團菊祭五月大歌舞伎「祇園祭礼信仰記」@歌舞伎座 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

「金閣寺」

松緑/雀右衛門/愛之助/坂東亀蔵/左近/吉弥/福助

 

 大型連休最終日に観てまいりました。歌舞伎らしい趣向がいろいろあって、割と好きな作品です。松永大膳が刀を瀧にかざすと瀧壺から龍が現れたり、雪姫が桜の花びらでネズミを描くと本物の白ネズミが現れて雪姫の縄を食いちぎったり、その白ネズミが最後にパッと桜の花びらになって散ったり……、しかもその龍や白ネズミの小道具が可愛いくてね☺️

 

 松緑の松永大膳は今回で3回目だそうです。大膳は主君である足利義輝を殺して天下を狙う極悪人で、パワハラ&セクハラし放題なばかりでなく、縄で縛られた雪姫を見て欲情するというサドっ気も満載。役者として演じ甲斐があることでしょう😆  松緑は押出も立派で見栄えがするし、役のニンがあると言っていいと思う。しかし何だろう、ふてぶてしさがあとひとつに感じたな〜。国崩しとしてはもう少し重さや太さがあるといいなと思いました。でもまだ若いし、4回、5回とさらに回を重ねれば当代一の大膳になる予感が!👍 それにしても、あんな際どいセリフを真面目な顔で堂々と言ってるの笑っちゃう💦

 

 それに相対する此下東吉は愛之助。初役だそうですが、こちらもハマリ役でした。歯切れの良いセリフ回しはもちろん、裃姿もあでやか、さらには終盤で登場したときの武将姿がとてもよく似合う愛之助のこういう才知に長け颯爽としたお役をもっと見たいです。

 ところで、大膳が井戸に投げた碁笥を東吉が手を濡らさずに取り上げるところ、雨樋に瀧の水を引き入れて水位を上げるという知恵を働かせるんだけど、雨樋の先に水流(小道具の絵)をストンと出す演出があって、おっ?とびっくり。(小さいことですみません。自分の記憶では、今まで、雨樋の先をただ井戸に向けるだけで何やってるのか分からないよねと思っていたので、これで意味が通じると感心したんですが、もしかしたら今までもその演出あったのか?🙄 気付かなかった)。

 

 雀右衛門の雪姫はあでやかで乙女っぽくて健気で、安定のお姫様でした。桜の木に縄で縛られた姿は儚げで哀れを誘う。夫を救うために大膳に身を任せる決心をするところや、大膳が父の仇と知って刀で向かっていくところなど、可憐でありながら芯のあるところをキリッと見せるところがうまいし、夫の元に向かう途中で刀に姿を映し髪を整える無意識の女心の見せ方が可愛い。立女形のポジションに向かって着実に進んでいるなあと思います。

 雪姫が縄で縛られたところですが、縄を肩のすぐ下あたりに回すので、動くうちに肩からスポッと外れてしまわないだろうかといつも気になっていたんですよね。そしたら今回(今までもそうだったかも?)後ろに控える黒衣さんが、縄がずり上がって抜けないよう、ギュッギュッと上から押し下げていた😅(コレ、2回ほどやっていた)。やっぱり気になるのねって思いました。

 

 坂東亀蔵の軍平がキリッとすっきりして良い感じ。所作もきっちりしていたし、もちろん美声が耳に心地よい。大膳に仕えるふりをして実は東吉の家来というところも、亀蔵の爽やかな雰囲気に合っていると思う。4月「天一坊大岡政談」での池田大助に続き、良いお役で嬉しいです。そして、珍しい吉弥の立役(直信)スッとして上品、セリフにも雅な味わいがありました。シネマ歌舞伎「桜姫東文章」下の巻を観たばかりなので、長浦とのギャップが😆

 

 福助の慶寿院尼は2018年の秀山祭歌舞伎座以来。あのときよりもセリフがしっかりしている……というか、ほとんど普通になっていました🎉  それにしても(前にも書きましたが)、2018年のときと同様、ここは雪姫を児太郎に演じさせてほしかったな。雀右衛門ではダメという意味では全くありませんよ🙇‍♀️  同じ月に親子で歌舞伎座に出ているのに、児太郎をわざわざ第二部「暫」に振るのは何故? 松竹さんなりの考えがあるのかもですが、なんだかなーと思ってしまう。あるいは海老さんの意向だとしたら、海老さん、児太郎をもう解放してあげてって思う。同世代の若手が第三部「弁天娘女男白浪」で大役を演じているのにね……。児太郎にもっとお役をつけてあげてほしいです🙏(←しつこく言う)。

 

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