ー連合赤軍 森恒夫の足跡をたどって

 

著:佐賀 旭

2022年11月25日発行

株式会社集英社

電子書籍hontoより購入

 

月曜日の新聞広告欄で発見した本書。

面白そうとすぐに電子書籍を購入しました。

読み耽り、あっという間に読了しました。

本書はこれまで語られることが

少なかった連合赤軍のリーダー、

森恒夫と、連合赤軍の事件、

そして新左翼運動について考察しています。

緻密な取材がなされており、

取材のインタビューだけでも

非常に価値があると感じました。

 

森恒夫が中学生の時に同級生だった

在日韓国人のクラスメイト、

その存在が森を民族差別に

目覚めさせるきっかけであり、

そしてその意識が学生運動へと

流れていったのではないかと

著者は分析しています。

森恒夫の実像を追い求める過程で

自分の中にあった森恒夫像が変化しました。

 

また植垣康博のインタビューでは

山岳ベース事件や武力闘争路線の

失敗の要因の見解が語られています。

"マルクスは

どんな言い方をしてたかというと、

『革命とは理念を実現する運動ではない。

現実を変革する運動だ。』

こういう言い方をしてるわけだ。

だけど実際は現実の変革よりも

革命の理念の方が優先されちゃってるわけだ”

 

革命の理念が現実に先行しすぎた、

という意見に納得しました。

 

遠藤周作の総括に関して述べた

内容は真理を言い当てていると

その慧眼に感心しました。

連合赤軍の件だけではなく、

新左翼運動全体について言及しています。

読み応えがあり、連合赤軍の事件に

関心がある方にお薦めです。

著者の取材の努力に敬意を覚えました。

 

 

 

著者と漫画「レッド」の作者、

山本直樹とのインタビューです。

こちらも面白かったです。