電験三種『法規』科目合格の勉強法:電気素人アラフィフ親父の独学挑戦

受験動機

ふたば亭プラスです。

私はアラフィフの電気素人の親父ですが「何ごとも経験」と思い、電験三種にチャレンジして、1年目に『理論』2年目に『機械』に合格しました。

残すは『電力』と『法規』の2科目。

3年目に両科目に合格しなければ、『理論』が復活してしまうのでそうなると負のスパイラルに・・・。
それは是が非でも避けたかったので、かなり念密に勉強計画を立てて取り組見ました。

結論から言うと、無事両科目に合格し、電験三種の資格を手に入れたのですが、その時の勉強法について紹介していきます。

この記事では『法規』に特化。

『法規』の科目合格を目指している方は参考にして下さい。


なお、他の3科目『理論』『機械』『電力』に科目合格した時のブログ記事は下記にまとめています。


そして、これが電験三種合格までの総まとめの記事。


申し込み

【受験費用】

¥4,850(インターネット)
¥5,200(郵送)

2科目受験でも、4科目受験と同様の費用がかかります・・。

【申請先】一般財団法人 電気技術者試験センター


合格率

【機械:科目合格率】10.1% 
(過去6年平均)

ここ3年で、合格率は徐々に上昇してきているような感じですね。


参考書&問題集

TAC出版「みんなが欲しかったシリーズ」

このTAC出版のシリーズは、「理論」と「機械」の科目合格の時にも非常にお世話になりました。

私のような電気初心者でも直感的に理解しやすいように、カラーイラストをふんだんに盛り込んで丁寧に解説してくれています。

今回の「法規」も同じシリーズを迷わず購入。

初心者でも読みやすい!
理解しやすい!

また、他の科目と同様、この「電力」のテキストも『問題集』と『教科書』が分離可能で非常に使いやすいのです。

スキマ学習で持ち歩く際、サッとカバンの中に放り込めます。

ただ、難点を言うと、分離後の表紙がただの紙なので、すぐにボロボロになるという事。
でも、自分がどれだけやり込んできたかが分かり易い仕様になってますね(笑)。写真を見て頂くと分かるように私もかなりやり込みましたよ。


「法規」は電験の中では最も対策しにくい科目として受験生から恐れられています。

最も対策しづらい科目

どんな変化球が飛んでくるか分からないし、最近はその変化球がとんでもない方向に曲がったりしてくるのです。

特にA問題(条文メイン)については、その傾向が顕著。
重箱の隅を突いたような問題が大半を占めており、明らかに受験生を落としにかかる気満々。

一方、B問題は計算問題がメインであり、A問題に比べればまだまとも。
しかも、その解法もある程度パターン化しており、コツさえつかめば簡単に解けてしまいます。

A問題条文がメイン
B問題計算問題がメイン

B問題に主力を置いて勉強するのがオススメ

なお、それぞれの点数配分は下記のようになっています。

<点数配分>

A問題10問配点:60点
B問題6問配点:40点

よって、もし仮にB問題で40点満点を取れば、A問題は10問中4問さえ正解すれば、合格基準点(60点)に手が届くのです。

少しは希望が見えてきたでしょうか?

それでは、具体的にどのような勉強を心がけていけば良いのか、自らの経験則から会得したポイントを説明していきます。


(1)A問題(条文がメイン)

先ほども記載したように、A問題は条文がメインですが、その条文を全て覚えるのははっきり言って不可能です。

弁護士に合格するくらいの知力と記憶力があれば別ですが、我々一般人には絶対に無理。

但し、この条文について、覚えておくと点数が取りやすい「フレーズ」がいくつか存在します。

最低限、代表的なフレーズは頭に入れておく

具体的には下記7つ。

電気使用者の「利益」を保護

電気工作物の「工事」、「維持」及び「運用」を規制

公共の「安全」を確保

「環境」の保全を図る

「感電」または「火災」

人体に「危害」、物件に「損傷」

「電気的」または「磁気的」

これらの言い回しを頭に入れておけば、主に空欄穴埋めのような問題で威力を発揮できると思います。

また、それぞれのフレーズに対して実際の条文はどのようになっているのか、確認する事で記憶も定着しやすくなるでしょう。

あと、最近の傾向として『分散型電源』の比率が徐々に増えてきています。

分散型電源は狙い目

具体的には「解列」「逆潮流」「単独運転」「自立運転」・・・などの用語。
これらが何を示しているのか、しっかりと理解しておく必要があります。

更に、近年では第一種電気工事士で出題されそうな問題も見かけるようになってきました。

第一種電気工事士に近い範囲の問題もあり

もし手元にテキストがあればパラパラと見ておくをオススメします。


(2)B問題(計算問題がメイン)

B問題で出題されやすい項目を一覧表でまとめてみました。

計算問題><重要度>
力率改善
B、D種設地工事
風圧荷重
絶縁耐力試験
需要率、不等率、負荷率
電線のたるみ&支線の張力
送電&受電電力
水力発電
地絡電流&短絡電流
絶縁電線の許容電流
変圧器の効率
高周波電流
電圧降下
低圧幹線の施設
地絡遮断
コンデンサの絶縁劣化

分類としては大体こんなものかと思われます。
そして、これらの大半は『電力』と範囲が被っています。

『電力』の知識が活かせる

よって、最も望ましい勉強法は、『法規』と『電力』を同時に勉強する事。
『電力』を科目合格していて、『法規』のみ受験するという方も電力の範囲を復習しておいた方が効率はアップするでしょう。

 


翔泳社「電験三種出るとこだけ!」

私は職場まで電車通勤をしているのですが、電車の中でもサッと取り出して勉強できるようなコンパクトな参考書も追加で購入しました。

サイズは、横12cm × 縦18cm × 厚:1.5cm

持ち運びに便利!
上着のポケットにも入るくらい。

スキマ学習に最適

超重要項目のみをポイントを絞ってまとめてあり、更に過去問をベースとした頻出問題も掲載されています。

私は「みんなが欲しかったシリーズ」で理解した部分について、復習するという位置付けで活用しました。

こんな感じで、片手にすっぽりとおさまります。

 

ただ1点注意して欲しいのが、これ1冊のみで勉強するのは危険。

「法規」のページは60ページほどで、かなり端折って編集されています。
図面のほとんど載っていません。
そもそも一から説明するようなコンセプトで作られておらず、あくまでも確認用として活用すべきもの。

この手のコンパクトサイズのテキストは、他にもたくさんあり、例えば不動弘幸先生の「電験三種公式用語集」なども有名です。
この2つをどちらを買うか、書店で並べて読んでみましたが、まあ似たような内容。

どれを選ぶかは、個人の好みでしょうね。
コンセプトは大差ありません。


TAC「電験三種の10年過去問題集」

「理論」と「機械」は電気書院の過去問(通称:電話帳)を使っていたのですが、とうとうTACから『電験三種の10年過去問題集』が発売されました。

電験三種過去問界への新規参入ですね。

テキストはTACをメインで揃えているので、思い切って購入してみた所、解説の丁寧さと情報量の多さに度肝を抜かれました。

電気書院の過去問でも充分過ぎるほどの完成度だったのですが、これはその上をいってます。

解答の解説がとてつもなく詳しい。
分かりやすい!!

とにかくイラストと図表が多く、視覚的にも容易に理解できるし、更に似た問題があると、同じような解説を端折らずに何度も繰り返してくれるのです。

自然と繰り返し効果が体感できます。
意識する事なく、頭にすんなりと入ってきて記憶に定着!

あと、構成として非常にありがたいのが、「問題編」と各科目ごとの「解答編」を分離できる事。

分離可能!

テキストと同じコンセプトですね。

 

全体の厚みは、50mmを超えますが、こんな感じで科目事に取り外せます。

これなら持ち運びに苦労しないし、電車の中でも読めてしまいます。


雑誌「新電気」

参考書以外に活用したのが、オーム社が発行している「新電気」。

お目当ては、付録の「電験三種合格ブック」と予想問題集。

付録がスゴイ!

超絶に役立つ!
『電験三種合格ブック』

毎年、新電気の5〜7月号あたりに付いてきます。

この合格ブックは試験に出やすいポイントが非常によくまとめられており、持ち運びにも便利なので、上記で紹介した翔泳社の「電験三種出るとこだけ!」と併せてスキマ学習に活用させてもらいました。

毎日持ち運ぶ内に、こんなにボロボロになってしまいました・・。


なお、『予想問題』も毎年掲載されており、電験試験開催前の月(8月号)に特集が組まれることが多い模様。
直前の総復習にも役立つと思いますよ。


YouTube動画

今やあまりにも有名になった電験三種対策用動画。

アカウント名
「電験合格」

この動画シリーズには『理論』と『機械』の時も大変お世話になりました。

そして、引き続き『法規』も聴講。

無料とは思えない程の内容の濃さ。
そして、有料コンテンツでも充分通用する程のボリュームがあります。

圧倒的に分かりやすい神講義。先生のスキルが異常。

講師の先生は、おそらくどこかの高校(高専or工業高校?若しくは別機関からの非常勤講師?)で教鞭を取っている方なのでしょう。その日の授業の内容をフルバージョンで動画を取って、YouTubeにアップしてくれているのです。
1本の動画が、60分〜90分あり。

多分、学校の生徒向けに動画をアップしていると思うのですが、パスワードをかける事もなく一般にも公開してくれています。

私のような素人の独学者にとっては神のような動画。実際に授業に参加しているような錯覚に陥ります。

そして何よりも素晴らしいのが、この先生の教鞭のスキル。
基本から応用にかけて、とてつもなく分かりやすく噛み砕いて説明してくれます。電気初心者でもすんなりと理解できるでしょう。

電験の公式は暗記するものではない。理解するもの。

毎回、この先生は口癖のように言われており、公式の一つ一つを「なぜそうなるのか?」懇切丁寧に教えてくれます。お陰様で私は、法規の計算問題に関する公式を一切暗記する事なく、試験に臨む事が出来ました。

これから初めて電験を目指される方は、必ず見るべきです。
神講義を存分に楽しむ事ができるでしょう。


そして、その他のYouTube動画の中で、非常に参考になった動画を紹介しておきます。

エネルギー管理センターが毎年開催している電験三種講習会での講義動画。
本来は受講者用の動画だと思うのですが、何故かYouTubeで無料で見れちゃいます。

<初級編>

<中級編>

一本の動画が約1時間。
それが各科目の初級&中級で、それぞれ6〜7本あるのでかなりのボリューム。

長時間なのですが、飽きる事なく見る事ができました。

何よりも講師の西山先生の知識量が半端なく、電力会社に務めていた頃の体験談も交えて面白おかしく講義を進めてくれるのです。
電験一種をお持ちの方なので電気に詳しいのは当然なのですが、初心者にも非常に分かりやすく丁寧に解説してくれてます。

電験知識の現場での重要性がよく分かる!

電験合格先生が「学術的な授業」なのに対し、西山先生は「実践に即した授業」といった感じ。

私はこれを通勤時間にスマホで見てました。


受験当日

いよいよ受験当日。
場所は大阪工業大学の枚方キャンパス。

駅から大学まで遠く、臨時のバスに乗って行ったのですが、バスの車内は当然ながらほぼ全員が電験受験生。
参考書を見ている人も多く、空気がピリピリしていましたね。
熱気というか「やってやるぞオーラ」が凄かった。。。

今回、私は『電力』と『法規』の受験なので、11時頃に会場に入ればいいのですが、雰囲気に慣れるために早めに到着しました。

会場内に自習室もあり、そこで間違えやすいポイントの最終チェックを行なっていたのですが、自習室はほぼ満席。

100人くらいはいたと思うのですが、シーンと静まりかえっており、一心不乱にノートに字を書いている人、ものズゴイ速さで電卓を叩いている人、テキストを食い入るように見ている人など・・・、国家試験会場独特の緊張感がありました。

私はこれまで様々な国家試験を受験してきましたが、この緊張感が大好きなんです。
大勢の人が一つの目標に向かって全力で勉強に取り組んでいる一員になっているという一体感がたまりません。

そして、いよいよ「法規」の試験開始。
時間は16:25〜17:30。

既に問題は公開されているので、こちらと併せてご覧下さい。
令和2年度第三種電気主任技術者試験 法規科目 問題
令和2年度第三種電気主任技術者試験 解答

今回の法規は例年に比べると解きやすかったですね。

難問&珍問もいくつかありましたが、大半は素直な問題が多かったように思います。

あと度肝を抜かれたのがB問題で「穴埋め」の文章問題が出題された事。
問11(a)(b)。
しかもそれほど難しくない内容。
サービス問題の位置づけだったのでしょうか。

昨年(令和元年)の法規が、かなり難しかったので難易度を下げてくれたのかもしれません。

私にとってはラッキーでした。

ただ、問13(a)(b)については完全にミスをしてしまいました。
第5高調波について、それほど真剣に取り組んでいなかったのです。

知識として少しでも知っていればいとも簡単に解く事ができたと思うのですが・・・、もったいない事をしました。

ちなみに、冒頭で難問&珍問と言った中の一つは問8です。
遊戯用電車や電気容器の使用電圧なんて大半の受験生は知らないですよ。
こういう問題を作成する意図は、明らかに「落とす」ためなのでようね。

各問題の個人的な「難易度評価」と、「自己採点結果」を下記にまとめました。

問1
問2
問3
問4 普通
問5 普通
問6 普通
問7 普通 ×
問8 ×
問9 普通 ×
問10 普通
問11a 普通
問11b 普通
問12a ×
問12b
問13a 普通(勉強範囲外) ×
問13b 普通(勉強範囲外) ×

自己採点結果
62点(10/26)

何とかギリギリ合格点に滑り込みました。
自己採点している時は手が震えましたね。


試験結果

そして、ネット上の合格発表の日。
無事に合格している事を確認できました。

自己採点で分かっていたとはいえ、こうして正式に合格した事を確認できると嬉しいものです。


今後

これまでの試験結果はこんな感じ。
目標としていた3年で全合科目格できました。

   理論  機械  電力  法規
平成30年
令和元年
令和2年

そして何より電験の勉強を通して、電気の面白さや奥深さを実感できた事が何より嬉しかったですね。

今後は更なる上を目指して、「エネルギー管理士」や「電験二種」も視野に入れて勉強を継続していこうと思います。