第029話 『バルスーズ』

 
遊牧宇宙人 ベルベラ星人 
宇宙怪獣 ギリューザー
頭足怪獣 ペルゲロス 

     

もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第029話。

 

発見された新彗星が、月と衝突する事がわかります。
が、その彗星から通信が入って…!?…!?

 
【UST=防衛チーム】
 
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
ユリコ
ヒデコ
クロス
 
【IDM=地球防衛機構】
 

(Bチーム=情報技術班)
シズカ(班長)
ドノバ
アカイ
 
カジ(UST参謀)
マキノハラ(科学センター・所長)

 

【ムーンベース】

ミナミ(隊長)

カツノ
ミカゲ
ヨコタニ
エモリ
シモカワ
 
フジハラ(長官)

スガノ(副長官)
 

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【科学センター】
 
職員A
「所長、見て下さい。間違いありません。」
 
マキノハラ
「新彗星… だね?」
 
職員A
「はい。
 すでに、つつじの原の観測所や、民間天文台からも、連絡が入っています。
 やはりこれは、彗星でしょう。
 ただ、問題は…」
 
マキノハラ
「コースだな。
 とにかく本部にも、連絡を入れよう。
 事態が事態だ。」
 


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【ハワイ マウナケア天文台】
 
所長
「これは… 一大事だ!」
 
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【アタカマ砂漠天文台】
 
職員
「間違いありません。」
 
所長
「どうしたら良いんだ?
 
 どこに報告し、相談したら…!?」
 
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【UST作戦室】
 
ドアが開き入って来る、特務軍のデン課長。
一礼すると、ファイルを手渡します。
 
デン(情報7課長・FEI)
「ここまでの、主だった情報ですが…
 
 現在も続々と、新情報は入って来ています。
 世界中の天文台、天文関係者が、この話題で持ちきりで…」
 
マキノハラ
「そりゃあ、そうだろうよ。
 
 このままなら… このまま何もしなかったら、ほぼ間違いなく、地球の終わりだよ。」
 
カジ
「もう一度… 情報を確認します。」
 
促すと、スクリーンのスイッチを入れる、科学センター第3研究室長タグチ。
 
タグチ(第3研究室長・科学センター) 
「のちにバルスーズと名付けられた怪遊星が、太陽系外で発見されました。
 徐々に地球に向かって来るこの星は、やがて太陽をめぐる彗星であり、最初は地球と、衝突するかと思われましたが、ギリギリですぐそばを通過する事がわかります。
 
 ところがさらに詳細に計算すると、なんと地球の脇を抜ける時、月と衝突する事が判明しました。」
 
カジ
「このまま、手をこまねいている事はあり得ない。
 必ず何らかの… おそらくは安全な遠距離のうちでの、爆破か軌道修正がなされる物と思うが…」
 
ゴウリ
「な、なんだか急に、えらい事になっちゃったみたいだな!?」
 
ナワテ
「これ以上は無いってくらい、えらい事ですよ。」
 
その時、呼び出し音が鳴り、ヒデコ隊員がマイクを取ります。
 
ヒデコ
「長官からです。
 パリ本部からの通達で会議の結果、影響のない遠距離で爆破、最悪でも元軌道に戻れない規模の衝撃を与えるしかない。と言う結論になったそうです。」
 
マキノハラ
「妥当。当然だな。」
 
ヒデコ
「ムーンベースにも彗星を破壊出来るような兵器は無いそうですが、なんでも、最大クラスの宇宙輸送艦に高性能爆薬を満載させて、長距離ミサイル化して遠隔操縦で命中させれば、彗星を破壊出来ると試算されたそうです。」
 
カジ
「となると、こちらからも技術供与やら何やらで、これから忙しくなるな。
 
 まあ、地球存亡の大仕事だ。
 全力を尽くす以外無い。」
 
ユルガ
「よし、一時解散しよう。
 ただし、ウエイト状態で頼む。
 こちらでスケジュールが組め次第、行動開始する。」
 
ゴウリ、ナワテ、ユリコ、ヒデコ、クロス
「了解。」
 
こうして、地球~月間の往復手段を持つ、極東基地USTからも、人員・技術協力として、≪アーク2号≫でヒデコ隊員以外の隊長以下全員と、B班からはドノバ、アカイの両名が、ムーンベース=IDM月面基地に向かう事になります。
 
幸い彗星の移動速度は異様に遅かったため、(そのために最初は、彗星とわかりませんでした)ムーンベースでは施設の一部をミサイル基地に改装、輸送艦への爆薬搭載と遠隔操縦装置取り付け、誘導施設の建造などのうち出来る部分が、既に急ピッチで始まっていました。
 


☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
地下格納庫内の通路を、移動していく≪アーク2号≫。
  
1、2、3、4のゲートを、次々と通過すると、
最後に5のゲートの前で止まり、今度は上がっていきます。
 
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【つつじの原宇宙線研究所】
 
望遠鏡が引っ込むと、天文ドームがスライドして開きます。
 
少しすると、垂直に飛び上がって行く、≪アーク2号≫。
 
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【海上】
 
潜水母艦の傍ら、潜行してゆく潜水艦。
 
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【海中】
 
乗組員
「発見しました。」
 
艦長
「よし、音響焼夷魚雷、連射6連発射!」
 
乗組員
「了解!
 音響魚雷発射!」
 
艦首発射管から放たれる、魚雷。
怪獣の手前で次々に爆発すると、怪獣は慌てて後ろを向き、急いで去っていきます。

 


 
艦長
「よし、撃退だ。
 まずは、これで良い。」
 
乗組員
「しかし…
 我々がいくらこんな事していても、例の彗星が本当なら…」
 
艦長
「それを我々が、心配してても始まらん。
 そっちはそっちで、担当者が全力を尽くしているはず。
 
 我々は我々の出来る事、職分を尽くすだけだ。」
 
乗組員
「そ、そうですよね。
 
 すみません、つい…」
 
艦長
「いいさ、人間だものなあ。」
 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【宇宙空間 ≪アーク2号≫ コクピット】
 
ナワテ
「ポイント来ました。
 プローブ、発射して下さい!」
 
ゴウリ
「プローブ発射!」
 
≪アーク2号≫の外装に搭載されていた、探査ロケットが発射されます。
みるみる速度を上げ、宇宙空間に消えて行く探査ロケット。
 
ユルガ
「よし、ムーンベースに行こう。」
 
ゴウリ
「了解。
 180度回頭。目標ムーンベース。」
 
Uターンする≪アーク2号≫。
 
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【UST作戦室】
 
ヒデコ
「これ… 何かしら?」
 
セイムリア
「人為的な信号と思われます。
 B班に回します。協力を仰ぎましょう。」
 
カジ
「どうした?」
 
ヒデコ
「探査機から何ですが…
 バルスーズ彗星からの…何かを拾ったようなんです。」
 
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【ムーンベース】
 
カジ
『みんないるかね?』
 
ユルガ
「こちらは現在、ムーンベースに無事ついたところですが…
 何か、ありましたか?」
 
カジ
『大変なんだ。
 君達が打ち出した探査機が、バルスーズからの信号をキャッチした。
 それを解析したところ、人為的な通信である事がわかった。
 
 読むぞ?
「我々は、彗星に住んでいる、ベルベラ星人。
 この星系、第3惑星には知性体が存在し、この彗星は現在、その衛星と衝突する軌道で進んでしまっている。
 が、我々の方で、彗星の軌道を変える予定がある。
 
 衝突を恐れてそちらからの強制的な軌道変更や、攻撃等の選択肢を予定していたのなら、不要なので中止して欲しい。」』
 
ユルガ
「なんですって!?」
 
フジハラ
「フジハラだ。
 直ちにパリ本部に指示を仰いだ結果。
 『万が一のため、輸送艦ミサイルの改造は予定通り続けながらも、ベルベラ星人と名乗る宇宙人との交信は続け、今しばらく様子を見る』
 との事だ。
 
 本当なら何もせずに問題解決だが、万が一の時には命取りになりかねない。
 そんな危険な賭けを、避けるためだろう。」
 
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【ムーンベース 作戦室】
 
マキノハラ
『ベルベラ星人は遥か彼方の母星から、小惑星や隕石に乗って無人の星系に植民している、平和的な種族だそうだ。
 太陽系でも、このバルスーズ彗星内に小都市を築き、ある程度の軌道変更を行いながら、宇宙を旅して生活していると言う。』
 
ユルガ
「するとベルベラ星人は、地球人より古いのか…
 あなた方は我々より優れた、先輩の種族と言うわけですね。」
 
ベルベラ星人
『たまたま発生が、先だっただけだ。
 
 我々は、共に宇宙に住む、仲間であり兄弟。
 平和を願う種族同士に、優劣は無い。」
 
ユルガ
「感謝する。
 月通過の際は、ぜひお会いしたい物だ。」
 
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何度も通信・交流が続くうち、徐々に信頼感も芽生えて来ました。
 
ユルガ
「軌道を変えていただけるなら、地球はそちらにお任せする。」
 
ベルベラ星人
『地球人の配慮に感謝する。
 天王星沖の放射線帯に突入時、一度通信が不可能になるが、通過し次第、連絡を入れる。』

 


 
ゴウリ
「よかった!
 これで何もしないでも万事解決だ!」
 
ミナミ
「おい!
 USTはちょっと、人が良過ぎないか?」
 
ヨコタニ
「そうですよ。
 
 そんな…口約束だけで、何で信用出来るんです?」
 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
        
ところが天王星沖の放射線帯に突入後、抜けたはずの時刻になってもバルスーズ~ベルベラ星人からは通信が無く、連絡は途切れてしまいました。
 
【ムーンベース・作戦室】
 
ユルガ
「バルスーズ! ベルベラ星人!
 どうしたのか?
  
 そちらの軌道が、変わっていない。
 あまり近づくと、変えても影響が出てしまう。
 軌道変更の予定を、教えて欲しい。」
 
徐々に、不穏な空気になるムーンベース。
何度目かの通信のあと、やっと返信が来ましたが…
 
ベルベラ星人
『こちら、バルスーズ、
 重大なアクシデントが、起きてしまった。
 しかし、現在全力で復旧中。
 事態に対応中。
 
 連絡出来るようになれば、こちらから連絡を入れる。
 それまでは、連絡をしてはいけない。
 
 繰り返す。
 決して連絡をしてはいけない!』
 
との交信を最後に、再び連絡は途絶えてしまいます。
 
友好ムードだった月~ムーンベース内も、不安と不信が広がって行きます。
 
ナワテ
「どう言う事です? これは?」
 
ミナミ
「騙されたんじゃないですか?
 ベルベラ星人は最初から、コースを変える気なんかなかったんだ!」
 
ゴウリ
「ちょっと待てよ!
 そんな事をして、何の得があるんだ?」
 
ヨコタニ
「何かわからないけど、たくらみがあるんですよ。」
 
ミナミ
「我々からのミサイル攻撃を、させないために…」
 
クロス
「いや、それなら結局バルスーズと月は衝突して、両方無くなってしまう。
 地球だって、ただじゃすまない。」
 
カツノ
「自分達が攻撃出来る距離に接近するまで、我々からの攻撃を封じる…は、現実的では無いか?」
 
ヨコタニ
「どっち道、ベルベラ星人が裏切ったのは、間違いないでしょう?」
 
ミカゲ
「落ち着けよ。
 そこまでの断言は出来ない。」
 
ナワテ
「事情がわからないんじゃ、どうしようもない。
 でも、連絡するなって、どう言う事なんだ?」
 
ユリコ
「アクシデントと言うのが、気になります。
 言葉を素直に受け取るなら、何かベルベラ星人にとっても予測外の事が、起きたんじゃないでしょうか?」
 
ミナミ
「そんな、都合の良いアクシデントが、起きる方が不自然だ!」
 
ヨコタニ
「私も、そう思います。
 仮に本当にアクシンデトだとしても、説明すらないのはおかしいです。
 
 今までさんざんしゃべっておいて、なぜ突然連絡出来ないんですか?」
 
USTは総じて、騙すにしては不自然だと考え、ベルベラ星人の言葉を信じてのアクシデント説の可能性を主張しますが、
ムーンベース隊員は懐疑的な物が多く、特に守備隊長ミナミは故意説にこだわりました。
 
ミナミ
「本当のベルベラ星人はどこか別の場所にいて、無人の彗星を月にぶつけて、月と地球の壊滅を狙ってる…
 とは、考えられないか?」
 
アカイ
「いや、無いです。
 電波は間違いなく、バルスーズから出ている。」
 
ミナミ
「発信機だけが、あるのかも知れん。
 こちらを、騙すために。」
 
ドノバ
「いいえ、バルスーズ上の生命反応は、探査機がキャッチしています。
 金属、エネルギー、通信波、どこをどう見ても一定数の知的生命体が、バルスーズ上に存在してるのは間違いないです。」
 
ミナミ
「あんたら、なんでそんなに星人をかばうんだ!
 バルスーズをほっておけば、地球は破滅なんだぞ!」
 
アカイ
「俺は観測結果の、事実を言ってるだけだ。
 別に誰も、かばってなど無い。
 どうするかは、上が決める事だ。」
 
ユルガ
「みんな、少し落ち着け。
 今回の件は、確かに我々だけで、判断出来る事じゃない。
 
 ミナミ隊長が言うように、地球の存亡がかかっている。」

 


 
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【UST作戦室】
 
ヒデコ
「長官… どうしたら?」
 
マキノハラ
「悩ましい事になってしまったね…」
 
フジハラ
「とにかく改めて、パリにも聞いてみますよ。」
 
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【ムーンベース・作戦室】
 
様々な意見や憶測が飛びましたが、バルスーズ計画の最高責任者になっていた長官は、
地球上からムーンベースへ決定事項を伝え、現場総責任者のユルガ隊長が読み上げます。
 
ユルガ
「ムーンベースは、輸送艦ミサイル計画を続行。
 
 いつでも発射可能な状態にしておき、発射~着弾で影響の出ない限界、プラス30分の1時間前まで待機。
 
 予定時刻までに連絡が無い場合は、速やかにミサイルを発射。
 バルスーズを破壊されたし。
 
 それまでにバルスーズからの連絡、もしくは軌道変更等状況変化あった場合は、直ちにこちらに連絡、再度指示を仰ぐ事。」
 
ナワテ
「了解しました!
 
 隊長さんも、わかりましたね?
 勝手な抜け駆けは、困りますよ。」
 
ミナミ
「なんで、あんたらに、
 そんな事、言われなきゃいけないんだ!」
 
ユルガ
「よさんか、2人とも。」
 
ユリコ
「とにかく、ベルベラ星人から連絡が入ればその時点でもう一度、指示を仰げるわけですよね。」
 
クロス
「そうですね。
 
 連絡が来てくれると、良いんだが…」
 

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