漂流出口 / 海女 台湾インディーズ名盤
以前も当ブログで取り上げた漂流出口、
2020年9月に2nd Album【海女】をリリース
これがすごく良かったのでご紹介しようと思います。
1.Milaklaw 採集
2.‘Emet 腦袋控制狂
3.Patireg to Talo‘an 搭寮
4.Kahengangay 紅色的
5.Tafokay A Kitakit 沙漠星球
6.出生者
7.O Fafahiyan No Riyar海女
8.比西里岸的畫
9.Keter No Kawas 憤怒自然
10.Waco 狗
11.Takora 青蛙
12.秘密
●漂流出口について簡単に紹介すると、
台東のアミ族部落・比西里岸で生まれ育った巫尚.碧海(Gt.Vo)と布妲菈.碧海(Ba.Vo)の兄妹と、その親戚で同じ台東は都蘭出身の林肯(Dr)により結成。
アミ族の土着民謡とグランジやヘヴィサイケをMIXしたような攻撃的な音楽性でアミニズム的な世界観をアミ族の言語で歌い、2015年に1st Album【逆游】2018年にEP【最大的年代】をリリースしています。
1st Albumはヘヴィな勢いをそのままに!
という感じで個人的に好きなのですが、
台湾のバンド仲間たちから言わせると
「彼らのライブで感じる勢いを表現しきれていない!」
とあまり評判が芳しくないです。
そういうこともあってか今回の【海女】では、
・2018年10月よりアルバム制作計画を開始
・各曲を5ヶ所の録音スタジオでそれぞれ録音
・各スタジオで制作したトラックから最も良いものを選出
と大胆かつ大変労力のかかる方法で全12曲を2年の歳月をかけ制作しています。
そのおかげか録音レベルは非常に高く、
1つ1つの音のバランスや抜けだけではなく、
ライブで感じるエナジーが余すことなく伝わってきます。
また、今作より巫尚に代わり布妲菈がメインボーカルになったことや、
演奏のグルーヴ感が増し展開が以前よりプログレッシブになったことで、
トライバルな要素を上手く表現できるようになったと感じます。
彼らの台湾原住民というアイデンティティを強く押し出した独自のサウンドに台湾政府文化部も注目し、2017年にカナダの音楽祭、2018年にヨーロッパツアー、2019年にフィリピンにインタラクティブフェスティバルにも政府支援の下で参加し、東南アジア及び欧米各国から注目を集めています。
台湾アミ族原住民のアイデンティティを全面に押し出し唯一無二のオリジナリティを持つ台湾インディーズバンド漂流出口
今回のアルバムはアマゾンで全曲試聴できますので、ぜひ聞いてみて下さい!
*「原住民」とは台湾における先住民族の一般的な呼称で、人種差別的な意味は含まれていません。
そういえば台湾のレコード大賞的な第32回金曲奨に漂流出口も今回のアルバムでノミネートされています。
こういった公営の表彰は個人的に興味はないのですが、受賞できるといいですね!