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デザイン

なぜデザインには「余白」が必要なの? 見やすい・わかりやすいデザインに必須の余白の効果とコツを解説。

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当ブログでは、ビジネスシーンで“誰でも・手軽に使える”資料デザインノウハウ・テクニックをお伝えしています。

今回は重要なデザイン要素「余白」の効果や余白のコツについて解説してみました。「見やすい・わかりやすい資料」を作る上で、余白はとっても大事。それは、デザインをわかりやすくするための「重要な効果」が余白にはあるからです。

プレゼン用のPowerPoint資料等が「わかりやすく作れない…」「レイアウトが綺麗にまとまらない…」と困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

/// この記事を読むとわかること ///
  1. 資料デザインのわかりやすさにおいて「余白」が重要である理由
  2. 余白が持つ重要な「効果」
/// この記事を書いた人:日比 海里 ///
  • 株式会社トリッジ代表取締役 / デザイナー / コンテンツディレクター
  • グラフィック・WEBデザインやオウンドメディアの運営サポート・ディレクションを手掛けつつ、パワポ資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ150社以上、2,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

あらゆるデザインにおいて「余白」はとっても大事

突然ですが、デザインにおいて“絶対に欠かせないレイアウト要素”って、何だかわかりますか?  答えは余白です。「余白」はあらゆるデザインにおいてとっても重要なレイアウト要素で、「絶対に必要なもの」。

この余白のあり・なしで、資料デザインのわかりやすさや伝わりやすさも変わってきますし、もっといえばシンプルに見栄えの良し悪しも変わってきます。

余白はあまり注目されることがない「脇役」に思われがちですが、デザインの世界においては「主役級」に大事なものです。

今回は、日頃企業の資料デザイン研修で講師として登壇することも多いデザイナーの筆者が、デザインにおける余白の重要性と効果について、ポイントをまとめていきます。

デザインにおいて余白が重要である理由

過去の当ブログの記事でも、「余白は大切である」ということを何度かお話していますが、余白は見やすい・わかりやすいデザインを作る上で非常に重要です。それはビジネスシーンにおけるプレゼン資料やチラシ・パンフレットなどの販促物などのデザインでも同じ。

レイアウトに余白が多い例と少ない例

なぜそれほどまでに大切なのかというと、余白はデザイン上重要な“効果”があるからです。その効果とは、以下の4つになります。

/// 余白が持つ4つの効果 ///
  1. 要素同士の関係性をコントロールする
  2. 要素を区分けする
  3. 読みやすくする
  4. 要素を強調する

これからこの「余白が持つ4つの効果」についてまとめていきたいと思います。余白を使いこなす上で、必ず知っておかなければいけないポイントなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

余白が持つデザイン上の効果

早速余白が持つ4つの効果についてまとめていきます。ノンデザイナーの方々であっても、例えば見やすい・わかりやすいパワーポイント資料を作りたい時などでも非常に重要なポイントになるので、ぜひ参考にしてみてください。

余白の効果①:要素同士の関係性をコントロールする

1つめの余白の効果は「要素同士の関係性をコントロールする」というもの。人間の脳は基本的に「近くにあるものを仲間だと判断し、遠いものは仲間ではないと判断する」、そんな習性があります。

つまりそれは、要素同士の距離感によって、脳はそれぞれの関係性を理解しているということ。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方

そしてその「距離」というものは、平面のデザインにおいては「余白」とほぼ同じ意味合いになります。なぜなら、「近い・遠い」という距離が存在する時には、物と物の間に必ず「余白」があるはずだからです(よく考えると当たり前の話ですが笑)。

「近い」ということは“間に小さい余白がある状態”だし、「遠い」ということは“間に大きい余白がある状態”ですもんね。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方

つまり、「距離感によって関係性を認識している」というのは、言い換えれば「余白が要素の関係性をコントロールしている」(=余白の大きさが、要素同士に「関係性があるのか・ないのか」を決めている)とも言えるわけです。

たとえば下の画像のように要素と要素を近づけて、間の余白を小さくすると、それぞれに「関係性がある」ように見えますよね(「テキストのイメージ写真として、スマホの画像が置かれているんだろう」と無意識に推測できる)。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方

一方でこのように要素同士を遠ざける、つまり間の余白を大きくすると、それぞれには「全く関係性がない」ように見えます(「テキストと画像がそれぞれ何の脈絡もなく置かれている」ように見えてしまう)。レイアウトする要素というのは、常に余白によって関係性がコントロールされている、ということになるわけです。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方

デザインのわかりやすさ・見やすさを高めていく上では、「レイアウトする要素同士の関係性」を明確にしてあげることが非常に重要。「この文章は、このグラフについて説明してるんだな!」とか、「このキャプションはこっちの画像について話してるんだな!」とか、そういった関係性がパッと見て瞬間的に認識できないと、すごく内容がわかりづらく感じてしまいます。

その時にそれら関係性を明確にしてくれるのが、余白。そのような意味でこの「要素同士の関係性をコントロールする」という効果はとても大切になります。

余白の効果②:要素を区分けする

2つめの余白の効果は「要素同士を区分けする」というもの。これは例を見た方がわかりやすいので、例を使って説明してみましょう。

たとえばこのように文章がレイアウトされていたとすると、パッと見ただけですぐに「文章が2段で組まれている」ということがわかりますよね。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方,2段組

これは真ん中にしっかり広めの余白が取られているので、「左と右で段が分かれている」ということを脳が認識したからです。つまり余白が左右の要素を区分けしてくれたということ。

でも、下の画像のように真ん中がぎゅっと狭くなって、ほとんど余白がなくなってしまうと、今度は2段組であることが一気に分かりづらくなります。

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これだともはや間違って一気に左から右端まで読みそうになってしまうのではないでしょうか。これは、余白がほとんどないので要素が区分けできていない、ということになります。

つまり、余白には「存在しているだけで要素を区分けしてくれる」という、そんな効果があるわけです。これも資料レイアウトなどでもとても大事になっていきます。

ここで一旦情報が切れるのか、それともまだ続くのか。わかりやすいレイアウトにおいて区分けもすごく大事なので、この「要素同士を区分けする」という効果も必ず押さえておくべきポイントの1つです。

情報がしっかり区分けされていると、目線の迷いも少なくなっていきます。

余白の効果③:読みやすくする

3つめの余白の効果は「読みやすくする」というもの。特に文字や複数行の文章などのレイアウトで非常にこの効果が重要になります。

これも例を使ってみると、たとえば下の画像のように文章が書かれていたとします。この例だと、文章の行間がすごく詰まっていて、行と行の間に「余白がない状態」ですよね。これだととても読みづらく感じます。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方,行間

それをこのように行間を広げて余白を作ってあげると、一気に文章が読みやすくなりますよね。

レイアウト,余白,デザイン,コツ,余白の取り方,行間

文字の場合は特に近づけ過ぎると余白がなくなって窮屈になり、目が文字を追っかけづらくなります。それが読みづらさの原因。余白にはその窮屈さを和らげて、読みやすくしてくれるという効果があるわけです。

特に資料などを作っていると、たくさん情報を盛り込みすぎてしまって、全体がぎゅっと窮屈になりがちだったりしますが、そうすると余白の「読みやすくする」という効果が得られなくなり、すごく見づらくなっていきます。

しっかり余白を確保して、余裕を持ったレイアウトにするように心掛けるといいでしょう。

余白の効果④:要素を強調する

最後4つ目の効果は「要素を強調する」というもの。余白にはわかりやすくするだけでなく、同時に「目立たせたいものを強調する」という効果もあります。

たとえばこの画像は全体的にすごくシンプルな1枚ですが、パッとみた時に観葉植物が目に入りますよね。なぜここに目線が奪われるのかというと、これはこの観葉植物の周りにたっぷりの余白が取られているからです。


他に周りに何も置かれていない・映っていないので、余白がたっぷり存在している。それによってこの観葉植物に対して「余白が強調効果を与えている」というわけです。

つまり、広い余白を確保することで「自分が目立たせたいものを強調することができる」、そんな効果が余白にはあると言えます。

そのため、たとえばパワーポイントでプレゼン資料などを作ってる時も、ここを目立たせたいな・強調したいなというときは情報を詰め込むのではなく、逆にシンプルにして余白をしっかり作ってあげた方がベター。

そうすることで、余白が持つ「強調する」という効果をしっかり活かすことができ、大事な部分に注目を集めることができるようになります。


以上の4つが「余白が持つ効果」です。あらゆるデザインにおいて重要なものになるので、必ず押さえておきましょう。ノンデザイナーの方々もプレゼン資料作成などで活用できます。

「余白」の使い方について学べるおすすめ書籍

デザインにおいてとっても重要な役割をになっている「余白」ですが、ただ実際のところ“余白を使いこなしてデザインする”のは、いざやってみると難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。私も企業研修の講師として登壇した際、受講者さんから「余白の取り方が難しい…」という声は非常に良く聞きます。

そんなときは、“余白の取り方のセオリー・パターンを学びつつ、実例をたくさん見て真似てみる”のがおすすめ。ただそれをやみくもにやろうとしてもできないと思うので、以下の書籍を参考にしてみるといいですよ。

けっきょく、よはく


引用:Amazon

この本は言わずと知れた余白に関するベストセラー書籍。これまでに累計30万部以上販売されている、デザイナー必携のノウハウ本です(ノウハウ本はだいたい1〜2万部売れるだけでもヒットしたと言われる世界です)。

“デザイナー必携”というとおり、世の中の多くのデザイナーさんも参考にしている本で、筆者も後輩の新人デザイナー仲間たちには必ずこの本は読んでおくように話しているおすすめ本です。

本書ではデザイン初心者に“あるある”な悩み(余白をどれだけ取ればいいかわからない、余白を大きく取るのが怖いなど)に対する解決方法・ノウハウを、豊富なジャンルの作例を用いて紹介してくれています。


引用:Amazon

本書の紹介文でも書かれているとおり、「フツーのデザインはできるけど、プロが作ったようなオシャレなデザインができない」、「何かが違うのかはわかるけど、どこをどう修正すればいいかわからない」を、この本は見事に解消してくれるんですよね。

すごくわかりやすく解説してくれているので(ビジュアルも多いのがまたありがたい)、ノンデザイナーの方でも問題なく楽しみながら学べると思います。


ノンデザイナーズ・デザインブック


引用:Amazon

この本は20年くらい前に初版が発刊されている歴史のある本なんですが、いまだに世界中で売れ続けいている超ベストセラー書籍。筆者はプロを志す前の学生時代にこの本に出会い、衝撃を受けたのを今でも覚えています(本当に衝撃でした…)。

この本はタイトル通り“ノンデザイナー(デザイナーではない人々)”のために書かれたデザイン本。特にあらゆるデザインのベースとなる「4つの基本原則」について明解に解説されていて、この本を読めば余白の使い方に関してもグッとうまくなります。


引用:Amazon

タイトルに偽りなし、あらゆるビジネスパーソンが読んでおくべき良書だと私は思っているので、筆者の会社の社員には全員読んでもらっています(読んでもらう前と後では、社員から提出される各種資料の見やすさ・美しさが全然変わってくるので、それも個人的には楽しい笑)。

いつでもパパッと見直しできるように、常に手元に置いておきたいおすすめ本です。


まとめ:余白はとっても大事。ノンデザイナーの方々はプレゼン資料で特に意識しよう。

今回は「余白の重要性」と「余白が持つ4つの効果」についてまとめました。

本当にデザイン・レイアウトにおいては余白は大事。これはノンデザイナーの方々が何か資料などをデザインするときも同じです。特にPowerPointなどを使ってプレゼン資料などを作るときは、今回ご紹介した「余白の効果」を理解しておくと、自分が伝えたいことがデザインで表現しやすくなります。

自分はこういうことを伝えたい・ここを強調したい。であれば、余白のどの効果を活かす必要があるのか。余白を小さくするべきなのか? それとも大きく取るべきなのか。余白をうまくコントロールして、自身が伝えたいことをうまく表現してみましょう。

プレゼン用のパワーポイント資料や企画書づくりなど、ぜひ資料作成時に参考にしてみてくださいね。

↓↓↓その他、パワポ資料のレイアウトに迷ったときは、こちらもご参考ください↓↓↓

  • この記事を書いたライター
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日比 海里

デザイナー・コンテンツディレクター。オウンドメディアのディレクション・編集やビジュアル・クリエイティブ制作を中心に行いつつ、デザイン・資料作成の研修講師兼アドバイザーとしても活動中。 パワーポイント資料作成の企業研修実績も多数(延べ1,000人以上にレクチャー)。著書に『ひと目で伝わるプレゼン資料の全知識』(株式会社インプレス発行)がある。

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