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VUCAを裏返したら

2022-08-07 12:00:00 | 事務局からのメッセージ

事務局の大井秀人(20期)です。

先日、ハイアール日本法人元社長の伊藤嘉明さんの講演を聴く機会がありました。ハイアール日本法人は、三洋電機の冷蔵庫・洗濯機事業を引き継いだ会社です。伊藤さんは三洋からハイアールに譲渡されたときの初代社長。私は当時、三洋を買収したP社で白物家電の社内ITを担当していました。伊藤さんはソニーピクチャーズの若手敏腕の元社長で異分野出身。そんな異色の経営者でありながらハイアールの事業を軌道に載せたものの、わりと短期間で退任されており、とても気になる存在でした。

伊藤さんは、ハイアールでインターネット対応家電を出すなど、黒字化を達成。その後JDI(ジャパンディスプレイ)で役員を務めるなど、日本のレガシーセクターの再生に取り組まれていました。一定の成果を出しつつも、日本企業の風土に阻まれ退任を余儀なくされるなど不遇の状況にある印象でした。ご本人のお話しだと、プロパー役員・幹部とは抜き差しならない感じだったようです。しかし、JDIのころからコンサル会社を起業し数多の国内企業の活性化に精力的に活動されておられ、別の顔を持たれています。メディアの印象を鵜呑みにするのはあらためてキケンと感じました。

強調されていたのはVUCAへの対応力の重要性です。そして、伊藤さんはVUCAに独自の定義を与えていました。リーダーシップのありかたと関連するとのこと。これが、とても腹落ちしました。
 ①Volatility → Vison(ビジョンをたてよう)
 ②Uncertainty → Understanding(予測できること、できないことを理解して対策しよう)
 ③Complexity → Clarity(予測できることは明らかにしよう)
 ④Ambiguity → Agility(俊敏に対応しよう)

VUCAはご存知のとおり予測できない未来を表す4つの単語の頭文字。それを裏返すと、リーダーが取るべきアクションになるのです。しかし日本企業はできてない。経営者もそうかもしれないが、それに盲従する中間管理職も同罪と、伊藤さんは言いきります。「長いモノに巻かれてないか?」と。特にビジョンがあるかどうかは、本当に突き刺さりました。ビジョンを立てないから海外に負けるし、日本のレガシーセクターの海外法人では従業員がついてこないのだそうです。

そして変化を拒むことこそリスクと言います。できるできないでなく、やるかやらないか、チャレンジすることが大事なのです。私も変化を恐れず、自部門や診断士としてのビジョンを見直さねばと思ったのは言うまでもありません。海外に完敗した事業の実体験に裏付けられた言葉だけに、背筋が寒くなりました。


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5 コメント

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Unknown (山﨑 肇)
2022-08-07 14:17:02
このお話も、先日の「サボタージュ・マニュアル」に通じるところがありますね。大企業病で長いものに巻かれて変化を拒んでいるとやがて朽ち果ててしまいますよと。常に心したいものです。
Unknown (佐々木桃太郎)
2022-08-08 00:16:00
私自身、チャレンジする気持ちが10年前~15年前より明らかに落ちていると感じています。
当時より分析力が向上し、失敗の可能性を見積もれることからチャレンジすることが減っているのですが、当時より知識や経験も向上していた今の方がチャレンジの成功確率も高くなっているはずです。
再度チャレンジの機会を模索します!
Unknown (杵渕竜也)
2022-08-09 09:06:47
伊藤さんの言葉は心に刺さりますね。(痛い・・・)
変化を拒む経営層に盲従し、いつしか自分もそうならないようにチャレンジしていきたいと改めて思います。
Unknown (藤川豊)
2022-08-09 22:13:42
最近よく聞くVUCAですが、裏返して伝えることで印象が際立ち、聞く側にもメッセージが記憶に残りやすくなりますね。「変化の激しい先の読めない時代に、とるべきアクションはこうだ」という伊藤さんの意図が伝わってくる気がしました。
コメントありがとうございました。 (大井 秀人)
2022-08-10 23:33:05
山﨑さん
そうなんです。上のせいにするのは安直だと、猛省しました(汗)

桃太郎さん
チャレンジ大事ですよね。診断士はチャレンジの機会が多いので、ぜひ生かしたいと思ってます。

杵渕さん
伊藤さんは、昔輝いていた日本企業に頑張ってほしいんですよね。チャレンジを思い出さないといけないと感じました。

藤川さん
軸がはっきりしていますよね。VUCAの中でどう対応するのか、方程式がはっきりしていると感じました。

伊藤さんは、若いころ海外で過ごされた時期が長く、アジアで日本企業が尊敬されたのを目の当たりにしています。それがふがいない状態になってことに忸怩たる思いを感じていることを、ヒシヒシと感じました。何か貢献できないのか、あらためて突き刺さりました。

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