誰もが1度は観たことがある映画、サウンド・オブ・ミュージックを英語の学習にあてようと思います。

さて、前回紹介した、トラップ大佐とシュレーダー男爵夫人の大人の関係に、少しずつマリアが絡んでいきます。

マリアは、子供たちを遊び着のままで外に連れ出したことを大佐から厳しく叱責され、修道院に帰るように宣告されます。

しかし、男爵夫人を歌でもてなす子供たちの歌声を聞いて、自分が間違っていたと大佐は謝るのでした。

大佐と、夫人と友人のマックスの前で、人形劇のオペレッタを上演するマリアと子供たちでした。

 

 

そこで歌われるのが次の歌です。

The Lonely Goatherd (ひとりぼっちの羊飼い)

すっかり打ち解ける子供たちと大佐でした。その立役者がマリアであることを、その場にいるだれもが感じ始めていました。

男爵夫人の心理状態はいかがなものだったでしょうか。

 

(もちろん田舎の小娘と歯牙にもかけない気持ちに変わりはありませんでしたが。)

ここで、やや意地悪な質問をマリアに投げかけます。

My dear, is there anything you can’t do?

(マリアさん、あなたにできないことなんてあるのかしら。)

マリアは応えます。

Well, I’m not sure I’ll make a good nun.

ここでの make a good nun ですが、make の特殊な意味合いに注意です。

この make は、「(人が長じて、成長して)~になる」という意味です。

だから、マリアの答えは、「ええ、立派な修道女になれるか自信がないんです」ということを言っています。

これは、あまりにも律儀な答えです。

勝気な夫人の質問は、歌も人形劇も自分にはかなわない、また何よりも子供たちを虜にしているマリアへの当てつけだったにもかかわらず。

マックスは、「長く、絶望的な捜索の結果、ついにザルツブルグ音楽祭に出場する、素晴らしいグループを見つけた」と言います。

それを聴いた大佐は、次のように質問を投げかけます。

Who will you be exploiting this time?

exploit は「(人を)利用する」という意味ですが、ここでの大佐の発言には、「不当に利用する」というニュアンスが込められています。

つまり、「こんどはだれを餌食にするつもりなんだい」(中あな流翻訳)といった感じでしょうか。

大佐が、一向に首を振らないためにその場がしらけてしまいます。

そこで、マリアが子供たちと相談した結果、大佐に一曲歌って欲しいとせがんだ結果、大佐が歌い出します。

名曲、エーデルワイスです。

その歌に聴き惚れ、大佐をじっと見ているマリアの横顔を、夫人はけっして見逃しませんでした。

 

次回につづきます。

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