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 創刊時の編集委員は、石牟礼道子、井上ひさし、久野収、筑紫哲也、本多勝一。現在まで継続して編集委員をしているのは、本多勝一氏のみ。現在の編集委員は、本多勝一、雨宮処凛、宇都宮健児、想田和弘、田中優子、崔善愛、中島岳志。編集長文聖姫、発行人植村隆。「ブレない雑誌」としては、日本でもっとも信頼性と定評があるといってよい。

 

 現在では、書店の店頭に出ることはほとんどなく、定期購読による郵送を基本としている。重要記事の一部(!)を掲載する電子版↓もあります。

 

 

 

 

〔1〕 「職場のLGBT白書」

差別的言動受け 心身の健康を壊す

 


『認定NPO法人虹色ダイバーシティは、職場におけるハラスメントについて調査。それをまとめた「職場のLGBT白書〔…〕アンケート調査に寄せられた7,162名の声から」についての報告会を、昨年12月23日、オンラインで開催した。

 

 白書は、日本の職場で働いた経験のある 15歳以上を対象に、〔…〕調査データを再分析したもの。〔…〕

 

 同性パートナーシップ制度を導入する地方自治体は3年間で増え、利用者も昨年9月末で 2273組と急増。職場での福利厚生の申請に活用されるなど、LGBT施策は進んでいると評価した。

 

 一方で、職場の心理的安全性やLGBTのメンタルヘルスは改善されるに至っていないと指摘。アライ(「味方」、〔…〕LGBTについて理解して支持する人)が職場にいると、当事者が安心して働ける傾向があるが、〔…〕アライの数には「事業規模による格差がある」と指摘。「周囲を説得する力量をもつリーダー的な立場のアライの育成」の重要性を強調した。〔…〕

 

 調査では、出生時の性別、性的指向、性自認によって、心身の健康に特徴がみられ、たとえば排泄障害はトランスジェンダーに多いことがわかった。戸籍上の性と自認する性が異なり、望む性では働けないため、自認する性のトイレを使いにくいことが要因ではないかと村木さん〔「虹色ダイバーシティ」理事長〕は考察する。

 

 LGBTは〔…〕差別的言動にさらされやすいなどの理由で心身の健康面で困難な状況にあり、とくにトランスジェンダーで顕著な傾向だ。たとえば心理的安全性の指標はトランスジェンダーがもっとも低く、この3年間で下がったという。うつ病だと答えたLGBTは非常に多く、なかでもトランス女性では 36.5%と高く、「非常に怖いデータだ」と村木さんは危惧する。

 

 さらに、カミングアウトしている人はトランスジェンダーに多いが、「カミングアウトを避けられない状況に置かれる可能性が高いということ」との指摘もあった。〔…〕

 

 LGBTは経済的に困窮しても行政に相談しにくいというデータもあり、とくにトランスジェンダーにその傾向が多い〔…〕 

 

 カミングアウトによる不採用や、差別的状況の改善がなされなかった経験の記述が多く見られた〔…〕

 

 LGBTが受ける差別的言動の多くは、すり込まれた「男らしさ」「女らしさ」と異なるという異和感や、異性愛を前提とする考えに基づいて行われている〔…〕

1月14日号, p.9. 

 

 


 

 

〔2〕 韓国映画 『声もなく』

新フェミ世代による社会派コメディーの快作

 

 

 監督&脚本 ホン・ウィジョン
 アジア・フィルム・アワードほか受賞
 2020年 韓国 99分
 ● 1月21日(金)より、
東京・シネマート新宿で公開 ほか全国で公開。
 


『主人公は口のきけない青年テイン。足の悪い相棒と、犯罪組織から死体の清掃を請け負って日銭(ひぜに)を稼いでいる。ある日、誘拐した少女を1日だけ預かってほしいと組織に頼まれたことから、2人は事件に巻き込まれていく。

 

 〔…〕スリリングな犯罪映画である。ズッコケな2人を中心に、皮肉の利いたコメディとしても楽しめる。加えて、〔…〕重い社会問題も背景にしっかり描かれる。

 

 父親は、娘だからと身代金を値切る。少女自身も、弟にしか関心のない親を知っているから、身代金を払ってもらえず殺されるのではと怯え通しだ。少しでもテインに気にいられようと、掃除、洗濯を買って出て、疑似家族のようにふるまいはじめる。

 

 本心で兄のように慕っているのか、見せかけなのか。もはやわからないほど、女に生まれたがゆえの社会的な生存能力を身につけた 11歳の少女の器用さが切ない。

 

 〔…〕監督は 1982年生れの女性〔…〕韓国の新フェミ世代だ。』

1月14日号, p.56. 

 

『声もなく』予告編から

 

 

 

 

〔3〕 チリ新大統領は36歳

世界ワースト7位の貧富格差を改善できるか

 


『チリで 3月11日、昨年12月の大統領選決選投票に勝った穏健左翼ガブリエル・ボリッチ氏(35歳)が大統領に就任する。貧富格差に苦しむ有権者は「公正社会実現」の願いを青年政治家に託したのだ。

 

 〔…〕移民家庭に 1986年生れたボリッチは、首都サンティアゴの国立チリ大学法学部に進学。〔…〕学連指導者として名を上げ、 2014年から連続2期、革新系の国会下院議員を務めてきた。

 

 ピニェーラ第2政権下の 2019年、首都地下鉄の料金値上げ反対に端を発した「学生蜂起」は、弱肉強食の新自由主義政策に反旗を翻す。治安警察隊が激しく弾圧し〔…〕36人が死亡、失明者約50人を含む2500人が負傷。逮捕は12万人を超えた。多くの女子学生が拘置所内で性的暴行を受けた。


 退陣を迫られたピニェーラ大統領(72歳)は譲歩。〔…〕1980年以来の現行軍政憲法に替わる民主憲法制定に応じた。このとき野党側で粘り強い対話と決断で交渉能力を発揮したのが当時33歳のボリッチ議員だった。』

1月14日号, p.18. 

   

 2020年10月の国民投票で、新憲法制定と、制憲会議(男女同数。国民の選挙で選ばれる)設立が、80%の賛成を得て決定された。2022年7月には、起草作業を終えた民主新憲法が、国民投票にかけられる。

 

 

チリ議会上下院、同性婚法案を圧倒的多数で可決。(2021年12月 CNN) 

 

『2019年の学生蜂起で政界は流動化し、〔…〕ボリッチの党「拡大戦線」をはじめ新興勢力が台頭。ボリッチは 21年〔…〕中道勢力ではなく〔…〕共産党と「尊厳」連合を組む。

 

 7人が出馬した昨年11月21日の大統領選では、〔…〕ピノチェー軍政を礼讃し、「左翼取締り」「治安・秩序優先」「大企業減税」などを唱える〔…〕カスト弁護士(55歳)が1位で決勝に進出した。〔…〕元ナチスドイツ陸軍士官の息子とされ、親譲りの極右。

 

 驚愕した有権者は2位で決勝に臨んだボリッチ氏を支持、11ポイント差の勝利に導いた。ボリッチ〔…〕新自由主義体制下で民営化された淡水水利権、年金制度、教育などの再国営化や、富裕層への累進課税制導入など、国家関与拡大による「誰もが主人公の公正な社会」の建設を公約している。


 〔…〕ボリッチ支持勢力と保守派は国会上下両院で拮抗。改革諸法を成立させるのは容易ではない。

 

 〔…〕決戦でボリッチを支持した中道諸党に譲歩しすぎれば、共産党との確執は必至。一方、政府に対峙する先住民族マプーチェは〔…〕ボリッチを信用していない。

1月14日号, p.18. 

 

 

 


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