2022年4月改正の厚生年金制度の変更内容は?

2022年4月に施行される厚生年金制度の改正はどのような内容になっているのでしょうか?

私たちシニア層の今後の生活にどのような影響を及ぼすのか、改正の概要を確認してみたいと思います。

繰下げ受給の上限年齢の引き上げ

年金を繰下げて受給する場合の上限年齢が、現行の70歳から75歳に引き上げられます。
昭和27年4月2日以降に生まれて方が対象で、その場合の増額率は“84%”となります。

繰り上げ受給の減額率の変更

年金を繰上げ受給する場合の減額率が、現行の1月につき0.5%から0.4%に変更されます。
昭和37年4月2日以後に生まれた方が対象です。

加給年金額の支給停止条件の変更

加給年金とは

厚生年金保険の加入期間が20年以上または中高齢者の特例で特別支給の老齢厚生年金または65歳以後の老齢厚生年金を受ける権利を得た時、その人に生計を維持されている配偶者か子がいれば老齢厚生年金に加算して支給される年金です。

現在、加給年金の対象である配偶者が被保険者期間240月以上の老齢厚生年金等を受ける場合、配偶者の年金が全額支給停止中は加給年金が支給されていますが、変更後は全額支給停止であっても加給年金が支給されなくなります。

65歳未満の「在職老齢年金」支給停止の見直し

現在、65歳未満の方の老齢厚生年金は賃金と年金の合計額が、月28万円を超えると年金の支給が減額されていました。改正後は4月分(6月支給期月)から65歳以上の方と同様月47万円に緩和されます。
なお、基準額となる月47万円は賃金や物価の変動に応じて改定されることがあります。

新しく導入される「在職定時改定」とは

現行の制度で「老齢厚生年金」の金額が変わるタイミングは、65歳「老齢厚生年金」が支給される時と「厚生年金の被保険者」が原則70歳までなのでこの時、退職して被保険者の資格を失ってから再就職せずに1ヵ月が経過すると、それまでの「被保険者期間」に応じて「老齢厚生年金」の額が改定されるのでこの時のみでした。
「在職定時改定」とは、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を年に1回10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に反映する制度です。