「オンライン授業『出席』扱い割れる(公立小中)」「文科省は原則認めず」
という見出しが、9月7日東京新聞の1面に大きく載っていた。
文科省はオンライン授業、自分が提唱したGIGAスクールに抵抗しているのだなと思った。
(GIGAスクールとは「Global and Innovation Gateway forAll〈全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉〉」の略なのだそうだ)
9月4日(土)台東区の教職員組合、教科書ネット・台東の主催でコロナで延期になっていた「GIGAスク―ルって何?」という学習会が上野区民館で行われた。
講師は児美川孝一郎法政大学教授。明解な説明で、なんだかよくわからなかったGIGAスクールが見えてきた。
つまりは、財界、その意をくむ経産省が仕掛けてきた「国家戦略」なんだ。
以下は児美川教授の講演の概要。
1995年を100とした以降の経済指数のグラフをみると明らかに低迷が続くが、
しかし配当金は6倍、経常利益3倍、内部留保2倍と右肩上がり。
しかし、四半世紀たって賃金だけ心拍停止状態、いや、横ばいどころか、少し減っている。
これでは、国内消費が伸びるはずがない。
財界が、国内市場を創出するためのSociety5.0社会〈あらゆる領域にテクノロジ―を張り巡らすのだそうだ〉の実現を仕掛けた。
最初のターゲットが公教育。
契機は2016年4月内閣府の「第5期 科学技術基本計画」、ここに乗り込んできたのが、強引で突破力のある経団連会長・中西宏明氏。
以降、経団連は「Society5.0に向けて求められる初等中等教育開拡第一次提言」と公教育に堂々提言する。
★経団連と連動する経産省
2018.6「『未来の教室』とEdTech研究会(教育にテクノロジーを)第1次提言」
2019.6「『未来の教室』ビジョン 『未来の教室』とEdTech研究会 第2次提言」
2018年より公募型の「実証事業」(企業と学校のコラボ)を募っている。
「未来の教室」が目指すもの
□ICT活用による教科学習の「個別最適化」(AIドリルなど)→浮いた時間を探究的学び
□探究的学びの中心は、STEAM(Science,technology,Engineering,Art,Mathematics)教育
□教科学習や探究的学びは、学校の教室空間で行われる必要はない。公教育も民間教育もフラットな関係となり、社会全体が「教室」となる。
□「未来の教室」においては、学習者が自らの学びをデザインする。
□従来型の「学校はかたち」は大きく変容し、学力、学年、教科、時間数、卒業等の概念は、希釈していく。
経産省は、徹底的な教育の自由化、教育市場の拡大を志向している。
★文科省は「Society5.0」をどう受け止めたのか
2010年頃から文科省も「教育情報化に関する手引き」など、教育の情報化の動きはあった。
2016年4月の「第5期 科学技術基本計画」が分岐点だった。
(ここで新用語「Society5.0」が登場。ドイツの「Industory 4.0」(第4次産業革命)の後追いしつつ新味を演出。ちなみに、Society1.0は狩猟、Society2.0は農耕、Society3.0は工業、Society4.0は情報、Society5.0は、Society4.0の情報社会が深化した新たな社会――だそうだ)。
以降、文科省も財界、経産省に押され追随。
(つづく)
-Ka.M-