ブロンテ, ハーディ,ドラブルを中心に

 

First Wave Feminism and 

Changing Women in the Novels of

Bronte, Hardy and Drabble

 

著:風間末起子

 

2011年8月10日 第1刷発行

世界思想社

 

ドラブルの「碾臼」を読んだので

「碾臼」を読みたいと思ったきっかけを

与えてくれた本を再読しました。

この本は昔偶然本屋さんで発見して購入したのですが、

私の人生に非常に大きな影響を及ぼした本です。

この本で私はドーラ・マーズデンと

彼女の雑誌、「The Free Woman」を知り、

マーズデンが何故女性が性交渉を持つことを

推奨したのかが知りたくて、大学院進学を決意しました。

私にとって特別な本です。

著者はヨーク大学で修士号を所得しており、

その修士論文でドーラ・マーズデンと

The Freewomanを研究されています。

それが本書の第4章に含まれている

『「新しい道徳」の模倣』です。

だから私もイギリスの大学院で

ドーラ・マーズデンについて

修士論文を書きたいと思いました。

 

本書は第一波フェミニズムと

それが英文学のヒロイン像に

どのように影響を与えたのかを

シャーロット・ブロンテ、トマス・ハーディ、

マーガレット・ドラブルの作品を取り上げて

考察しております。

著者の博士論文を書籍化したものです。

 

リベラリズムとその影響下にある主流派の

リベラル・フェミニズムの中で

ブロンテとハーディのヒロイン像の画期性と限界を示し、

それを受け継ぎ、超越する姿を

ドラブルの作品の中に見出します。

ドラブル小説の中の

間テクスト性への考究が特に興味深いです。

英文学のフェミニスト批評として

読み応えがありますし、

第一波フェミニズムも深く分析されています。

何よりドーラ・マーズデンについて触れている

本は希少なので是非読まれて欲しい本です。

国内で日本語でマーズデンに言及されている本は

論文を除けばおそらく本書だけかと思われます。