Social gathering
夫が、仕事終了後の会社のイベントの親睦会に参加するという。そこでは同僚達のバンドも演奏をするとのこと。夫は普段は会社の話をあまりしないので、同僚とそういう場に参加するということに少し安心した。同時に、ついに来たかこの時が!という不安な気持ちにもなった。
その親睦会、当然、アルコールが出るんだよね?
夫は親戚のパーティでは、もちろんアルコールは飲まない。それは、親戚中がみんな夫のアルコールの問題を知っているからであり、また、妻である私が一緒にいるからである。そして、アルコールを飲まない夫に、誰もアルコールを勧めてこない。そんなみんなの無言の協力が、夫にアルコールを飲ませないようにしている。
でも、夫のアルコールの問題を知らない同僚達は・・・。
アルコールを飲まない夫のことを、放っておいてくれるだろうか。
悪ふざけで、夫のドリンクにアルコールを混ぜたりしないだろうか。
そして夫は夫で、誰も夫のアルコールの問題を知らないのをいいことに、その場の雰囲気でつい一口、飲んでしまわないだろうか。
そんな心配事が脳裏をかすめる。でもだからといって、私も今更いちいち「飲まないでね!」などと念を押したりはしない。
当日、夫は私が仕事から帰宅したのと同じくらいの時間に帰って来た。
あまりにも早過ぎて、イベントに参加しないで帰って来たのかと思ったくらいである。
「早かったねー!もう終わったの?」
「もう終わった。片付けを手伝って来たよ。」
その日はみんな仕事を3時半ぐらいに終わらせ、会社で5時ぐらいまで親睦会をしていたらしい。日本のような、夜遅くまでの飲み会を想像していた私は拍子抜けしてしまった。
それでも、やっぱりアルコールはあったんだよね?
そういうことを聞いてはいけない気がして、私はアルコールについては何も聞かなかった。
帰宅した夫の様子は普段と変わりはなく、飲んでいないのは明白で、そのまま最近打ち込んでいる家具(今はテーブル)作りを始めた。
アルコール、きっとあったんだろうけど、飲まなかったんだね。
夫の社会復帰後初めての、いつかは通らなければならないアルコールが伴うイベントが無事に終わり、内心ホッとした。