スペシャリテ、すなわちお店の「顔」となる一品はシェフの実力が垣間見えるものです。
「実力」というのは、単に料理の腕そのものだけではありません。その渾身の一品に対する思考の深さ、発想力などシェフの内面そのものを映していると私は考えています。

すなわち、スペシャリテはシェフそのものです。

先日訪れたレフェルヴェソンスのスペシャリテはこれまで食べた全てのスペシャリテの中で最も総合的な完成度が高く、スペシャリテのみでリピートする価値があるように思えました。

そんなレフェルヴェソンスのスペシャリテについて少し考えていきましょう。
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まず、コースメニュー全体を見てみましょう。
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スペシャリテは上から4品目です。

定点~蕪とパセリ、キントアハム、ブリオリッシュ



ここで普通に考えて疑問に思う点が2点、

ここでの定点とはどのような意味なのか
なぜ「蕪」という素材がスペシャリテの主役に居座っているのか

そのようなことを考えていると、いよいよスペシャリテが姿を現しました。
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非常に美しいですが確かに蕪です(笑)。間違いなく主役です。

二つの疑問に対する答えは、調べればわかりますし、お店の人からもお話を聞けました。SIXというメディアでの取材でうまくまとめられていたのでまずは抜粋します。

2018-11-26

これ意味わかりますかね?
蕪は季節によって同じ蕪でも違う顔を見せます。つまり例えば各四季で1度訪問すると同じスペシャリテかと思いきやそもそも素材の蕪自体の味が微妙に違います。そしてその違いに合わせて味付けも微妙に変えているのです。シェフの定点観測でもありますが、リピーターにとっても四季の違いを蕪の定点観測を通じて感じることができるのです。

これは素材を知り尽くしていないと辿り着けませんし、それを定点という形でスペシャリテにした発想力もずば抜けているなと思いました。そしてこの発想力は私(客)に自然とリピートしたくなる気持ちにさせる影響力まで持ち合わせており、かなり理想的なスペシャリテです。

スペシャリテはお店の看板ではありますが、リピーターにとっては、3、4回目くらいになると「またか」という気持ちになることもしばしばあると思います。そういったスペシャリテ固有の問題もうまくクリアしています。

素材への理解力とそこからの発想を一皿で表現し、その完成度の高さがスペシャリテ自体にブランド力を持たせ、顧客をリピートさせる。

見事だなと思った次第であり、ブログにも残しました。

シェフは私の大学の先輩にあたる方ですが、この世界にも尊敬できる先輩ができた気分になれました。また、定点観測に訪れたいと思います。