カミングアウトについての最後は、両親編です。

 

僕の両親は、僕がFTMであることを知っています。現在は、息子として認識もしてくれています。

養子縁組のことも理解し、パートナーとも仲良くしてくれ、尚且つ、今までの僕の彼女さん、全員の名前と特徴まで知っています。

 

僕も母も共に一人っ子なせいか、良く二人で買い物やご飯にも行く仲で、お互いがどこか友達にも似た関係にも感じる親子です。

僕が母に全く似ていないので、飲み屋さんなどに行き、僕等の会話が聞こえた他のお客さんから、「どんなご関係ですか?」と聞かれることもしばしば。「親子」と答えると大体が驚かれ、「若いツバメかと思った!」と言われたことも。

 

父には遠目からも、勿論、至近距離からもそっくり。どこから見ても、父の精子で産まれたと確信できる子どもです。以前、2人でパチンコを打ちに行ったとき、「ご兄弟?」と僕が幾つに見えたのか不思議な質問もされるくらい似ています。

 

現在は、仲の良い親子関係を築けていますが、カミングアウトした当初は、僕が幼過ぎたこともあり、家の中を混乱させてしまいました。

 

両親にカミングアウトしたのは、高校1年生のとき。前回の記事でも書いた、不登校になった時期です。

当時、自分が同性愛者ではなく性同一性障害ではないかと気付き、自分の正体が分かった安堵感と同時に、今後どうしていけばいいのか分からない不安感、そして、学校内でのイジメ。僕が一番、不安定だった時期にカミングアウトしました。

 

方法としては、先ず、「性同一性障害」というタイトルの本や、それに関する情報を、自室に入れば必ず目のつく机上に置きました。

それで自然に母の目に触れさせようとしたのです。

僕の目論見通り、母はそれに気付き、母なりに色々と情報を集めたり、父と話をしていたそうです。ただ自分の口からカミングアウトをしたわけではないので、当初は、「女性として勝負できないから逃げとして考えてるのかな?」と捉えていたそうです。

 

自分の口からカミングアウトしたのは、そのすぐあとでした。両親に不登校であることがバレてしまい、今後どうしていきたいのかを話し合う場で、感情的にカミングアウトしました。

両親がすぐに不登校に気付かなかったのは、僕が隠していたからです。朝、何食わない顔で自宅を出て、学校には行かず本屋などで時間を潰し、昼ごろに登校。登校しても教室には入れなかったので、保健室で過ごす。そんな生活を約2ヶ月続けた頃に、やっと学校から両親に連絡がいきました。

 

今後の高校生活をどうしたいのか、という話し合いの場で、今まで抑えていた様々な感情が爆発し、その感情を両親にぶつけました。

父が冷静に、「そのことは別にちゃんと考えていこう。」と受け止めてくれたので、高校を辞めることなく、別の高校に編入することができたのだと思います。

 

別の高校に編入後、母がジェンダークリニックを探してくれ、通院を始めました。

父はカミングアウト当初から、「まめはまめであって、俺等の子どもに何ら変わりない。何を悩むんだ?それは個性だろ?」と言ってくれましたが、当時の僕はその言葉の意味を、器の大きさを理解できず、「父は何も理解してくれない!個性なんかじゃない!」と反発していました。

母はその父の言葉で、「確かにそうだ。生きてさえいれば、それで良いわ!」と冷静にいることが出来たそうです。

 

治療を進めていく際には、そのリスクを承知した上でずっと応援してくれています。

胸切除手術でタイに飛ぶことになった時には、母同伴で行きました。

「親として心配だから!」と言ってくれ、また、「タイって何が美味しいのかな♪象って乗れる?象乗りたいー🎶」とルンルン準備し、本当に象に乗った母。

 

僕は改名をする際、これまでの名前と同じ読み方のまま、漢字だけ変更しました。

その時も、両親共に改名に反対することなく、「改名するんだったら、ケルンが良いと思うの!産まれたとき、ケルンにしようと思ったんだけど。良い機会だしケルンが良いんじゃない?」と、成長した顔を見た上で似合わない名前を奨めてくる両親。

 

僕は両親に、本当に恵まれた当事者だと心から思っています。

親子だから、ケンカするときも、煩わしく思うときもあります。ただそれは、 FTMということに関係のない、ただの日常の一つであり、それは両親の器の大きさがあったから、今その日常を過ごせているのだと思います。

 

近い将来、両親が増えます。

また新しく親子関係を築いていかねばなりません。義親は、距離が遠く離れているものの、その縁を大切に築いていきたいと考えています。

 

 

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