夜露の中を歩き続けたせいか、足が湿っていたことでした。

ぼくの靴は防水仕様なのですが、どうやら靴から外に出ている靴下部分が濡れ、それが靴の中の靴下にまで伝わったようです。

靴を脱ぐと、足が白くふやけている

(;゚Д゚) ううっ・・・

 

トンボ群れ飛ぶ平標山の家

休んでいると、西の苗場スキー場方向から雲が急速に湧き上がってきました。

この先の平標山の家へと下る道も、あっという間にガスに覆われていきます。

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もう少し休みたい気持ちはありましたが、もう行きましょう。

靴を履き、ザックを背負います。

靴下を脱いで、もう一度履いてみると、思ったより濡れているのを感じました。

うーん、やっぱりこれは良くないぞ。

( ;´Д`) まずい・・・

山歩きでは、足が濡れるのはご法度です。

ましてや、長い距離を歩くロングトレイルでは危険な状態。

足が湿ってふやけると、しわだらけになってマメの原因になったり、しわが重なり合って皮膚が痛んだりして、歩けなくなってしまいます

本当はこの時点ですぐに処置をすべきでしたが、もう準備を整えてしまいました。

この先20分ほど下ると平標山の家ですから、そこで処置をすることにしよう。

 

とにかく長い木道の下りが続きます。

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本当に長いです。

木道で路面が固くなったせいか、湿った足の裏が痛くなってきました。

うーん、まずいぞ・・・・

しかし、そんなことにはお構いなしに、延々と続く木段。

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下るにつれて、ガスがさらに深くなってきました。

さっきまでの高揚した気持ちもどこへやら、急に心が折れるような感じに。

こんな状態で、道も定かでないムジナ平まで行けるのか?

そのためには、あと8時間は歩き続けなければならないのに・・・

すっかり、心の針は弱気に振れてしまいます。

 

そんな気持ちのまま、8時20分、平標山の家に到着

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この先は、野反湖まで補給できる場所がありません。

その野反湖は、明日の昼に到着する予定ですから、これからは、まる1日以上補給ができないことになります。

水場もムジナ平の怪しい水場1カ所のみ。

 

しかし、計画よりかなり時間を使ってしまい、あまりここで長居はできない。

本来なら、ここには7時半ごろ到着する予定でした。

それでも、疲労と足の痛み、そして空腹は耐えがたく、先ほど平標山の山頂で休んだばかりですが、ここでも休憩をとることにします。

 

中に入ると、小屋の子供たちがいて、可愛らしく注文を取ってくれました。

カップラーメンの美味しかったこと!

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朝の2時から、ほとんど何も食べていなかったので、お腹に染み渡ります。

塩味の強いスープが、疲れを癒すんですよね。

今まで何百杯となく食べましたが、人生で一番おいしいカップヌードルでした。

;つД`) ホントだよ!

 

靴を脱ぎ、濡れた足を少しでも乾かしましょう。

そうしていると、小屋の周囲を飛び交っている無数のトンボの一匹が、ぼくの足先に止まります。

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汚い足をお見せしてすみません。

大分、ふやけ始めているのがわかりますね。

少し痛みも感じます

トンボは、そんなぼくの状況は関係なく飛び、そしてまた指先に止まる。

まるで空気のなかを滑るように、スイスイと飛び回っています。

いいなあ、こんな素晴らしい羽があればムジナ平まで、ひとっ飛びだな。

思わず、そんなことを考えてしまいます。

 

時間的に急がなければならないのに、食べ終わってもしばらく動くことができません。

小屋の入り口をぼんやりと眺め、今日はここで泊まるか、などと考えていました。

もちろん、そんなことをすれば旅程は完全に崩れてしまうわけですが。

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すると、小屋のご主人でしょうか、若い男の人がこちらに来て話しかけてくれました。

ぼくは、ぐんま県境稜線トレイルの旅をしていることを告げ、気になっていることを聞いてみました。

「稲包山から、白砂山までの道はどうですかね?」

「この前草刈りをしましたから、大丈夫と思いますよ」

(*´Д`) ホッ・・・・

しかし、続けて、

「でも、5月のことだから、今はどうかなぁ・・・」

えええ・・

今は8月だから、3カ月も前だ。

夏草なんて3ヶ月もあればジャングルになっているのでは?

さらに続けて、

「群馬側は刈りましたけど、新潟側はどうかなぁハハハ」

Σ(゚Д゚)ええっ・・・

この稜線は、県境とはいえ両県を行ったり来たりするために、新潟側のエリアもそこそこ多いのです。

さらに、

「あのあたり、小屋もないんですよね。きついですよ。ムジナ平に避難小屋を作ろうって話もあるんですけどね」

そして、

「クマもいますから、気をつけてくださいね(グッ!)」

ご主人は爽やかにそう言うと、ぐんま県境稜線トレイルの案内地図をくれました。

 

3カ月前の草刈り・・・新潟側?・・・きつい・・・クマ・・・

ご主人から聞いたいろいろな情報が、なぜか不安要素となって頭を駆け巡る。

気付けば、時間はもう9時に。

これはまずい、休みすぎだ!

今日中にムジナ平に行くには、もう時間の余裕がありません。

慌てて靴下を交換し、靴を履きます。

しかし、既に靴の内側も濡れてしまっており、改善効果は薄い。

新しい靴下も、すぐに湿った感じに。

大丈夫だろうか・・・

(防水靴下を持っていましたから、ここで新しい靴下の上に防水靴下を重ねるべきでした。これが後に重大な結果をもたらします)

募る不安を押さえつけ、先へと進むことに。

さて、この先、どんな旅が待っているんでしょう?

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回からは今回の旅の最難関、三国峠から稲包山、そしてムジナ平へと向かう旅のことを書きますね。

次回はコチラ⤵


それでは、また。

;つД`) バイバイ・・・

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夜明け そして平標山 ぐんま県境稜線トレイル⑤

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(写真:谷川主脈の夜明け)

どうぞ読者に!

(;゚Д゚)ノ

みなさん、こんにちは。

ぐんま県境稜線トレイルの続きです。

前回は、大障子避難小屋での奇妙な夜について書きましたね。

前回の旅はコチラ⤵

夜中に突然「ドン! ドン!」と壁を打つ音が聞こえて肝を冷やしました。

虫がぶつかったんだろうと自分を納得させ、再び眠りに就きました。

それもそのはず、翌日の行程は今回の旅で最もハードなのです。

ルートの詳細はコチラ⤵

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2日目は平標山(たいらっぴょうやま)から三国峠に下り、ムジナ平までの行程

この間の補給地点は、平標山のふもとにある山小屋(平標山の家)しかありません。

しかも、稲包山から白砂山までの間は地図上のルートがない。

(2017年版昭文社山と高原地図」による。その後の版ではルートの線が入っています) 

もちろんその間は、有人小屋はなく、避難小屋すらない。

エスケープルートもなく、水場も1カ所しかない。

まさに、深山の秘境地帯

さて、どんな旅になるでしょうか。

 

暗闇の稜線をゆく

翌日の厳しい行程を考慮すると、できるだけ行動時間を確保したい。

今日のように、また熱にやられて速度が落ちるかもしれないし。

ということで、計画より1時間早めて朝2時に大障子避難小屋を出発することに。

朝1時に起床し、準備を整えて時間どおりに出発しました。

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小屋を後にすると、ただ暗闇が広がるばかり。

昨夜、小屋の壁を叩く不思議な音が聞こえたこともあり、気持ちはよくありません。

正直言って、不気味な感じがします。

しかし、そんな情緒的なことは言ってられないのが今日の行程。

ヘッドライトの明かりを頼りに、どんどん進んでいきます。

避難小屋からすぐに急登を登り、まずは大障子の頭に到着

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時間は2時20分

草木も眠る丑三つ時・・・・

いや、もっと楽しいことを考えよう!

 

ここからは、ちょっと歩きづらい道に変わります。

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岩がちで急な下りとなります。

いま写真を張り付けて気づいたのですが、谷の奥に何かが光っていますね。

ヘッドライトの光が届くには遠すぎる感じだし。

おかしいな、人はいなかったはずですが・・・

 

しかし、その時のぼくは、そんなことに気づきもしません。

一心に下り続けます。

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先が見通せないだけに、どこまでも下っていくような気がします。

まるで奈落の底に落ちていくようだ。

途中、倒れた道標がありました。

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まるで倒れた墓標のようだ・・・

いやいや、なんでそんな怖い方向にイメージするのか!

こうして暗闇の岩稜を進むこと1時間少々

3時15分、ようやく万太郎山に到着しました。f:id:trailtravel:20200809003940j:plain

ここは谷川岳平標山の、ちょうど中間に位置する地点です。

北側には土樽へと続く吾作新道が伸びていますが、もちろん何も見えません。

ヘッドライトの圏外は深い暗闇

留まる理由もないので、休むことなく先へ進みましょう。

万太郎山から先は、痩せた尾根が続きます。

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暗い道の脇に灯りを向けると、深い谷があるようです。

足を取られないように、慎重に進みましょう。

ここを下りきると、越路避難小屋が現れました。

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(;゚Д゚)ううっ・・不気味

先を急ぎましょう!

夜明けはまもなくだ!

 

夜明けのトレイル

越路避難小屋を少し行くと、この谷川主脈の最低鞍部に出ます。

標高は1568m。

ここで来た道を振り返ると、東の稜線が仄かに明るくなっていました。

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たとえ僅かな光でも、何と心強い光でしょう。

闇が拭い去られていき、長く不安だった夜が終わる。

なぜか、ぼくの体にも力がみなぎってくる。

世界の至る所で、なぜ太陽が最高の神格を与えられているのか。

大自然の中で不安な一夜を過ごせば、その理由が肌感覚で理解できます。

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ひとたび太陽が昇り始めると、あたりは光に満ち、闇はぐんぐんと追いやられていく。

30分も経つと、雄大な稜線が完全に姿を現しました。

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これは来た道を振り返った風景です。

暗闇の中で気づきませんでしたが、群馬県側は切り立った断崖です。

こんなところを歩いてきたのか・・・

 

5時30分にはエビス大黒ノ頭に到着。

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ここまでくれば谷川主脈の終点、平標山までは、あと2時間ほどの距離です。

夜明け直後の風が、尾根を爽やかに吹き渡っていました。

そして目の前に広がるのは、どこまでも続く稜線

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最高のトレイル歩きが待っています!

さあ、先へ進みましょう!

 

ここは天国か 平標山

エビス大黒ノ頭を下ると、避難小屋があります。

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谷川主脈の4つの避難小屋の中では、最も小さな小屋

山と高原地図」では3人収容と書かれているが、2名が限度のような気も。

小屋後方の頂は、200名山でもある仙ノ倉山です。

仙ノ倉山の後方には、抜けるような青空が広がっていました。

 

仙ノ倉山までの尾根は広く、お花畑になっています。

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数時間前までの不安な暗闇がウソのよう。

気持ち良く登っていきます。

大障子避難小屋を出発してから、約5時間後の6時50分、仙ノ倉山に到着

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開けた広い山頂で、前周に眺望が得られます。

山頂から西には、平標山までの道が鮮やかに続いていました。

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エビス大黒ノ頭までの峻険な稜線とは一転、

優しくなだらかな尾根。

平標山のふもと直下には、一直線に木道が伸びていました。

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平標(たいらっぴょう)という名の通り、平らでおおらかな風景

(*´Д`) 気持ちいい!

これまでの厳しい道を思うと、まるで天国のよう。

山頂までの真っ白な木段は、天国への階段

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何とすばらしい道でしょう。

進むのが、もったいなくなるくらいの美しさ。

少し足を止め、景色を目に焼き付けましょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は、平標山の家へと下り、三国峠へと向かう旅のことを書きますね。

それでは、また。

(*´Д`)ノ バイバイ

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大障子避難小屋の夜 ぐんま県境稜線トレイル④

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(写真:大障子避難小屋)

どうぞ読者に!⤵

みなさん、こんにちは。

(;゚Д゚)・・・

2019年8月11日のぐんま県境稜線トレイルの続きです。

前回は、谷川岳肩ノ小屋から谷川主脈に足を踏み入れたところまで書きましたね。

前回の旅はコチラ⤵

谷川岳肩ノ小屋から平標山に至る尾根は、谷川連峰の主脈を形成する雄大な稜線です。

しかし、この間に有人小屋は一つもなく、水場も1カ所しかありません。

今回の旅では、大障子避難小屋で夜を過ごし、夜明け前に出発することとしました。

計画の詳細はコチラ⤵

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この谷川主脈稜線は、ルートとしては厳しい条件。

登山者の姿を、この稜線に入ったとたん、全く目にしなくなりました。

谷川岳までは、あんなに多くの人がいたのに。

周囲は人の気配のない、完全な静寂が続きます。

霧も深くなってきて、いやおうなしに孤独感が募る・・・

加えて、日中の暑い日差しにやられ、かなり体力を消耗してしまいました。

軽い熱中症になったようで、今もまだ強い眠気が残っています。

そんななかで、次第に夕刻が迫ってくるわけですが、どんな旅となるのでしょう。

それでは、旅を続けましょう!

 

まだか大障子避難小屋

肩ノ小屋から1時間近く歩きましたが、霧が晴れる気配がありません。

むしろ、次第に濃くなってきたような気がします。

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鋭い稜線の両側が霧に閉ざされ、静寂があたりに満ちてくる。

なにやら異世界に迷い込んだような雰囲気です。

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死後の世界というのがあるなら、こんな感じかな、とも思ったりします。

いやいや、そんな気味の悪いことを考えるのはよそう!

気分を変えようと歌を歌いますが、かえって寂しさが増す感じなので、すぐに止めてしまいました。

時間計算的には、大障子避難小屋まではあと1時間ほど。

早く着かないかなぁ・・・

 

と思っていたら、急峻な鎖場が出現

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なかなか速度を上げさせてくれません。

そうこうしながら進んでいくと、ようやくオジカ沢の頭に到着

16時ちょうどでした。

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コースタイムでは、ここから大障子避難小屋までは1時間

どう遅れても、明るいうちには到着できそうです。

といっても、やはり一刻も早く着きたい。

休むことなく先へ進みます。

ここからは稜線が丸く、広くなってきて優しい感じに。

しかし、こういったのっぺりとした尾根は道を迷いやすい。

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霧も濃くなってきたなぁ・・・

まだ着かないのか、とムダに気持ちが焦りました。

オジカ沢の頭には避難小屋があります。

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ちょっと中を覗いてみましょう。

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決して広くはないです。

詰めれば4人は入れるけれど、だいぶキツイかな。

一瞬、今日はここで休もうかとも考えましたが、翌日の行程を考えると少しでも先に行かなければ。

さらに進みます。

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( ;´Д`) まだ着かぬ・・・

さらに進みます。

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;つД`) まだかな・・・

また眠くなってきました。

はやく着きたい。

そう思いながら登ります。

すると、そこが小障子の頭でした。

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大障子避難小屋は、ここを下ったところにあります。

ようやく(ほぼ)到着!

時間は16時30分。

オジカ沢の頭からたった30分の距離なのに、何と遠く感じたことか・・・

 

命の水を求めて

さて、避難小屋の手前に、この稜線唯一の水場があります。

ここで水を補給しておかなければ、明日大変なことになってしまう。

今日は暑かったので、かなり水を飲んでしまったのです。

疲れてはいましたが、避難小屋に入る前に水場へ行っておきましょう。

枯れていないといいのですが・・・

 

稜線を離れ、南側の斜面を下ります。

振り返ると、尾根が霧に隠れていく。

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帰りに迷わぬよう、何度も振り返り地形を記憶しておきます。

かなり急な斜面を下り、どんどん谷のほうへと降りていく。

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標高が下がったのでガスは取れましたが、あまりに下がるので不安になってくる。

踏み跡も不明瞭。

10分も下り続け、もう引き返そうと思った時、水音が聞こえてきました。

どうやら、あの笹薮の中のようです。

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すると、案の定、笹薮の中にかすかな流れが・・・

(; ' ∀ ') あった!

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よかった!

好天が続いていたので、水量はかなり乏しくなっていました。

それでもしっかりと水は流れている。

ありがたい!

これまで節約のため、チビチビとしか水を飲めなかったので、まずは思いっきり喉を鳴らし水を飲む。

生き返る! 

まさに命の水!

そして目いっぱいに水を補給しました。

 

避難小屋の夜

渇きをいやし、無事に水を補給できました。

あとは避難小屋に入るだけです。

もと来た道をたどり、急坂を登り返して稜線に戻りましょう。

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迷うことなく尾根に出ることができました。

すると、霧の中に大障子避難小屋が姿を現します。

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とうちゃーく!

( * ´Д`) ホッ・・・

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時間は17時10分。

これで本日の行程は終了。

どうやら先客はないようです。

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先ほどのオジカ沢の頭避難小屋より、はるかに広く快適です。

ポリ袋にゴミが放置してあったのは残念。

回収できるものは、僅かながらですが回収しておきました。

 

汗で濡れた衣服を着替え、寝袋を展開し終わると、食事です。

小屋にあった折り畳み椅子を外に出し、ゆったりした気持ちで一息つきました。

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次第に、稜線は深い霧に沈み始めます。

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食事を終えても椅子に座ったまま、夜がやってくるのを待つ。

そしていつしか、あたりは一面の闇に包囲されていきました。

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物音ひとつしない漆黒の闇

そろそろ眠ることにしましょう。

明日は今回の旅で最も厳しい行程です。

計画では平標山から三国峠へ下り、ムジナ平まで行かなければなりません。

もう一度ルートのおさらい⤵

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計画では朝の3時に出発する予定でしたが、今日のスピードを考えると、もう少し早く出たほうがよさそうです。

明日も熱にやられる可能性があるし。

そう判断して、予定を1時間早め午前2時に避難小屋を発つことを決心。

寝袋に入ると、疲れていたせいかすぐに眠りに落ちてしまいました

 

・・・・・・

どれくらい眠ったでしょう。

突然、眠りから覚めて目を開きました。

しっかり睡眠をとった手ごたえがあります。

小屋の中は当然ながら真っ暗。

鼻を摘ままれても分からないくらいの深い闇です。

もう一度眠ろうと目を閉じましたが、妙に目が冴えて眠れません。

 

・・・・・・

闇の中で目を開いたまま、5分ほどたったころ、

突然、小屋のスチール製の壁を外側から「ガン! ガン!」と叩く音が。

(3度、規則正しく打つ音が聞こえました)

 

ええっ!
ぼくは驚きのあまり、横になった状態から、文字通り少し飛び上がりました。

小屋は大きなドラム缶のようですから、ビックリするくらい音が響きます。

聞き間違えようもありません。

たしかに、連続して壁を叩く音が聞こえたのです。

 

ぼくは息をひそめ、そのままの姿勢で壁の外の気配を察知しようと努めます。

何かが外にいるなら、足音は聞こえるはずです。

もしかすると、話し声や息遣いが聞こえるかもしれません。

 

とてつもなく緊張した時間が流れます。

しかし、数分待っても何の音もしませんでした。

 

ぼくは意を決して、外を確認することにしました。

もしかすると、要救助者の可能性もあります。

ゆっくりと小屋の扉を開け、外を伺いますが、何の気配もありません。

外に出て、ライトを点灯してみます。

やはり、何の姿もありません。

小屋の周囲を確かめてみますが、動物の足跡もありませんでした。

 

霧はすっかり晴れて、きれいな月が出ています。

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時計を見ると、22時20分でした。

 

ちなみに、ぼくはあまり幽霊のようなものは信じていません。

ただ驚いたという事実をそのまま書きました。

今回の音も、そもそも心霊現象のようなものとは思っていないのです。

恐れたのは、悪意のある人間が小屋に来たのではないかということでした。

後に考えてみたのですが、あの音は、甲虫のような硬さのある虫が、壁にぶつかったのではないでしょうか。

不安な精神状態のせいで実際以上に音が大きく聞こえたのでしょう。

なので、これからこの山域に入る人は、どうか変に恐れることなくこのルートを楽しんで貰えればと思います。

しかし、それにしては音が規則的だったような気もしますが、いずれにしても不安な夜の出来事でした。

 

まだ出発までには数時間あります。

もう少し眠っておきましょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は夜の稜線歩きと夜明け、そして平標山のことを書きますね。

次回の旅はコチラ⤵ 


それでは、また。

( ;´Д`) バイバイ

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