『サキソフォン・コロッサス』モノラル金ラベル盤、オリジナル盤、ビクター盤2種の聴き比べ。

   

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✼  ✼  ✼      14th  Nov,  2021    ✼  ✼  ✼




本日2度目のブログ更新です。(この2本目が長編なので二つに分けました)






『サキコロ』のモノラル金ラベルが入荷したので昨夜残業してたまたま手元にあった盤と聴き比べ。





こういう楽しい残業も中古レコ屋の特権です。










金ラベル・モノラル盤はジャケットはなんとも魅力のないものに改められました。(このジャケットのステレオ盤は安価によく見かけます。)







➽ 比較した4枚はプレスの古い順に、





NYCフラットのオリジナル盤
(1957年 PRLP7079)


モノラル金ラベル盤
(1964年 PR7326)


ビクターSMJX規格盤
(1970年 SMJX-10039M)


ビクターSMJ規格盤
(1976年 SMJ-6501M)



もちろん全てモノラル盤です。







 レコードはカッティングが違えば音が変わります。



(※ カッティング= 「磁気テープ」に録音された音源を、レコード盤製造のための「金型」に「ギザギザの山」として刻み込むこと)






販売される国やその時代時代の家庭のオーディオ機器を踏まえたカッティングポリシーの変化、個々のカッティング技師の技量や裁量(マスタリング調整)、カッティングアンプ、カッティングマシン、カッティングヘッドなどの違いによって全く同じカッティングをすることは事実上不可能だからです。




(※ 家庭で、ある1枚のレコードを1970年代の高級アンプで聴くのと2000年代の高級アンプで聴くのとで音が違うように、マスターテープを70年代のカッティングアンプでカットするのと2000年代のカッティングアンプでカットするのでは音は違う。)








 入荷した64年モノラル金ラベル盤は「手書きRVG」入り、ヴァン・ゲルダー師はサキコロのモノラル盤は初発の1957年に一度しかカッティングしたことがありません。



この64年金ラベル盤は、保管されていた初発盤のメタルマザー(から起こし直したスタンパー)でプレスされたものだということです。



※マトリクス筆跡や刻印が同じだと「同一スタンパーだ」と言うことがありますが、スタンパーは音溝も凸で保管には適さず、数千枚プレスすると廃棄される消耗品なので、正しくは「同一メタルマザー盤起こしのスタンパー」です。レコードを後年に再発売(再生産)するために保管されているものはメタルマザー(音溝は凹)と元々のマスターテープです。





カッティングが同一なので音はオリジナルと同じか、というとそうはいかないのがアナログレコードの世界の深いところ。微妙に違います。なぜ音が違うかはまた別の機会にいたしましょう。





 今回4枚を聴いてザックリと感じたのは、57年オリジナル盤は、腹にズドンと来るべきはズドンと、深く響くべき音は深く、黄金に輝くべき音は輝いて、奏者の体温や息遣いを感じるべきところはそれらがちゃんと感じられる音で鳴っているということでした。




64年金ラベルは、ごく微妙にですがそれらが全て均等に小じんまりと聴こえました。均等になのでバランスは崩れていません。オリジナル盤の直後に聴かなければ大きな差異は感じられないのかもしれません。







 さて、国内盤の2枚。




ビクターSMJX規格盤は1969年〜71年の間に短期間発売された規格番号でいずれも素晴らしい音質です。



お客様にはSMJXは見つけたら即買いだよとよく言っています。このサキコロやクワイエットケニーなど帯が無ければすごく安く売っていることもあるからです。





店頭・手元にあったSMJX規格盤






特に世界中のコレクターが追い求めるこれらのSMJXの和ジャズ名盤は、その音質も高く評価されてのことです。



参考画像  入荷品ではありません


山下洋輔トリオ・沖至トリオ
+笠井紀美子
『トリオ・バイ・トリオ+1』
(ビクター SMJX-10102)1970年
👉当店ブログ『トリオ・バイ・トリオ+1』(2021年7月2日)



ジョー・ヘンダーソン『ヘンダーソンズ・ハビリメント』
(ビクター SMJX-10123)1971年

山下洋輔『ミナのセカンドテーマ』
(ビクター SMJX-10075)1969年

宮沢昭『いわな』
(ビクター SMJX-10068)1969年






  サキコロSMJX盤はもちろん米オリジナル盤とは別カッティングです。




米国から送られてきたマスターテープ(の子か孫コピー)から日本のビクター所属のカッティング技師がカットしたものです。技師の名前は見当たりません。




上の宮沢昭『いわな』を手掛けた神成芳彦氏(スリー・ブラインド・マイスで名高い)あるいはその周辺の仕事の可能性が感じられる音です。




RVG刻印盤とはバランスは異なりますが、これはこれで素晴らしい音です。



この時期の和ジャズの名録音に通じる香気、色気みたいなものが感じられます。



RVG刻印盤よりもこちらが好みだという方がいても不思議ではないと思います。

(というか私自身両方手放せない。)






 最後に同じビクターのSMJ規格盤。




米盤RVG刻印盤が見せた「○○あるべきはしっかり○○」が、いくつかの要素で「○○あるべきが△△」と何か足りていない感じがします。




ただし、あくまでもそれが目立つのは「いくつかの要素」であって総体としてはやはり音楽として大きく劣っているわけではないと思います。



それは私たちが音楽を聴くときは「要素ごとに分析しながら聴いているわけではない」ということから来ていると思います。



音楽総体として気持ちよければよい。





オーディオ的な音質評論はどうしても「要素の分析」に偏りがちです。帯域ごと、各楽器の音ごとのように。専門的になればなるほど。




私はそういった要素ごとの分析にあまり気を奪われてはいけないと思っています。




SMJ盤も総体として十分によい音です。




確かに私の耳、私のシステムでは、オリジナル盤、金ラベル盤、SMJX盤には及んでいませんが。





ただ、これらの価格差を考えるとその差ほどの優劣があるのか?





レコードとは本当に悩ましいものです。








➽ 最後に今日の追加盤。



完全なオリジナル盤ではありませんがRVG盤をいろいろ出しました。










「手書きRVG」「RVG刻印」「VAN GELDER刻印」など。




2ndプレスとか3rdプレス相当になりますが全てコンディションは特上です。








それでは皆様のご来店をお待ちしております。



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