「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

南スコットランドからの「ウマさん便り」(2023・3・25)

2023年03月25日 | ウマさん便り

WBCの優勝でいまだに余韻冷めやらぬ日本列島・・。

やはりスポーツはいいですね。連帯感を育み、心を一つにしてくれる点では芸術よりも上ではないでしょうか。

で、国際試合にちなんで「ウマ」さんから次のようなお便りが来たのでご紹介しよう。

「北海道と本州が野球の試合をする…
これ、国際試合と言ったら「何をアホなことを…」となるよね。
 
ところが、英国では事情が全然違います。
スコットランドとイングランドがサッカーやラグビーの試合をする…
これ、国際試合になります。
 
ご存知の方も多いと思うけど、そこら辺の事情を書いた「ウマ便り」をご覧ください。

「英国はイングランドではない」  

初めてスコットランドを訪れたのは1980年の夏だった。

グラスゴーのキャロラインの実家で、弟のマーティンが、ある日、やや興奮して言った。「今夜、スコットランドとイングランドのサッカーの試合がある」

そして、ビールやらウィスキーやらポテトチップス(英語ではクリスプス、ポテトチップスはフレンチフライのこと)などをしこたま用意しテレビの前に座った… 

いよいよゲームのスタート、ところがそのタイトル画面を見て僕は首をかしげた。「スコットランドvsイングランド」、これはわかる。が、そのタイトルの下に「国際試合」とあるんや。なんなのコレ? 「マーティン! なんで国際試合や?」

「当たり前や。イングランドは外国や!」「エッ? スコットランドもイングランドも同じ英国とちゃうのか?」 「同じ英国やけど、違う国や!」 

英国が「連合国家」であることを知るのに時間はかからなかった。

英国は四つの国で成立している。「イングランド」 「スコットランド」 「ウェールズ」 「北アイルランド」…

この国は、歴史上、ケルト人、ローマ人、それにゲルマン人であるアングロサクソン人やノルマン人その他が入り乱れ、他の欧州の国々同様に、様々な王国を築き集合離散を繰り返してきた。現フランスのほとんどが英国の領地だった時代もある。 

18世紀はじめにイングランドに併合されたスコットランドは、それまではれっきとした独立国家だった。だから、イングランドへの対抗意識や気風・気概は今に引き継がれ、スコットランド独自の法律や銀行制度(独自の紙幣を発行)、或いは教育制度や医療制度など、イングランドとは違う行政制度がある。さらに立派な国会もあるし首相も存在する。 

「英国」と「イギリス」、この国を呼ぶのにこの二つの名称が日本にはある。ここらもちょっと事情をややこしくしているんじゃないかな。

「英国」は、ブリテン島と北アイルランドを示し、文字通り英国全体を現している。ところが問題は「イギリス」や。もともと「イングランド」が語源のこの言葉、  

「英国」も表わすが「イングランド」を示す場合も多い。

だから僕は、英国全体を示す場合、イギリスという言葉は極力使わないようにしている。 

さてここで、日本の学校の英語の授業をちょっと振り返ってみよう… 

「英国は英語でイングランド、英国人は英語でイングリッシュ…」

僕は中学で確かにそう習った。いまでもこう教えている先生は多いんじゃないかな。でも、これ、明らかに間違いなんだよね。 

イングランド人   → イングリッシュ

ウェールズ人     → ウェーリッシュ

スコットランド人 → スコティッシュ

北アイルランド人 → アイリッシュ 

イングリッシュってのはイングランド人のこと。同じ英国人であるスコットランド人はスコティッシュであり、間違ってもイングリッシュとは云わない。もちろん、ウェールズ人はウェーリッシュでありイングリッシュじゃない。だから、英国人のことをイングリッシュと呼ぶのは間違いだってわかるよね。

英国には四つの国があり四種類の国民がいる(現実にはおびただしい移民との共生社会だけど)。この四国民を総称して、つまり英国人は「ブリティッシュ」が正解となる。でも国籍を尋(たず)ねられた場合、「入管」など公的な場以外で自分のことをブリティッシュとみずから言う英国人はあまりいないと思う。「私はイングリッシュです」 「私はスコティッシュです」…が普通でしょう。

「私はイングリッシュです」と云う方を、この人英国人だと捉(とら)えずに、この人、イングランド人だ…と認識すべきでしょうね。

「英国人はイングリッシュ」、これが間違いだということ、わかってもらえました? 

じゃあ「英国」は英語でなんと呼ぶのか? 

英国の正式名称、実はコレ、世界で一番長い国名なんです。「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」

「グレートブリテンと北アイルランドによる連合王国」 コレ長すぎるよね。だから通常は「United Kingdom」(ユナイテッド・キングダム)と呼ぶ。キングは王様、ダムは領地のこと、つまり、キングダムは王国の意味。だから、ユナイテッド(連合)とキングダム(王国)で「連合王国」となるわけ。これは御存知の方も多いでしょう。  

これをさらに省略して「U.K.」となる。「英国はユナイテッドキングダム」、これが正解となります。もっとも慣習的に昔から「グレートブリテン」と呼ぶ場合も多いけど、正式名称ではない。 

スコットランドで暮らす僕に、日本からの手紙のほか、時に、本や雑誌、あるいは様々な日本食材を送ってくださる方がかなりいらっしゃる。手間隙(てまひま)かかる梱包(こんぽう)、そして決して安くはない郵送料…、非常にありがたいことだと、いつも心より感謝している。

でもその郵便物を見ると、僕への宛名として、スコットランドのあとにイングランドと記入しておられる方が実は少なくない。つまり国名が二つ並んでいるんですね。

だから皆さん、僕に何か郵送してくださる場合(催促してるんとちゃうよ)、どうか宛名のスコットランドのあとに「U.K.」とご記入くださいましね。 

いつだったか、大阪のラジオで、英国製紳士服地のCMを聞いたことがある。ナレーターが格調高い語り口でこうおっしゃった… 

「イングランドの誇り…最高級ウール…それが〇×紳士服地…」

ところが、そのCMのバックに流れていたのはバグパイプなんです。もちろんバグパイプはスコットランドの誇りでイングランドのものじゃない。笑っちゃうよねコレ… 

御存知だとは思うけど、UやKのあとに付いているピリオドは、省略の意味です。そこで思い出した… 

大阪に置いてある僕の自転車は、自転車屋の友人が組上げてくれた特製です。で、彼、わざわざ、フレームに「U.M.A.」とレタリングしてくれた。 

それは嬉しいんやけど、なんでピリオドが付いてるんや? ピリオドなんかいらん筈や。で、その理由を訊いた… 

「コレなあ、Uは胡散(うさん)くさい、Mはマヌケ、Aはアホ。胡散臭(うさんくさ)いマヌケのアホ…」

…あ、あのなぁー… 

さてさて、日本の英語の先生方! もうやめましょうよ。

「英国はイングランド、英国人はイングリッシュ」と教えるのは、ネッ!

追記(2023・3・25)

日本も英国のように分けると面白そう。

たとえば、「九州」「四国」「静岡以西の本州」「東京以北の本州」「北海道」の5つの連合国家にする。いわば県を廃止して「道州制」へ。

行政の合理化(人件費など)に寄与すると思うんだけどなあ・・(笑)。



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