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DSO Shell(DSO150)のアナログ帯域

格安オシロスコープ「DSO Shell(DSO150)」のアナログ帯域は仕様では200kHzとなっているが、実際のところはどんな感じなのか見てみる。

仕様や使い方については前回のこちらの記事

測定方法

OSA103 Miniを信号源とし、同軸ケーブルでDSO Shellに直結する。信号は正弦波でレベルは200mVpp。この条件で周波数を変えてDSO Shellで波形を観測する。

測定結果

100Hz

1kHz

10kHz

50kHz

100kHz

電圧がやや小さくなってきた。また、水平軸のレンジは10μs/divが最小なのでこれより細かくできない。

150kHz

さらに電圧値が下がり、また、サンプリングが追いついていないようでピークが凸凹している。

200kHz

電圧値が1.5Vppまで低下。オシロスコープの帯域は電圧が-3dB(0.707倍)の周波数なので、仕様の200kHzと大体一致。

しかし、サンプリングが全然追いついていない(エイリアシングがひどい)ので、まともな正弦波に見えない。

矩形波

おまけで矩形波も見てみる。矩形波は奇数次の倍音が含まれているので、 例えば10kHzの矩形波だと第9次倍音で90kHz。100kHzの正弦波くらいまではまともに見えていたので、これくらいならそれらしく見えるじゃなかろうか?

10kHz

立上り・立下りがちょっとなまっているけど、まぁ、それなりに。

20kHz

もうちょっとなまって見えるかと思ったけど、割とちゃんと見えている。20kHzだと、第5次倍音で100kHz。これくらいまでは電圧もちゃんと拾えていると思う。第9次倍音が180kHzで、電圧は-3dB近く落ちていると思う。そもそも矩形波の第9次倍音って原理的にはどのくらいのレベルなんだろ?

50kHz

50kHzだと、200kHzまでには第3次倍音(150kHz)までしか含まれないのでもっとひどい波形に見えるかと思ったけど、そうでもなかった。

とはいえ、水平軸は10μs/divが最小なので、これより高い周波数を見るのは難しそう。

トリガポイントのズレ

矩形波を見ていて気づいたのだけど、水平軸を20μs/div以下にすると、トリガポイントがずれて表示される。

まず、50μs/divの場合(20μs/divの1ステップ上)。トリガは信号の立下り。

この場合は立下りエッジが画面の真ん中に表示される(水平)。しかし、この下の20μs/divと10μs/divの場合は、立下りエッジが1目盛りほど右にずれる(正確には1目盛りよりもちょっと多い)。

正弦波の測定を振り返ってみると、やはり20μs/div以下でずれて表示されていることが分かる。

念のため、ファームウェアのバージョンを確認してみたが最新版(バージョン113-15001-120、2018.06.05付)が入っていた。仕様かバグかわからないけど、注意が必要。

まとめ

周波数特性(電圧)上はバンド幅は仕様通り200kHzていどありそうだけど、エイリアシングの状況を見ると100kHz程度が実用的な限界か?時間軸のレンジも10μs/divが最小だし(1目盛りで100kHz)。任意波形なら10~20kHz程度まで(いわゆるオーディオ帯域)。値段を考えれば充分だと思う(クーポン適用で$28.99。クーポンコード: BG958fb3、2021年10月31日まで)。

ところで、サンプリングレートについて調べてみたところ、信号周波数の2.5倍以上(sin(x)/x補間の場合)、または、10倍以上(直線補間の場合)のサンプリングレートが必要だそうだ。

DSO Shellの仕様ではサンプリングレートは1Msps。正弦波の測定結果を見ると100kHzまではエイリアシングは感じられず、150kHzでは明らかにエイリアシングが生じているので、直線補間を使っているのだろう。

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