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自分で確認することが大事-疑うこともときには必要-

2021-04-16 12:00:00 | 20期生のブログリレー

みなさん、こんにちは。稼プロ!20期生の加納久稔です。

この数か月、総務省の幹部が民間企業から接待を受けたとか、厚生労働省のある部署が大人数で宴会をしたとか、役人の方々に関する記事が多く見受けられました。これらは法令や決まりなどを守らなかったことによるので、非難されて当然でしょう。

また、今国会に提出された法案・条約のうち24本・134か所にミスがあった、という報道もありました。業務過多・役人のモチベーション低下・遅れるデジタルトランスフォーメーション等々、いろいろな理由が挙げられています。

どれが該当するかはよくわかりませんが、「役人も人の子、ミスをする」ことは確かでしょう。彼らの言動を鵜呑みにしないで、できるだけ自分で調べることが大切です。

先日、取引先から「法定を上回る育児休業を与えた場合、社会保険料は免除されるか」という質問を受けました。複数の年金事務所に電話で問い合わせたら、「される」「されない」と異なる返事をもらったそうです。

子どもが生まれたら育児休業を取得できることはご存知の方も多いでしょう。期限は原則子どもが1歳となる日の前日まで、条件によっては2歳となる日の前日まで、と育児介護休業法(以下「育休法」とします)で定められています。ただ、2歳以上の子どもに対して育児休業を取らせてはいけないことはありません。育休法の条件を上回る制度を作るのは、会社の自由です。

一方、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、育休法による育児休業を取得する場合に免除される、と関係法令で定められています。逆に言えば、育休法によらない会社任意の育児休業では免除されないわけです。

最終的に、取引先は法的根拠を整理してから年金事務所へ行ったところ、しかるべき立場の方から「免除されない」との回答を得られたそうです。

育休法は旧労働省の、年金事務所は旧厚生省の管轄です。「免除される」と答えた年金事務所の担当者は、育休法のことをよく知らなかったのかもしれません。問い合わせをする者にとって役人の回答は正しいと思うのが普通ですが、誤っている場合があることも現実です。

以上の例は、明らかに理解不足によるものですが、法令に定められていなかったり前例がなかったりすると、役人でも判断に困ることもあるようです。私が経験したのは労働時間と法定外休日に関することでした。

労働基準法(以下「労基法」とします)では、原則として1日の労働時間は8時間以下にしなければならないが、所定の手続きをとれば残業をさせることができる、と定めています。たとえば9時が所定始業時刻の人が、ある月曜日の午前9時から火曜日の午前1時まで働いたとします。このとき、月曜日の午前9時が労働時間の起点となるのは当然ですが、火曜日の1時間分も始業時刻がある月曜日の労働時間に含めます。

また、労基法では1週に1日または4週で4日の休日を労働者に与えることを義務づけています。労基法が定めているので法定休日とも言われます。

この法定休日は、所定始業時刻や仕事が終わった時刻からの24時間ではなく、午前0時から午後12時までの24時間、つまり暦日単位とされています。たとえば日曜日が法定休日である人が、土曜日の午前9時から日曜日の午前1時まで働いたとします。次の仕事は月曜日の午前9時から始めたとして、仕事を終えてから24時間以上経過していますが、法定休日である日曜日は23時間しか休んでいないので、休日を与えたことにはなりません。

ところで、多くの企業では何らかの形で週休2日制を導入しています。労基法の定めより多いわけです。このプラスの休日を法定外休日と言います。

では、法定外休日も午前0時から午後12時までの休みとしなければならないのか? 日をまたいだ勤務時間帯を設定する必要が生じた際、問題となりました。いくつかの労働基準監督署に聞いてみましたが、「暦日単位が必要だ」という答えもあれば、「24時間休みが確保されていればよい」という答えもありました。法律で定めた休日ではないので、前例があってその取扱いが公になっていない限り、答えがないのに等しいわけです。

幸い? 本件は答えを必要としなくなったのですが、そうでなければ都道府県労働局や本省に確認をしなければならなかったでしょう。

いずれにしましても、まずは自分で良く調べる。わからないで役所に質問をするときは、回答の根拠も聞き出して自分で確認する。相手の回答を無条件には受け入れないことが大切ですね。

 

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2021-04-17 10:33:41
大変勉強になりました!ありがとうございました。
Unknown (加納久稔)
2021-04-17 19:52:33
04.17.10.33.41に投稿いただいた方へ

簡潔かつ最高のコメント、ありがとうございました。お役に立てたのならば、幸いです。
Unknown (たけい)
2021-04-19 20:02:20
たしかに担当者によって回答が違う場合があるので、根拠をきちんと確認する必要性を再認識しました。
労務関連は、やっぱり複雑ですね。
勉強になりました。ありがとうございます。
Unknown (加納久稔)
2021-04-20 08:25:42
たけいさん

コメント、ありがとうございました。
過去、何度も痛い目にあいました。残念ながら、性善説ではうまくいかないようです。

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