中国でもデジタルタトゥー

中国でもデジタルタトゥー

寿司で検索したSNSウェイボーの結果(モザイク処理はKWTにて)

 「回転寿司のビジネスモデルを崩壊させた」など影響が広がる回転寿司チェーン店でのテロ事件は、すでに別の外食店も波及して「性善説に基づく外食産業の危機」となっている。

 もしかすると、今回の一連の稚拙なテロ事件が訪日中国人のマナーアップへ貢献することになるのかもしれない。

 そのためにも被害企業は、曖昧(あいまい)にすることなく明確な態度を示し、賠償金等を粛々と科す。さらには、それを広く公開することが重要となる。

 現在、中国SNSで寿司と検索するとスシローペロペロ高校生についての投稿が埋め尽くす。

 日本のインターネット上と同様に、顔は丸出し状態で、中国でも一生涯残るデジタルタトゥー状態になっている。

 微博(ウェイボー)上では、日本語でこの高校生がじゅんぺい、さらには本名、高校名、家族構成などがさらされている。

 中国でもすっかりと有名になったペロペロ高校生だが、この件は中国政府にとっても最適なガス抜きとなっているようで、ペロペロ高校生叩きよりも、日本叩きへ展開し炎上している。

「賠償金はどうなる?」に関心を示す中国人も

 日本在住の中国人が日本の情報を発信するというアカウントでは、「野蛮な道徳 日本列島が憤激」として事件について動画投稿している。

 コメントには、「これが日本人の本質」「地に落ちた日本人」「もうスシローには行かない」「まじめとか清潔とかは全部うそ」「日本の現実」「3流国」など、まあ、日本の「ネトウヨ」に相当するネット民なので当然の反応と言えそうだ。

 少数ではあるが、「賠償金はどうなる?」などのコメントも確認できる。

 この点に関心を持っている中国人もいるようだ。

 日本では、すでに一生涯払い続ける億単位の巨額賠償金が発生するなどとも伝えられている。

 しかし、電車を故意に停止させた事件なども含めて、日本ではこれまで、「償いとしていくらの賠償金を払うことになったか」を伝えたメインストリームメディアは少ない。

 「これが次の類似事件を生み出す一因なっているのでは?」と語るのは、東京を中心に30年ほど日本を拠点に生活する中国人実業家Oさん。私見と断った上で、

 「中国は信賞必罰の社会です。成果を出せば、大きな賞が与えられ、ミスや違反をすれば大きな罰が与えられる。これで社会を保ってきました。日本のように性善説に基づく信用社会ではないので、法律を犯し、ルールを乱せば厳しい罰が待っています」

道徳の崩壊か?スマホ+SNSか?

 日本では、誰も見ていなくても「お天道様が見ているから悪いことはしない」という道徳心があったが、そんな道徳心や「ダメなものはダメ」という家庭教育も崩れつつあるのであれば悲しい限りだ。

 また、以前からこの手の事件は存在したが、それが、気軽に動画撮影できるスマートフォンというツールと、手軽に公開して歪んだ自己顕示欲や承認欲が満たせるSNSという存在が、この手の事件を顕在化させてしまっているという意見もある。

 中国でもデジタルタトゥーとなったペロペロ高校生への賠償金額を明らかにし、それをどのような手段で支払うのかまで広く公開することで、日本国内での同様の幼稚なテロ事件への抑止力になるだけはなく、それが中国へも飛び火して中国人への抑止力にも働く。

罰を明確にすることが中国人のマナーアップに

 これから再び訪日中国人が増えてくると予想される。

 彼らが無意識にやっていることが日本ではルールや法律違反となり大きな罰が与えられるとわかれば、コロナ禍前、中国人のマナー違反が社会問題になっていたが、彼らのマナーアップへつながるのではないだろうか。

 日本社会には、そぐわない部分もあるが、罰を明確にし、感情を挟まず粛々と科し、それを広く公開することを抑止力に活用していくことを真剣に考える時期なのかもしれない。

 実は、それが訪日する中国人にとっては、「わかりやすい日本」となり、日本にとってもプラスに作用しそうだ。

 不信用社会の中国式を参考にするようで、日本人としてはやや残念ではあるが…。

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