【注意】~1:42:00まで:ソウル光化門前での弾劾反対派(尹錫烈支持派)集会。1:44:15~国会前での弾劾賛成派集会(約24万人)。

 

 

 

 

 

 

 

 

〇きょう(14日)午後4時から開かれた韓国国会(1院制)で2回目の「大統領弾劾訴追案」採決(無記名投票)が行われ、賛成204,反対85,棄権3,無効8 で可決された。在籍議員全員が投票に参加した。

 

〇これにより、尹錫烈〔ユン・ソンニョル〕大統領は職務執行停止、韓悳洙〔ハン・ドクス〕首相が大統領職務代行者として大統領権限の行使にあたる。首相はすでに数日前、韓東勲〔ハン・ドンフン〕与党代表とともに大統領に代って国政運営にあたる旨を表明しており、当面は平常の国政運行が期待できそう。これまで、大統領の・多数野党との厳しい対立のために、来年の予算が成立しないなど国政がストップする事態が続いていたが、韓悳洙首相は、より穏和な姿勢で野党との協調を図るものと見られる。予算は、「非常戒厳」解除後に野党が修正予算案を可決しており、首相(大統領職務代行)が拒否権を行使しなければまもなく成立する。

 

〇13日韓国ギャラップの世論調査によれば、75%が弾劾に賛成、21%が反対(与党支持者の 66%が反対)。大統領の支持率は 11%、不支持率は 85%。大統領は、12日の国民向け談話で「非常戒厳」は正当だったと主張し、憲法裁判所で弾劾却下をめざして争う姿勢を表明している。

 

↑いちばん上の動画を見ると、弾劾反対派と弾劾賛成派の集会にハッキリしたふんいきの違いのあることが感じられる。↓次のTBSの報道でも、現地のキャスターがそのことを伝えている(1:18~2:15 19:45~20:57)。残念ながら、東京のスタジオは、それが解っていないようだ。10年ほど前、私は現地の人たちと、国会議員が壇上で演説する政治集会に参加したことがあるが、反対集会の雰囲気は、あの頃と変っていない。参加者全員による厳粛な国歌の斉唱、号令・黙祷のあと、大音声での激烈スピーチがあり、シュプレヒコールがあり、たくさんのプラカードの波がある。ところが、↑上の動画で見る弾劾賛成派のふんいきは、まるで違う。現地キャスターによれば、韓流アーティストのライブのようだという。もちろん、ライブと違う点もある。現地キャスターが言うように、参加者たちは、何時間も野外の極寒に耐えて訴え続けているのだ。

 

 

 

 

 

 

〇弾劾の是非を審理する憲法裁判所は、現在、裁判官に3名の欠員がある。弾劾裁判に定められた定足数(7名)に足りないとの報道もある。野党は、欠員補充の準備をしており、首相(大統領職務代行)とのあいだで合意が成立すれば、(親派でない)中立的な裁判官が任命される可能性がある。

 

〇憲法裁判所は、通常の司法裁判所(最終審は「大法院」)の系列とは異なって、裁判官も法律家ではなく、政界の長老のような人が任命されるとされている。その判断も、純然たる法律的判断ではなく、高度の政治的判断とされる。大統領は、「非常戒厳は大統領が専管する〈統治行為〉であり、憲法裁判所には判断権がない」として却下を求める意向。しかし、憲法裁判所の・このような政治的性格からすれば、「統治行為論」を認める可能性は低い。本案に踏み込んで、罷免判決〔大統領は解職〕または棄却判決〔大統領は復職〕を下すものと見られる。

 

〇一方、大統領と、「非常戒厳」に関与した軍・警察・政府首脳に対する「内乱罪」捜査が急速に進展している。警察と検察が、それぞれ「特別捜査本部」を設けて別々に捜査しており、両者の競合・先陣争いが捜査進展に拍車をかけている(日本と違って、検察・警察のあいだに指揮監督関係が無い)。さらに、「高位公職者犯罪捜査処」という汚職捜査専門の部署(警察でも検察でもない)も名乗りを上げて捜査を開始している。国会では、検察庁とは別の「特別検察官」を任命する動きもある。われわれの観念からすると、「船頭」が多すぎて(4者競合?)どうなることやら……と思われる状況ではある。

 

〇ともかくも、憲法裁判所での弾劾審理という解決の道筋が見えてきたこと、大統領職務代行者が決まったこと(ただし、韓悳洙首相も「非常戒厳」に関与した疑いがあり、首相に対する弾劾を推進する向きも一部にある)から、当面の国政および市民生活は平穏を取り戻すものと見られる。

 

 ともかく、訴追と職務代行が成立してよかった。

 

 



大統領公邸前で弾劾を訴える市民。12月12日。©聯合ニュース。

 

 

 

 

 

 

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