前々回の「オーディオ愛好家のご訪問」からの続きです。
さて、試聴会もいよいよ佳境に入って、今度はいよいよ我が家の本丸「ウェストミンスター」の試聴に移った。
ウェストミンスターといっても、中身の方は「タンノイ」のオリジナルとは「似て非なるもの」で大改造を施している。
ただし、これはけっして胸を張って自慢できる話じゃないので念のため~(笑)。
きっとオリジナル信奉者は腹を立てるに違いないが、自分としてはいかにオリジナルであろうと出てくるサウンドが気に食わなければ、思い通りに変えさせてもらうという主義である。
(長い宮仕えをして散々屈折した思いをしてきたので、せめてオーディオくらいはという気がある)タンノイだろうが何だろうが権威には盲信しないし、所詮は利益を追求するメーカーだからコストの追求によって犠牲になっているところが多々あるに違いないと思っている。
たとえば「お粗末な部品」を使った「ネットワーク」なんて最たるものだが、それも「タンノイの音づくりの一環だ」と開き直られればそれまでなんだけどね・・。
いずれにしても、これほど改造を施すと、おそらく下取り価格が情けないものになるのだろうが、どうせ死んだ後の話だから知ったこっちゃない~(笑)。
で、この際だからどこをどう変えたかというと、まず口径38cmの鈍重なユニットを追放して口径30cmのスピード感溢れるユニット(赤帯マグネット)に交換、そして長大過ぎて音が遅れ気味の「バックロードホーン」も仕切り板を取り払って短縮し、ようやく違和感がしないレベルまで仕上げた。
もちろん「ネットワーク」に至ってはご存知のとおり、すっかり別物にしている。
そうだ、これからは「ウェストミンスター」(改)という表現にしよう。
おっと・・、試聴会の話だったね(笑)。
最初は順調な滑り出しだった。
「こういうスケール感に満ち溢れた音に移ると、AXIOM80が何だかちまちました音のような気がしてきます。それかといって、分解能も鮮度もいいし、素晴らしいサウンドですよ、これは~」
「そうでしょう、80もいいんですけどオペラやオーケストラを本格的に聴くとなるとちょっと物足りないです。所詮はサブ的な位置づけになりますね・・。」
このシステムの長所がもろに発揮されるのは「チェロ」の鳴りっぷりで、それはもう筆舌に尽くしがたいほどの胴鳴りを伴った豊かな弦の音色が部屋中にゆったりと漂ってくる。やはり重量が100kgに及ぶ箱だけのことはある・・。
ただし、不幸なことにチェロからほかの音楽ソース「ジャズボーカル」に移った時に異変が起こった。
「高音域の輝きがもう少し欲しいですね~」と、Yさん。
ウム、一番痛いところを突いてきたな・・、さすがッ(笑)。
これまで使ったことのあるJBLの2インチ大型ドライバー「375」や「LE85」はヴァイオリンに難があってすべて追放したが、1インチの「175」は珍しく弦楽器が比較的柔らかいので大いに気に入っている。
ただし、「075」と比べるのはちょっと酷でクロス1000ヘルツから使える分だけ最高音域がやや甘くなるのは当初から気が付いていた。
そう、「175」の宿命なので仕方がないともいえるんだけどねえ。
ただし、今回のケースでは未練があるのでできるだけの手立てを講じてみた。
とりあえず「175」を「375」寄りに鳴らすか、あるいは「075」寄りに鳴らすかの二者択一になるわけだが、これまでは「クロス900ヘルツ」だから「375」寄りに鳴らしていたことになる。
そこで、方針を転換して「075」寄りに鳴らしてみよっか。
Yさんの目前でコンデンサーを交換してクロスを「1700」ヘルツへと変更した。
あの弁当箱のようなコンデンサーが無くなって随分景色が良くなったなあ(笑)。
これで、クロス「700ヘルツ」の「スーパー12」の周波数との重なり部分が薄くなったので「175」用のアンプのボリュームを可能な限りマックスまで挙げられるようになった。たぶん高音域の輝きが増すことだろう。
次に、アンプを同じ「71Aシングル2号機」からより切れ味のいい「71Aシングル1号機」(SRPP回路)へと交換した。整流管はあの「83V」(RCA:刻印)
さあ、これでどうだっ、Yさん!
以下、続く。