経済ほど我々の生活に身近で、かつ我々が無知・無理解に陥りやすいものはない。

今回の総選挙では、これまでになく与野党各党が積極財政を公約化し、積極財政派から見れば満足のいくレベルには全然達していないものの、「分配」や「持てる者への負担」を訴えている。

こうした動きを敏感に察知した増税緊縮派の連中は、“既得権益の危機”、“積極財政へのパラダイムシフトを阻止せよ”とばかりに対バラマキ攻撃を過熱化させている。

『「ばらまき合戦」、過熱の一途=各党財源論乏しく【21衆院選】』
https://news.yahoo.co.jp/articles/35ba0edf009a998dbc6f0ef70e121e5e237768eb
「与野党は、衆院選で最大の争点となっている「分配」政策のアピールに懸命だ。
 競い合いは過熱の一途で「ばらまき合戦」の様相を呈す。ただ、各党とも財源論については多くを語らない。赤字国債に依存するなら、負担は将来世代に重くのしかかる。(略)
 「財源なき分配競争」のきっかけは首相だ。8月に党総裁選への出馬を表明した際、安倍・菅両政権で拡大した格差を是正するため「成長と分配の好循環による新しい資本主義」を提唱。中間層拡大へ「令和版所得倍増」を掲げた。(略)
 他党も負けていない。公明党は18歳以下への一律10万円給付とマイナポイント3万円付与を公約に明記。共産党は中間層を含む10万円給付、国民民主党は一律10万円給付を掲げる。立共両党と国民民主、日本維新の会などは消費税5%への減税もうたう。
 一方、財源論はほとんど素通りされている。(略)
 14日のTBS番組で象徴的な場面があった。大学生から「借金では若い世代にツケが回る」と疑問を呈された首相は「世界が大型の財政出動を行っている。経済を再生した先に財政(再建)だ」。枝野氏は「100年に1度の災害を乗り切る。富裕層などに負担をお願いする」と述べるにとどめた。」

マスゴミや財務省、新自由主義者らを始めとする増税緊縮派は、積極財政策に「バラマキ」とレッテル貼りして品位を貶め、「財源をどうするんだ~」と恫喝すれば完勝できると高を括っているようだが、“財源探し”が無敵の印籠として通用したのは、もはやふた昔も以前のこと。

いまや、財源をどうするんだ~攻撃などまったく通用しない。
「財源? そんなもの、国債を増発すればいいんじゃないの?貨幣を増産すればいいんじゃないの?いまどき何言ってんの。そんなの常識だよ?」の一言で終了だ。

彼らの十八番は、「バラマキだ~→財源はどうするんだ?→ハイパーインフレがくるぞ~→将来世代のツケ回しだ~」を繰り返すだけの負け狗論法だが、増税緊縮策を打ち続けた平成令和不況が生み出した惨憺たる結果を見れば、彼らは、何の成果も出せぬまま日本を後進国化の危機に陥らせた“大罪人”でしかない。
にもかかわらず、彼らはまったく反省の色を見せず、今日も元気に積極財政策への批判を繰り返し、日本を更なる恐慌へと引き摺り込もうとしている。

増税緊縮派の連中は、積極財政策の火種をもみ消そうとして、「バラマキが~、財源が~、ツケ回しが~」と騒ぎ立て、借金嫌いの日本国民を唆し、増税緊縮病が駆逐されるのを必死に阻止しようとしている。

だが、現役世代や将来世代の日本国民にとってのツケ回しとは、積み上がった国債でも、バラ撒かれた貨幣でもない。
そんなものは、無限の発行能力を保障された国家の通貨発行権の前では塵芥ほどの脅威にもならぬ。

現世を生きる我ら日本人が将来世代に最大・最悪のツケを残すとすれば、それは、内需不足型不況を放置して供給力を毀損し、“成長できない日本”、“分配財源がない日本”という「衰退国家、日本」を若年層や子供たちに放り投げることであろう。

・成長できない国
・人材や供給力という国富を失った国
・世界一厳しい労働環境下で30年間も給与が増えない国
・初任給が増えない国
・懸命に働いても生活保護費未満の収入しかもらえない国
・消費がペナルティになる国
・四公六民がスタンダードだった江戸時代以上の重税に苛まれる国
・ものづくり力が衰退し続ける国
・研究者が生活できない国
・公共インフラの維持更新すらできない国

「カネがなかったんだから、仕方ないじゃん」の一言ですべてを切り捨て、成長する努力を放棄し、次世代にズタボロ国家を平気な顔で引き渡そうとする厚顔無恥な増税緊縮脳こそが、日本という国家を腐らせ、そこに住み暮らす日本人を貧困化の地獄に叩き落す「最悪のツケ回し」なのだ。

今回の総選挙では、特にれいわ新選組が「消費税廃止+社保負担軽減+デフレ脱却給付金+学費・奨学金免除」などの大型のバラマキ政策を訴え、各方面から「財源をどうするんだ~」と集中砲火を浴びているようだが、その程度の財源なら国債増発と貨幣発行で即座に調達できる。

“財源が~”の揚げ足取りをするのは己の不明や無知を曝け出すだけだ。
財源探しで思考がストップしたままのバカには、「お前らは、カネを使わずに、いったいどうやって30年不況から脱却するつもりなのか、具体的に答えてみろよ!」と厳しく問い質したい。

「カネがない、カネを使うのが怖い」というバカげた理由で不況脱却から逃げ回ろうとする連中は、何の役にも立たないナマケモノだ。
「言い訳はもう聞きたくないから、もう黙っていろよ!」と叱り飛ばしたい。

さて、マスゴミや財務省を始めとする増税緊縮教徒のバカさ加減については、これまでも散々扱き下ろしてきたが、ネットのコメ欄を見ていると、経済や財政に関する国民の無知ぶりにも顔を顰めたくなる。

先日もこんなネット記事があった。

『衆院選 経済対策「分配政策」並ぶ 成長への道筋は』
https://news.yahoo.co.jp/articles/a39ec86c35de6fbdaf88a9ec9cbbdccb5376b7c1
「31日に投開票となる衆議院選挙、今週はその争点をシリーズでお伝えしています。21日は経済対策です。今回の選挙で大きな争点となる経済対策で、各党の公約では大盤振る舞いの「分配政策」が並んでいます。
 自民党は賃上げに積極的な企業への税制支援や困窮する非正規労働者などへの経済的支援を盛り込みました。(略)
一方で、分配とセットで必要な成長への道筋については主張が乏しく、どういった政策で実現をしていくのか有権者へ示すことが求められます。」

マスゴミは、「分配とセットで必要な成長への道筋については主張が乏しく」と各党が示す分配重視の姿勢にケチをつけているが、“必要な成長への道筋”とやらは、分配強化による所得UP+需要力UPがあってはじめて光明が差すものであり、分配こそが成長への道筋そのものであると言ってもよい。

マスゴミ連中は、分配と成長とを別物として扱い、「分配だけでよいのか? 成長には構造改革が必要なんじゃないか?」と話を逸らそうとするが、成長(国民所得の増加と供給力の強化)にとって最高の栄養分は分配以外の何物でもない。

分配とセットで必要な成長への道筋とは何か?と問われたならば、「更なる分配だ」と答えればよい。

だが、こうしたニュースのコメ欄を見ると、分配の重要さに対する国民の認識や意識は、いまも幼稚で支離滅裂なレベルに止まっていると嘆かざるを得ない。
代表的なのがこのコメントだ。

「GDPを増やして成長の果実を得るためには個人消費を増やすこと。個人消費を増やすには給付金より消費税減税。消費税減税が一番購買意欲を高める。時限立法でもいいから消費税率を下げる。大企業の内部留保が分配の足かせ一つの原因になっているから、こちらは税制で対応する。課税されるくらいなら分配したほうが、という企業マインドにならないと分配されない。あと重要なことは消費税によって現在の若者に対して将来の年金は大丈夫だというメッセージを出すこと。年金の安心が消費増につながると思う。」

このコメのダメなところは二点ある。
一つ目は、「個人消費を増やすには給付金より消費税減税」という択一論に固執している点。
二つ目は、「重要なことは消費税によって現在の若者に対して将来の年金は大丈夫だというメッセージを出すこと」という社保財源としての消費税を是認している点。

正直言って、30年もの間増税緊縮政策に苦しめられた国民が吐くセリフとは思えない。
被害者たる当の国民自身がこんな大甘なことを言っているから、いつまで経っても政府が増税緊縮の旗を降ろそうとしないのだろう。

まず、給付金or消費税減税の選択を必須条件にすること自体があり得ない。
なぜ、両方を要求しないのか?

給付金は名目所得を増やす政策であり、減税は実質所得を増やす政策だが、平均給与が30年もの長きに亘って増えないという大惨敗を喫した日本国民は、当然、所得を名目値&実質値の両面で増やさねばならない。
そうでないと、30年の間に失った逸失所得を取り戻すなど到底不可能になるからだ。

一人当たり月4万円の給付金(BI)を3人家族(平均所得400万円)に配ったとすれば年間144万円の増収になる。
一方、消費税を廃止すれば、年間22万円前後の税負担が減る。
これを両方ともやれば、この家族の年間所得は41%も増えることになり、令和の所得倍増計画に一歩近づくことができる。

積極財政策による分配強化を支持しながら、給付系の政策を嫌悪する一部の無能な輩もいるが、令和の所得倍増計画を実現するためには、企業から家計への所得移転だけではあまりにも時間が掛かり過ぎるし、力不足の感を否めない。
財政政策を以ってかなり強引に焚きつけても、年率2-4%程度の賃上げすらハードルが高いと思われるから、当初の10‐15年くらいは政府主導で、消費税廃止+社保負担全額国庫負担化+BI+公共料金半額補助などといった「国→家計への直接的な所得供与政策」を打って先導する必要があるだろう。

次に、消費税収によって支えられるから社会保障制度は将来にわたって大丈夫だ、という意味不明なメッセージだが、これのダメさ加減について今更説明の必要はないだろう。

消費税を減税しろというのと同じ口から、「消費税を社保財源に充てて百年安心を保障しろ」というセリフが出てくる矛盾を嗤わぬ者はおるまい。

マスゴミや財務省ら増税緊縮派のバカさ加減もたいがいだが、増税緊縮脳を厳しく批判すべき立場の国民も、自らの生活を豊かにするためにきちんと勉強すべきだ。