東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

介護の職業病は

2022-11-25 12:00:00 | 22期生のブログリレー

みなさん、こんにちは
稼プロ!19期生の森です。

 先日、介護労働に関わる行政や団体による懇談会に仕事で出席してきました。今回は労働安全の観点からの雇用環境の改善についてがテーマでした。
 さて介護労働の中で、労災の発生件数が多いのは何かおわかりでしょうか?
 発生原因としては「動作の反動・無理な動作」と「転倒」が同程度、具体的傷病としては「腰痛」と転倒による「ケガ」が増えています。まあだいたい予想どおりかと思います。

 「腰痛」は、業界では職業病と言われていて、多くの方が悩まされています。その腰痛の原因となる「移乗介助」、つまりベッドから車いすへ移動させたりする際の動作と腰への負担について、大学などでも研究し、今は介護施設への研修講師などもされている方のお話しが「なるほど」と思ったのでご紹介します。

 移乗介助の負担を減らすには、ロボットや、スライディングボード、あとはボディメカニクスといって要は人力ですが体の使い方によって負担を減らすといった方法があります。

 先ほどの講師の方としては、スライディングボードを使うのが、経済的で、しかも科学的に腰への負担が少ない、ということでお薦めなのだそうですが、研修では反応が良くても現場では普及が進まず、あきらめて今はボディメカニクスを中心に伝えているとのことでした。
 動画も見ましたが、スライディングボードはセッティングにコツは要りそうであるものの、スムーズに移乗ができてとても良さそうなのに、なぜ普及していかないのか?

答えは「結局人は痛い目に遭わないとわからない」からです。
スライディングボードは経済的で効果的だけれども、それでもやっぱり面倒な気持ちが勝ってしまう。人力でやるより時間はかかる。介護職員がその時だけ2人組で作業してしまうほうが断然早い。2人組であろうが人力に頼っている限り、いずれタイミングのずれとかちょっとしたはずみ腰をやってしまうことは、確率の問題あるいは時間の問題なのです。気を付けていれば大丈夫だろうと高を括った結果、痛めてしまってから後悔する人がいかに多いか。ましてやロボットなど装着に時間がかかり過ぎて論外、ということでした。
 そんなわけで、せめて少しでもリスクを減らすように次善策としてボディメカニクスを研修では教えているということでした。

 他に印象的だった話では、介護施設によって就業環境が著しく差がある実態について。
 従業員を大事にする施設では、スライディングボードも早くから導入していて、腰痛の職員も少なく、安全面の研修なども定期的に行っているので、定着も良く、人材も確保できているという好循環があり、その逆の場合は全部が疎かになって、増々人手不足になるという状況があるそうです。

まあ介護業界に限らず、そういうことってあるよな、と思いました。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« インドネシアの「いま」を知... | トップ | 初滑りに行ってきました »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (浅野 融)
2022-11-27 09:09:34
スライディングボードを活用する施設としない施設があるって、ITにも置き換わる気がします。変化を率先すべき中間管理職の意識の違いでしょうか?興味深いです。
Unknown (杵渕竜也)
2022-11-27 23:01:46
スライディングボードの正しい使い方の説明をしているYouTube動画を見ると、手軽でコツさえ掴めばとても役に立つし、普及してもよさそうなのにと私も思いました。施設によって差があるのですね。大変なお仕事ですからそういうところから介護従事者を楽にしていってほしいですね。
Unknown (佐々木桃太郎)
2022-11-29 17:58:15
痛い目に合わないと分からない そうなんですよね。
失敗を勉強材料にして成長することは出来ますが、取り返しのつかない失敗(大きな腰へのダメージなど)は避けないとですよね。
Unknown (たけい)
2022-12-03 08:21:01
妹が介護職なので、スライディングボードを使ったことがあるのか、聞いてみますね!
先日、病院で見つけた介護用品の総合カタログにもありました!
Unknown (森(19期))
2022-12-04 11:52:02
皆様コメントありがとうございます。

浅野さん
本当にそうですね。特に人の健康に関わることなので起きてしまってからはおそいんですが。

杵渕さん
介護施設だとITの導入によってもかなり差がでているようで、従業員からそういった要望は特に大きいです。

佐々木さん
私も思い当たることが多すぎて。でもおっしゃるとおり、取り返しがつかない失敗はとにかく未然に防ぐことが大事だなと思う話でした。

たけいさん。
そうなんですね。妹さんが介護職とのこと。
人間、普通に生活していてもぎっくり腰とかやってしまうので、介護のお仕事だと各段にリスクは高い、というのは想像はつきますが、どうしても効率優先になってしまうのもわかります。そこは経営者の考え方だ重要だなと思います。

コメントを投稿

22期生のブログリレー」カテゴリの最新記事