世の中には誤診や誤解を受けやすい疾患が多くある。
 

その中の1つ、「低髄液圧症」が、本日夜9時よりドラマ「ラジエーションハウス」(最終回)で取り上げられる。

(医療従事者であれば腰椎穿刺後の低髄液圧については周知のことであるが、外傷性による低髄液圧については近年になり認められた疾患であるため知らないことがある。)





キラキラクローバー低髄液圧症とはクローバーキラキラ


本来なら一定である脳脊髄液圧が低い状態になるために多彩な症状を引き起こす疾患。
明瞭な起立性頭痛と低髄液圧(6cm水注以下)を認める。


~ 症状 ~

・起立性頭痛(起き上がると頭痛が増強)
・めまい
・全身倦怠感
・吐き気
・耳鳴り
・頸部痛
・うつ
など多岐にわたる


~ 診断方法 ~

・頭部MRI
・髄液圧測定


~ 治療方法 ~

・保存的治療(臥床安静+水分摂取療法)
・ブラッドパッチ



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「低髄液圧症」という疾患は一般的にあまり馴染みがないが、尻もち・転倒・転落・水分摂取不足・交通事故・いきみ・くしゃみ・性行為・整体治療・腰椎穿刺......etc により誰にでも起こりうる疾患である。


そしてこの「低髄液圧症」の周辺病態には、更に誤解を受けやすく、周囲の理解を得られずに苦しんでいる患者が多数いる疾患がある。



それは

「脳脊髄液漏出症」・「脳脊髄液減少症」である。



ここからがまさに、「事実は小説より奇なり」という部分だ。


低髄液圧症髄液圧の低下を測定することにより診断可能。


しかし、低髄液圧症が治癒せずに慢性化すると、ほとんどの場合に髄液圧は正常化、つまり正常に戻る。


通常のMRI 検査等では診断できない病態になるのである。


こうなると、通常の検査では異常が検出されないため、詐欺病なのではないか、精神病怠け病なのではないかと疑われる場合がある。


この場合、脳脊髄液圧は正常であっても、神経根から脳脊髄液の漏出(または吸収過多)が続いていることがあり、その診断には造影剤を用いた下記の特殊な検査が必要になる。

・脳・脊髄造影MRI 
・RI脳槽シンチグラフィー
・CTミエログラフィー

これらの検査(全てとは限らない)により脳脊髄液の漏出が認められた場合の診断名が「脳脊髄液漏出症」である。


治療方法は低髄液圧症と同様、
・保存的治療(臥床安静+水分摂取療法)
・ブラッドパッチが一般的である。


画像診断が可能なので、保険治療が適応される。特殊な症例以外、ブラッドパッチの保険点数は800点(8000円)だ。


しかし、

この画像診断によっても診断がつかない場合がある。


つまり、画像診断によって脳脊髄液の漏出が明らかにされないにも関わらず、同じ症状に苦しむ患者がいる。


なぜなら、脳脊髄液の減少は、脳脊髄液の漏出に限らず、脳脊髄液の動態異常によっても引き起こされる可能性があるからだ。(漏出症患者のうち、漏出が止まっても治らずに多彩な症状を呈する患者の場合もこの可能性が考えられる。)


また、検査結果により脳脊髄液の減少が疑われるものの、定められた「脳脊髄液漏出症」の診断基準を満たさない症例も数多くある。


この場合、「脳脊髄液減少症」とされる。(専門医含む脳脊髄液減少症に理解のある医師は、低髄液圧症・脳脊髄液漏出症ともに脳脊髄液減少症と呼ぶことがある)


脳脊髄液減少症患者の多くには、症状が慢性化することによる二次的、三次的な症状が発現する。(漏出症患者にも同様のことが言える)


長引く脳脊髄液減少状態により、倦怠感自律神経症状高次脳機能障害内分泌症状など、様々な症状が誘発されるのである。


誘発される症状はあまりに多岐に及ぶので全てを挙げることは出来ないが、

顔面痛・緊張型頭痛・背部痛・腰痛・肩甲部痛・手足痛・胸痛・嗅覚異常・視神経異常・眼瞼下垂・歯痛・顎関節症・味覚障害・聴神経障害・尿失禁・歩行障害・月経異常・甲状腺機能低下・アトピー・帯状疱疹・睡眠異常・微熱・血圧異常・頻脈・鬱....などがある。
(脳脊髄液減少症の代名詞のようになっている起立性頭痛の症状がないケースもある。発現する症状には個人差があることに要注意。)


このような状態で、専門医による適切な診断、治療がなされずにいると、患者はドクターショッピングを繰り返し、誤診誤解を受け、日常生活もままならず、非常な窮乏に陥るケースがある。


診断されたとしても、脳脊髄液減少症(低髄液圧症・脳脊髄液漏出症は除く)へのブラッドパッチ治療には保険がきかず、一回につき20万円以上の負担がかかることもある。


また、慢性疲労症候群・起立性調節障害・繊維筋痛症など、様々な疾患を合併している場合、原疾患は何か慎重な判断が求められると共に完治までに時間を要するケースが多い。


脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群・脳脊髄液漏出症含む)患者は、非常に苦しい症状を経験しているにも関わらず、外見上は問題ないように見えることが多く、社会的認知度も低い疾患ゆえ、周囲からの配慮を受けづらい状況が散見される。


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低髄液圧症・脳脊髄液漏出症・脳脊髄液減少症の相関図





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誤診されて苦しんでおられる方々には、早く原因となる疾患に辿り着いていただきたいと願う。


周囲から誤解を受けて苦しんでいる患者が救われてほしいと願う。


患者1人1人のライフストーリーは、正に波乱万丈、小説よりも壮絶かつ信じられないエピソードで溢れているのである。


日本で「脳脊髄液減少症」を提唱、同疾患の診療、研究にあたる篠永正道医師は、脳脊髄液減少症患者の気持ちをこのように述べた。


「知ってもらえるだけで楽になるんです。」






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「なまけ病」と言われて ~脳脊髄液減少症~






ちなみに、ラジエーションハウスの医学監修は、戸崎光宏医師(放射線医・社会医療法人 博愛会)、五月女康作氏(診療放射線技師・東京大学大学院総合文化研究科)である。




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