山種美術館
「蛍」上村松園
蚊帳を吊っていると、足元に小さく光る蛍
ふと緩んだような口元が可愛いらしい。
蚊帳から透ける浴衣の柄、この描き方はいつ見ても見事だ。
黒髪も白鼈甲の櫛から透けている
予習に「青眉抄」も読み、日本髪や女性の眉といった
松園のこだわりについて目がいった。
「新蛍」上村松園
こちらも左下に蛍
半身が簾に隠れ、これまた絶妙な透け具合のバランス。
☆今回、写真撮影可能はこの一幅のみ
「娘」 上村松園 (松園67歳の作品)
娘も花魁も白鼈甲の髪飾りを着けている
白鼈甲というのはもう少し飴色のイメージだけど
松園の描く白鼈甲はどれも白っぽく無垢な清潔感がある
これにマストアイテムのように執着している
艶やかなクリーム色の本鼈甲、大人の女性の高潔な色気
白い肌や美眉、黒髪を最も引き立てる必需品だ。
“真・善・美の極地に達した本格的な美人画を描きたい”
(上村松園のことば)
「白孔雀」 上村松篁
花鳥画を得意とした松園の長男・松篁
横に長~く描かれた孔雀の尾、画サイズも大きい
デフォルメ印象のなかにも心地よい静謐さがある。
…
“よい人間でなければよい芸術は生まれない”
松園も松篁もこの言葉に尽きるよう。
(展覧会webページより)