窓の外から猫の声🐈🐈🐈

2.5次元とか特撮とか。漫画や小説。平野良と望海風斗。

fffーー03

最後の役名が「謎の女」ってどうなんだ? と最初は思いました。同じ事を考えた方は多いのではないでしょうか。

結論から言います。この役で良かった。

どんな名前もピンと来ない。そして何よりベートーヴェンが「お前の名前がわかったよ」と言った瞬間、真の役名が浮かび上がる。

『ルサンク』を読んだ時、役名がそこで変わるのかに痺れました。

ああ、これで良かったのだと。


真彩希帆さんが望海さんの相手役で本当に幸せでした。

歌はもちろんのこと、上手く言葉に出来ないのがもどかしいけれど、全てにおいて真彩さんがベストだったと私は思っています。他の誰でも私は満足できなかったと。

一見押し出しが強くて前に出るタイプに見えて、その実自己評価が低く必死に努力してきた真彩さん。9学年上の実力者である望海さんに見合う相手役であろうともがき苦しんできた真彩さん。これが愛しいと言わずして何と言おうか。

ちゃんと才能もあって、努力も実を結んでいると私には見えるけれど、真彩さんご本人はまだまだ上を追い求めていたのだなあと感心します。

望海さんも真彩さんのことを認めていて、普通ならその立場に驕っても不思議ではないのに、彼女は甘えない。

うん…もう少し甘えても良かったかもしれないね。真彩さんは素晴らしい娘役さんですよ。

こんな世界の片隅のブログで呟いても真彩さんに届きはしないけれど、心の底から叫びたい。

真彩さんは最高の相手役さんですよ!

あなたが望海さんの相手役で、本当に幸せ!


望海さんの相手役がまだ誰か分からなかった頃、私は「誰でもいい」なんて思っていました。その頃の宝塚全体のことを把握していなかったし、雪組以外の娘役さんのことを知らなかったので。咲妃みゆさんもまだ退団発表していなかったから、彼女が残るならそれでもいいとも。

望海さんに合う娘役さんが分からなかった。

それは当時の雪組生徒さんも同じだったようで、誰になるんだろうと生徒間でも話題だったとか。

割と最近になってそんな生徒さんたちのお話を友人を介して伺いました。

そして真彩さんの組み替えが発表され「あ、相手役が来た」と皆さん思ったのだそうです。

鈍い私もなんとなく「あ〜この人が相手役さんなのかな?」と察しました。

「幕末太陽伝」で2階席から「あら〜綺麗な声」と思い、ショーのサプールの場面で「いいね、いいね、この子良いね」と嬉しくなりました。

ブリネクのイベントで『Home』を歌う真彩さんは初々しく震えていた。まだ先の未来のことなど知らない、歌の上手い下級生でしかなかった。

何故彼女が相手役に決定したのかは知りません。きっと知る機会もないでしょう。誰が決めたのか分からないけれど、真彩さんを望海さんの相手役に選んでくれてありがとう。


ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンには恋のエピソードが幾つかあります。その誰かをヒロインにすることも出来ただろうし、また架空の恋人を創作することも出来たはず。

そこを敢えての「謎の女」。批判が来ることも承知の上だったと思います。

どんな人間の女よりもルイに寄り添い、近しく見守ってきた『彼女』。

「私はあなたの想像の産物」と彼女は言う。だから彼女はルイそのものでもある。ルイでもあり、人類そのものでもある彼女を「愛する」のは世界を抱き締めるのと同義。

「エリザベート」のトートに似た存在とよく言われるけれど、私はその「エリザベート」に疑問を持ち続けていました。自由を求めるシシィが何故トートの手を取るのか? トートの手からさえ逃れて一人自由を望むべきではないのかと。東宝エリザはそうなのかな? 宝塚だとトートと愛し合うようになるけど、けっこう唐突ですよね。無理くりって感じ。それがずっと嫌だった。

でもルイが「謎の女」を愛するのは「分かる」。そこに辿り着く経緯がよく分かる。

「人類の不幸」を愛するのは難しいかもしれない。それを愛するのは、人生そのものを愛することです。愛することは幸せ。もはやそれは「不幸」などではない。不幸すら抱き締めるルイの人生が不幸であるはずがない。

そして「不幸」を称する女は「運命の恋人」に変わる。どんなに戸惑ったことだろう。彼女がいつ生まれ、どんな日々を過ごしていたのかは分からない。しかしまさか自分がこうも変化するとは思ってもいなかったのではないでしょうか。

あの後ルイが天に召されるとしても、きっと恋人と一緒でしょう。智天使様も2人を離すことはないと思う。

地上にはまた新たな「謎の女」が生まれているのかもしれませんが。


真彩さんの持つ陽の気を抑えた暗く静かな演技。忍び寄る霧のような歌声。ルイとの同居で見せるコケティッシュな一面。

ナポレオンの残した銃でルイを撃とうとするのはいつしか芽生えた愛の裏返し。死は救いだと。

ルイと女は結果、愛し愛され救い救われる。

正直なんだかどさくさ紛れにハッピーな雰囲気にもっていかれた感がないわけではないけれど、それもまあ良いかという気になる。

我ながら単純。


何が辛いって、もう望海さんと真彩さんのコンビが観られないこと。お二人が今後共演することがあったとしても女同士。それはそれで楽しみだけど、もうコンビではない。

しっかりと目に焼き付けてきたつもりだけど、辛いものは辛い。叶うならもっと観ていたかった。宝塚のトップコンビって本当に儚い。

何度でも言う。

真彩希帆さんが望海風斗さんの相手役で良かった。本当に本当に、最高のコンビでした。

ありがとう真彩さん。心から、ありがとうございます。


真彩さんになら撃たれたい不二子

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