fffーー05
退団者というのは何故にこう一際輝くものなのでしょうか。
ゲーテを演じる彩凪翔さんが、これまで以上に大きく鮮烈な光を放っていたのは私の目の錯覚ではないはずです。
役柄的には渋く穏やかではあるのだけれど、人物の大きさ存在感、私が観たどの彩凪さんより素晴らしかった。
彩風さんと同じく彩凪さんも私が認識したのは「ルパン三世」「ファンシーガイ」。石川五ェ門は美しかったけど、五ェ門か?…と言われると微妙なところでした。まだまだ拙いと感じました。今観るとまあこの配役は妥当なのだとは思いますが。
彩風さんに抜かれてからの彩凪さんの方が好き…と言ったら語弊があるかもしれません。朝美さんが雪組に来てお芝居では朝美さんの方が重要な役をやったりして、でもそうなってからの彩凪さんが素晴らしい。
「ひかりふる路」「壬生義士伝」「Once Upon a Time in America」、どの彩凪さんも良い。「ファントム 」のシャンドン伯爵は歌を除けばキラキラしてこれぞ二枚目!って感じでした。歌が歌えれば彩凪さんの道もまた違ったものになっていたかもしれませんね。そんな未来も観てみたかった気がします。
そして「fff」のゲーテ。あの大物感はすごい。望海さんを中央に、上手に彩風さん下手に彩凪さんが登場した時の高揚感は一生忘れられないでしょう。拍手しながら涙が込み上げてきて、何の涙か自分でもよく分からないのだけれど、胸がいっぱいになりました。
穏やかで物静かで、そこにいるだけで安堵できる、あの諭すような話し振りにはなんだか知らないけど「先生!」と言いたくなる、そんな存在。
彩凪翔という人はこんなにも魅力的なんだと改めて思い知らされました。
本音を言えば退団して欲しくないです。でも彩凪さんの未来は彩凪さんのもの。ご自分で決められたことを私がとやかく言う権利もない。
いやでも勿体ないなぁ……。
そう思われるうちに辞めるのが花とも言えるのでしょうけれど。
私が次に観られるのはライビュかライブ配信ですが、彩凪さんの最後の男役を目に焼き付けたいと思います。
ゲーテ先生の生徒になりたい不二子