白井健康元気村

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花に癒される 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㊾

2022-05-05 05:30:53 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㊾

花に癒される

岩崎邦子 

 

 

 まだ寒さが厳しい頃でも水仙や梅の花の馥郁とした香りから、春はすぐそばに来ていると感じる。震える寒さの中でも、プランターや庭先に咲くパンジーやビオラやキンギョソウなどは、目の保養にもなる。手足が冷たい中、パークゴルフ場の片隅に、可憐な菫がここそこで、精いっぱいに咲かせていると、その健気さにやたら嬉しくもなる。散歩に出れば、青いイヌフグリやピンクのホトケノザが顔を出していて、野の花にも「春近し」と教えられる。
 こぶしの白い花が終わる頃には、日本の国花でもある桜の開花日の予測がされて、テレビのニュースでも盛んに報じるが、その桜には中国人も韓国人もかなり興味を持って愛でる人も多いとか。
 1912年に日米友好の証として、日本からワシントンDCに桜がに渡った。タイダルベイスン(ポトマック川に隣接する入江)の3758本の桜は、ポトマック河畔沿いに見事な桜の花を咲かせる。
 ニューヨーク・マンハッタンのセントラルパーク公園に咲く桜の下では、日本人会が開かれたりもするらしい。娘たちの住まいの窓際近くに八重桜があって、その開花を今年は早いとか遅いとか、ちょっとした話題になる。
 さて、そのワシントンDCの桜の季節に、娘家族と私達夫婦が一緒に愛でることが出来たのは、20年近くも前だった。プリンストンから車で3、4時間程のドライブも快適で、ホテルからは地下鉄で市内を移動したものだ。
 ワシントンの街は黒人が多く、彼らの体格には圧倒された。ホワイトハウスの前は、近づかないように柵があって、配備された警備員がにらみを利かせている。
 ポトマック河畔の向こう岸に、細長くスックと立ったワシントン記念塔が見えた。河畔の桜は満開を迎えており、あちこちの国から来ている花見客が大勢いるが、宴会をする場面は見られない。
 日本の桜より多少ピンクの色が濃く、手が届くところにも咲き誇っていて、つい、花びらに手を伸ばしたくなる。リンカーン記念館やスミソニアン博物館も近い。国会議事堂も立派な建物であった。孫たちが小さかったこともあって、国立ワシントン動物園にも行った。日本ではゆっくりと見られないパンダだったが、ここでは悠々と遊ぶ姿を見ることが出来た。
 さてさて、昔話から話を変えよう。
 4月の初旬、「歩こう会」のKTさんから、メールが届いた。この会は、千葉県の「生涯大学」に通っていた頃のクラスメイトがメンバーだ。
 この大学に入学するには、60歳からでないとダメ。健康生活学部は週に一度、2年間通う。主に仲間づくり、新しい知識、ボランティア、について学んだ。
 当時は白井市に在住する者は、「千葉校」が学区ではあるが、交通の利便で「江戸川校(今は東葛飾学園)」への通学が許された。柏市、流山市、松戸市の人が大半で、西白井のSさんと私で30名が1クラスとなった。私は2011年に卒業したが、卒業式は3月11日の関東大震災の影響で取りやめに。後に証書だけを江戸川校で受け取っている。
 卒業してから面倒見の良いKTさんが音頭を取って、「歩こう会」が発足した。年に3、4回、主に花を愛でながらのウォーキングの会である。が、コロナ禍になってからは実行されていない。
 さて、KTさんからのメールだが、「亀戸天神・藤の花の観賞会」のお誘いである。桜の季節が終わったので藤にしたという。
 現在のコロナ感染者の大半は、幼児や学生たちである。「感染場所は職場、施設や病院で感染者が見られ、じじ・ばば夫婦やじじ・ばば独身者で元気な人は、大丈夫と思う」とあり、「電車の混雑時や昼食の時間帯を避けるために、早めに自宅で食事をとってから」という配慮も。各自の利用駅ごとの乗車時間まで調べ上げての文面には、恐れ入った。
 確かに私は元気なので、即「参加します」の返事を出した。西白井のSさんは、古文書に魅了されてからというもの、「歩こう会」には姿を見せない。なので、彼女に出席の都合を聞くことはしなかった。
 当日の午前には雨が降っていたが、家を出る頃にはすっかり止んだ。久しぶりの電車に乗っての外出だったから、「誰が参加かなぁ、何人が来られるのかなぁ」という思いが交錯する中、参加者の人と合流するまでを、東松戸の駅で待つ。電車が着くと、指定された車両から懐かしい笑顔が手を振ってくれた。
 やはりというか、いつもより出席人数は少ない。男性4人女性2人の計6名だけ。久しぶりだけど、名前は分かるかな。「歩こう会」トップでもある5班のKTさん、私と同じ2班のKGさん、1班のSYさん、4班のNさん(男性)とМさん(女性)だ。良かった! 名前が言えた。
 平日の昼過ぎ、東京行の武蔵野線の車両内は、立っている人が少しいる。西船橋で総武線に乗り換え、亀戸で下車。そこからは「歩こう会」の一員として元気に歩く。亀戸天神社の藤祭りは4月25日から5月5日までだが、今年は花の開花が早かったらしく、訪れた26日は、太鼓橋のそばの池には、散った花びらがかなり浮いていた。まだまだ藤の花の鑑賞は楽しめるのだが、「遅かったねぇ」「暖かい日があったしなぁ」と、KTさんがなぜか申し訳なさそうに言う。
「ほら、こちらの花は、まだ蕾、開いたばかりの花も…」
 言い訳のような言葉が出た私であった。
 亀戸天神社は、学問の神様の菅原道真公(天神様)が祀られている。身内に受験生がいる訳ではないが、娘のところの孫たちは、大学院生と大学生の身。目的を持って勉学に励んでいるが、成就しますようにと手をあわせ参拝をした。私たちは厄年という年齢はとっくに過ぎて、元気に暮らせていることにも感謝をしなければならない。
 天神社を出て、蔵前橋通り(今は東京都道315号御徒町小岩線と言うらしい)を浅草方面に歩き出す。途中に葛餅の船橋屋(買い求めるため、5、6人が並んでいた)の前を通る。少し歩いて行くと、路地の右手にスカイツリーが見え隠れする。建物などにさえぎられることなく、大きく見える路地があった。通りの名前は、何だっけ? 路地によっては、家の周りに植木や、緑野菜が見える。
 横十間川にかかる橋を渡って歩く。店先に置かれているプランターや鉢植えの花を横目に。君子欄やムスカリ、それにチューリップは球根なので、きっと毎年咲かせているだろう。パンジー、ペチュニア、サイネリア、デージーなどは、苗を買い求める人の目を楽しませている違いない。
 歩いているうちに、どんどん暑くなってきた。でも、都会の店先で健気に咲かせる花たちに癒される。やがて大横川親水公園に着いたが、都会の真ん中にある公園のことを全く知らなかった。後で地図を見ると、錦糸町から北へ、スカイツリーの南側を流れる川までで、その周りが緑地帯になっているではないか。
 知らないまま、その公園を北に向かって歩き出した。川とは言えないほどの水まわりには、大きな石や、小さい石が敷かれている。浅いので子供たちは水遊びが出来そうだ。遊具が設置された所も、子供たち向けになっている。釣り堀が出来そうな所もあるが、今は閉鎖中。
 濃いピンク色のツツジが、今を盛りとして咲き競っていた。川の両岸にはマンションが立ち並んでいる所も。住人は毎日素敵な散歩が楽しめそうだ。やがてこの公園の終点ともいえる所に来ると、右手のほうにスカイツリーがそびえ立っていた。
 ソラマチもすぐそこにあったが、新しく出来た東京ミズマチ(鉄道高架下複合施設)を浅草へとウォーキングして、歩こう会はお開き。もちろん、また花を愛でながらの企画はあると信じている。
 花といえば、もうすぐ「母の日」だ。先ほど隣に住む優しい嫁が顔を見せた。
「少し早いんですが…」
 そう言って、嫁はカーネーションの鉢を差し出す。カーネーションだった。花って良いね! 嬉しいよ!

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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