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コース全図(くぬぎ平・ぶな峠・旧正丸峠・高山不動)

 

 

 高山不動」へ行く途中で、「奥武蔵グリーンライン」の尾根に紅葉のパッチがあるのを見て、行ってみたくなった。国土地理院地形図で広葉樹マークの多い場所を選んで計画を立てた。結果的には、紅葉には遅すぎた。奥武蔵でも稜線は、南斜面の「高山不動」よりも紅葉が早かったのだ。車道歩きでモミジもないではつまらないので、正規の登山道から外れて、枯れ葉の山を踏み分けてみた。

 

 

 


 

 シルエットは行程の標高(左の目盛り)。折れ線は歩行ペース(右の目盛り)。標準の速さを 100% として、区間平均速度で表している。横軸は、歩行距離。

 

 出発点は、ときがわ町営バスの「椚平(くぬぎだいら)」。現在は乗り合いタクシーのオン・デマンド運行で、事前の予約が必要(町外者の当日予約も、電話で相談可)。

 


 

 

 山で、樹木の名がついた地名は、たいてい実際と違う。ブナ平にブナがあったためしはないし、カヤノキ峠は、カヤが生えない高度にある。しかし、ここの「くぬぎ平」は、杉・ヒノキの植林を主体とするものの、クヌギ、クリ、コナラなども生えている。

 

 尾根すじに出るまでの昇りは、散開した集落の中をゆく。車道を歩いたり、山路に入ったりする。当然に分かれ道が多いのだが、尾根すじまで道標はまったく無い。GPSを持っていても、よほど注意しないとドン詰まりに迷いこんだり、大きく遠回りすることになる。

 

 

 

 

 ↑上の道へ。車庫のあるほうへ入って行くが、民家に闖入するわけではない。

 

 ↓このように、石垣で整えられた公道がある。

 

 

 


 サザンカが咲いている。
 

 



 「くぬぎむら体験交流館」に突き当って、車道を左へ昇る。

 

 


 

 

 「稲荷前」「山猫電鉄バス」と手書きで書かれたトトロのバス停?に着く。右奥の植林の中に「越沢稲荷」がある。幹回り 6mの巨杉が御神木になっている。

 

 

 

 

 そうは見えないが、ここで尾根筋に達している。水道貯水槽の左奥で、「ブナ峠」に上がってゆく尾根路と出会う↓。

 

 

 


 ↓尾根道は、二輪が通れる幅だ。オートバイ通行禁止の警察署の札が、しつこいくらい貼ってある。一部の質の悪いライダーが迷惑をかけたのだろう。

 

 

 

 

 杉、檜の植林地だが、尾根の向う側(西側)は自然林だ。コナラ、クリ、クヌギ、シデ、エンコウカエデ、メイゲツカエデ、ホオノキ、ハリギリ、アセビなどが混じりあう。それにしても、ここはほとんど紅葉していないのに、葉の落ちた木が目立つ。

 

 

 

 

 ↓「砥石のヒノキ」。幹回り 3.7m。「砥石」は地名。ここはブナ峠の峠道で、かつては都幾川と吾野のあいだで行き来が盛んだったという。

 

 

 


 2本の大ヒノキの下に山の神の祠↓。よく見ると小さな猫がいる。

 

 

 

 

 ↓「おそよ地蔵」。「ふるさと伝説 おそよの墓」という立札もあるが、どんな伝説なのかわからない。ネットを検索してみたところ、ときがわ町役場に問い合わせた人が「YAMAP」にいた:

 

「おそよ地蔵の件をときがわ町に問い合わせた所、回答を戴いた。
 《くぬぎむら体験交流館》で販売している冊子『道すがら』に掲載されているとの事でした。
 概略の話は嫁
(とつ)ぎ先から逃げた「おそよ」を夫が追いかけ、ここで殺したと言う事です。姑と合わなかったのか、夫が今で言うDVなのかは定かではありませんが、辛いのを我慢しきれなかったのでしょう。
 村人が気の毒に思い、地蔵を立て供養をしたと言う言い伝えだそうです。」

⇒:YAMAP活動日記サヤマハチロウさん 


 

 

 

 あまりに悲惨な話(DVの実話っぽい)なので、現地には表示しないのかもしれない。しかし、碑文を判読すると、:

 

 「□化三寅天」「□為壽芳賛」「一月十九」

 

 「文化四兎年正月吉日」 (地蔵像) 「施主村中」

 

 とあって、文化3年は 1806年。江戸時代の話だ。文化5年には間宮林蔵が樺太を探検して間宮海峡を発見、長崎でイギリス船フェートン号事件が起きている。

 

 ↓「ブナ峠」「奥武蔵グリーンライン」。やはり、ブナは生えていない。山路は「グリーンライン」のわきを昇って行く。

 

 

 

 

 句碑がある。「万緑を/顧(かえりみ)るへし/山毛欅(ぶな)峠」

 

 この峠では、「ぶな」は、「檥」「山毛欅」――2通りの漢字で書かれている。漢和辞典を引くと、「檥」は「ふなもよい」。舟をもやって停泊しておくことだ。「ふなもよい」を「ぶな」に当て字か?

 

 

 

 

 ヒノキ林の中にピークがある。北側に出ると、ミズナラ、リョウブ、コナラ、クリ、ウリハダカエデなどの自然林だが、葉はすっかり落ちている。モミジ狩りには遅すぎた。

 

 

 

 

 


 ↓「刈場坂(かばさか)」に到着。オートバイとジョギングの人ばかりだ。天気予報は快晴なのに、この雲は何だ! そういえば、きょうは仏滅だった←

 

 

 

 

 それでも、北側の見晴らしはよい。左が川木沢ノ頭、右が堂平山。中腹はまだ紅葉しているようだ。

 

 

 

 

 ↓都幾山~小川町方面。雲が足もとと同じ高さにある。きょうの雲は低い。下では“天上の光芒”を見ているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

タイムレコード 20211123 [無印は気圧高度]
 椚平840 [GPS297m] - 910越沢稲荷 - 950西平分岐1010 [655m] - 1026砥石のヒノキ[742m] - 1042ブナ峠1045 [775m] - 1053ピーク(丸山)1100 [833m] - 1126ツツジ山分岐1128 [784m] - 1143刈場坂峠1150 [822m] - (3)につづく。

 

 

 

 

  Ettore Tito (Italian, 1859-1941):  Bordi di laguna            

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