筆者の青春時代に、幻想的なインスピレーションを与えてくれた音楽は、1974年にリリースされたスローバラード “永遠の女神 / Persephone”。
当時の日本で静かな人気を博していたブリティッシュ・ロックバンドWishbone Ashの曲で、
彼らのスタジオアルバム5作目「There's the Rub/永遠の不安」に収録された曲でしたが、
日本では、シングルで発売されておりました。
今にして思えば、
恥ずかしくて赤面してしまうくらいヤンチャもしたけど根本的には、あの頃も今と変わらずセンシティブな筆者が、
駅近くのレコード屋で、件のシングル盤を購入したのは、たしか1975年 早春の頃でした。
件の曲はB面に収録されていて、
A面は“Silver Shoes”でしたが、
何故だか筆者の心には、
“Silver Shoes” は殆んど響かず、
毎日毎日、来る日も来る日も
B面ばかりを聴いておりましたよ。
原題のPersephoneとは、
ギリシャ神話の女神の名。
冥府の女王にして、
冥府の支配神ハーデスの妃でもある。
でも、歌詞で語られるPersephoneとは
人気女性シンガーのことを指していて、
Persephoneが、隣で見るのも辛くなるほどに生気と輝きを失ってしまっていた。
しかしそんな彼女も、再びステージの脚光を浴びることとなった今夜、拍手喝采の嵐と共に輝きを取り戻し、今までの苦悩も無駄ではなかった……と言うストーリーでね。
何とも感動的なロマンチシズムに溢れた
愛の歌なのですが。
しかし筆者が、より強く惹き付けられてしまったのは、リズムと旋律に対してだったのです。
イントロの、
揺さぶるようなリードギターの音色から、
マーティン・ターナーのヴォーカルへと続く流れに心の何処かしこを
擽られてしまったと言うのも刺激的だったけれど、
でもなによりも先ず、
メロディーラインの美しさとか、
合間に奏でられるマンドリンの音に思わず、
インスピレーションを擽られてしまった……。
そう。
まだほんの 少女だった筆者の心を、
一瞬で虜にしてしまったのです。
そして半世紀が過ぎ、
今もハマったままの筆者。
もう、とっくのとうに、
少女では
なくなってしまったと言うのに……👵