しそは「葉」だけなんてもったいない!秋にできる「実」も活用しよう!

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家庭菜園で育てやすい植物といえば「シソ」。秋になったら葉が落ちてしまって、ほったらかし…になってませんか?葉の後にできる「シソの実」もすごく体にいいんです!今日はその薬膳効果をご紹介します。

シソは葉も茎も実も生薬になる

漢字で「紫蘇」と書くように、本来「シソ」は「赤ジソ」のこと。緑のシソは赤シソの変種です。薬用には紫のシソが使われますが、薬膳では両方を使います。大葉とも呼ばれる青シソは、とっても栄養のある緑黄色野菜。そう、緑黄色野菜なんですよ。青シソって。

薬膳でシソの葉は、発汗を促すので風邪の初期に用いたり、胃腸の機能を高めたりといった働きがあります。気血をめぐらせるので、吹き出物が気になる人にもおすすめ。栄養学的には、カロテンとカルシウムが野菜類の中で群を抜いて多く、美肌作りに役立ちます。また茎は「蘇梗」といい、気を巡らせる力が強いとされています。

シソの実の効能

シソの花

シソは夏に葉がよく繁り、その後は花が咲きます。さらにその後にできる実を、薬膳で「蘇子(ソシ)」といいます。これも生薬になるんですよ。

  • ✔︎蘇子の薬膳的効能
  • 温性で体をあたためる
  • 辛味で気をめぐらせる
  • 痰が多い時の咳や喘息などの症状を改善
  • カチカチ便を柔らかくする◎

シソそのものは気をめぐらせてお腹の不調をととのえる効能がありますが、蘇子が作用するのは、主に肺と大腸。中医学で肺グループは呼吸器系だけでなく、通便や肌の状態にも関係すると考えるので、シソの実は便秘や美肌にもよい!ということですね。また、栄養学的にはこちら↓

  • ✔︎シソの実の栄養学的効能
  • オメガ3系脂肪酸のαリノレン酸が豊富

αリノレン酸といえば、生活習慣病の予防や肌のしわやたるみ予防が期待できる成分です。オメガ3を含む食品といえば「シソ油」「エゴマ油」が有名ですね。

我が家の庭には、勝手に増えたシソがたくさん…そこで一気に収穫して、いろいろと試してみることにしました。「家にシソがない!」という場合、シソの実はシーズンになると道の駅などでも手に入るようです。見つけたらぜひゲット!

シソの実を収穫する

まずは収穫のタイミングが大切。シソの実ができるのは、秋(10月半ばごろ)なのですが、ちょうどいい時期を狙いましょう。

  • ✔︎シソの実の収穫目安
  • ・花がほぼ咲き終わった頃
  • ・実を包んでいる部分がほどよく大きくなり、黒い粒(実)が見える
  • ・茎が茶色くなっていない

こんな状態なら収穫のサイン。花が満開の段階だとまだ実の食感が物足りず、熟し過ぎていると固い食感になります。ちょうどいいものはプチプチとした食感がポイントです。

葉も一緒に摘み取って、料理に使います。

茎ごと切り取り、あとで実だけを外すと楽。穂先の方から指でしごくようにして実を外します。私は素手でしましたが、汚れが気になる方は手袋などを利用してください。

シソの実の保存&調理方法

一番簡単な保存=冷凍保存

作業が雑で、葉も入れてしまいました(笑)

よく洗って、キッチンペーパーなどで水気を拭いたシソの実を、ジップ付保存袋に入れて冷凍保存します。保存目安は1ヶ月ほど。味噌汁に入れたり、ご飯に混ぜておにぎりにしたりして食べられます。

塩漬け

実だけでなく葉も少し入れました。

生の実をサッと洗い、キッチンペーパーなどで水気をふきます。ボウルに入れ、全体にうすく塩をまぶし、保存袋や保存ビンに入れて冷蔵庫で保存します。ご飯にそのまま合うのはもちろん、ドレッシングや漬物のトッピングなどに重宝します。

シソの実の薬膳的アレンジ

ここからは、ちょっと薬膳的なアレンジレシピをご紹介します。

せき・痰を取る「シソの実と昆布の炒め煮」

薬膳でシソの実は、痰を取り咳を止める効果があります。そこで同じく痰をとる作用のある昆布と組み合わせます。

まずはアク抜き

シソの実は意外とアクが強いので、アク抜きをしておきます。

塩を加えたお湯でサッと茹でて、ザルにあげます。

キッチンペーパーなどで水気を拭きます。これでアク抜きOK。

アク抜きしたシソの実、シソの葉を炒め、水で戻した細切り昆布、みそ、砂糖、酒を加えて汁気がなくなるまで炒め煮したら完成です。


シソの実のプチプチ感、爽やかな風味がたっぷり。ご飯によく合う一品です。

同じくせき・痰に「シソの実入りマスタード」

手作りマスタードにシソの実を入れるアイデア!「シソの実➕マスタード」、すごく意外に思えますが、実はこれ、漢方薬を参考にした薬膳なんですよ。

アイデアのもと「三子養親湯(さんしようしんとう)」は、痰や咳が多い時の漢方薬。もともとは高齢者の痰が多い症状によく使われますが、たばこをよく吸う人肥満気味で痰や咳が多く、甘いものや脂っこい食事で症状が悪化するような場合にも◎。

「三子養親湯(さんしようしんとう)」にはシソの実、マスタード(白芥子)、大根の種が使われています。これを応用してマスタードを作ってみました。

  • 材料
  • シソの実大さじ3
  • マスタード(白芥子)大さじ3
  • ブラウンマスタード大さじ2
  • 大さじ6
  • 小さじ1
  • はちみつ大さじ1
  • ターメリック+カルダモン(お好みで)小さじ1
まずはアク抜き

シソの実は、塩を加えたお湯でサッと茹でて、ザルにあげ、水気を拭いておきます。

  • 作り方
  • ①消毒したビンに材料を全部入れます。マスタードが酢を吸ってふくらむので、大きめのビンに入れておくと◎
  • ②次の日、ハンドミキサーなどでつぶし、ビンに戻します。上からはちみつを足し、1週間ほどおいて味がなじんできたら完成。

材料すべてを酢に漬けた状態

ハンドミキサーでつぶした状態

作りたては味がトゲトゲしていますが、時間が経つほどにまろやかな風味に変化し、どんどんおいしくなります!冷蔵庫で保存すれば、かなり長期間もちます。

正直、シソの実の風味よりマスタードの風味が勝つ上、ミキサーにかけるとシソの実の存在感がなくなるのですが、全体的にスパイシーでお肉の付け合わせなどにすごくよく合います。

とてもカンタンにできておいしいので、私は一度にたくさん作って少しずつ使っています。

白芥子は、マスタードシード。スパイス系のショップなどで手に入りますよ。

マスタードを手作りするのが難しい方は、市販のマスタードとシソの実を混ぜてもよいと思います♪

「三子養親湯(さんしようしんとう)」に入っている「莱菔子(大根の種)」は、なかなか手に入らないかも…

我が家には奇跡的に少しだけあったので加えました。ない方は、莱菔子の代わりに、出来上がったマスタードと大根を一緒に食べる…なんてどうでしょう?

まとめ

いかがでしたでしょうか。シソの実が咳や痰、美容にいいことを知らなかった方も多いのでは?たくさん手に入る方は、ぜひ今回の保存法や調理法を取り入れて、食生活に役立ててくださいね。

注意点

シソの実は一度に大量に食べずに少しずつ取り入れるのがおすすめです。また、気力不足で慢性の咳が出る方、お腹が弱く下痢気味の方には向きませんのでご注意を。

シソは葉も茎も実もすべて利用できます。毎日に積極的に取り入れたい薬膳食材のひとつ。薬味だけといわず、いろいろ使ってみてくださいね。

キョウ
シソがお家にない方は、家庭菜園やベランダ菜園でどうぞ!栽培も比較的カンタンですよ〜


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