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2021/07/30

"Café de Ciel bleu" 四杯目 『ブルージーンズとカフェの休日』後編



海を望む丘にある小さなカフェ"Ciel bleu "。そこで織りなされる小さな物語と小さなミステリー。
前回までのあらすじ→前編をお読みください。

☆☆☆

「わかったわ!彼女の言葉の意味がわかったよ」

 彼女はおそらく知っていた。自分たちが雨宿りしている木陰が危険であることを。

「あの木はね。キョウチクトウというのよ。夏の今の時期に咲くの」
「キョウチクトウ?へえ。知らなかったな」
「花の色は赤やピンクや白。わたしは白いキョウチクトウが好き。このカフェにあるキョウチクトウも白だね」
「綺麗ですよね」

 確かに綺麗なんだけど、でもと言葉を継ぐ。

「毒があるのよ」
「えっ!毒?」
「花を鑑賞するだけなら問題ないわ。丈夫な木だからあちこちに植えられているしね」
「ですよね。街中で普通に見かけます」
「彼女はキョウチクトウに毒があるのを知っていたと思う。誠也くんはその日は雨が降っていたと言った」
「そうです。だから雨宿りを・・・」
「それでキョウチクトウの枝を伝ってきた雫がもしも目に入ったり口に入ったりしたら?」
「ああ!それは、毒の木だからやばいっすね」

 実際の危険性はわからないけれど、わたしが彼女の立場だったら、同じことを言うかもしれない。それにロマンチックな瞬間はもっとふさわしい場所で迎えたいもの。

「俺、あの木がキョウチクトウという名前で毒があるなんて知らなかったんですよ。彼女も言ってくれたらよかったのに」
「彼女は誠也くんが知っていると思っていたんじゃない。だからデリカシーがないって怒った」
「はあ」
「彼女に今度会ったら謝ればいいよ。ごめん、知らなかったんだって」

 謎は解けた。夏の恋の行方は彼ら自身に任せよう。

 わたしの方は、お店のキョウチクトウをどうするか決めかねていた。敷地の隅っこにあって白い花が咲いている。

 そこはお客様の動線から外れており、カフェの出入り口からも離れているからオッケーとするか、飲食店にふさわしくないという理由で、この際、思い切って伐採してしまうか。どうしようかな。

 このキョウチクトウは先代のオーナーである杏子叔母さんが植えたものだ。叔母さんはきっとキョウチクトウの毒性について知らなかったに違いない。

 いずれにしてもわたしが勝手に切ってしまうのは忍びない。それに、可能ならば残しておきたい。だから叔母さんに相談してから決めることする。

 さて、休憩時間も終わりだ。蝉の声と潮の匂い。わたしとブルージーンズの彼は、麦わら帽子を被り直す。そして涼しい風が吹き抜ける木陰から、眩しいほどの日差しの中へ。



〜Fin〜

☆他サイトと同時掲載です。
© 2021 ciel-bleu


2021/07/28

"Café de Ciel bleu" 三杯目 『ブルージーンズとカフェの休日』前編


 海を望む丘にある小さなカフェ"Ciel bleu "。そこで織りなされる小さな物語と小さなミステリー。


⭐︎⭐︎⭐︎

「ふう。暑い」

 額に流れる汗をタオルで拭って木陰でひと休み。海からの風が涼しい。

 カフェの定休日に合わせ、今日は朝の早い時間から、潮風で傷んだテラス席の塗装やら壁の簡単な補修作業を行っていた。正午にはまだだいぶ時間があるというのに真夏の太陽はすでに空高く登っている。

「誠也(せいや)くん。ちょっと休憩しよう。アイスコーヒーがあるよ」
「おう。いいっすね」

 やって来た真っ白なTシャツの胸も背中も汗で濡れている。色褪せた洗いざらしのブルージーンズ。ところどころが破けて膝が覗いている。そんな格好が絵になっている。

「うまい。このアイスコーヒー美味しいです」
「ありがとう」
「よその喫茶店のアイスコーヒーとはぜんぜん違うけど、何か秘密があるんすか」
「ああ、それはね・・・」

 アイス用にブレンドした豆を挽き、水出しで時間をかけて抽出した。だから苦味の中にほどよいコクと甘さが感じられて美味しい。

「ところで、こんなことまでさせてしまってごめんね」
「別にいいっすよ。俺もこのカフェが好きだから。好きでやってるんで気にしないでください」

 彼はわたしの従姉妹の大学生で、先日から夏休みを利用してカフェの手伝いに来てくれていた。アルバイトと言わない理由は雀の涙ほどの報酬しか払っていないからだ。それなのにお店のヘルプだけでなくこんな肉体労働まで。我ながらちょっと甘え過ぎだと思う。

 もともとこのカフェは彼の母親、わたしの母の姉である杏子伯母さんがやっていたものだ。それが六年ほど前に伯母さんが身体を壊してしまい、それ以来ずっと閉めていたのを、わたしが店の権利を買い取る形で新たにオープンさせた。

 思い入れのあるカフェを引き継いでくれるならと、伯母さんはただ同然の価格で譲ってくれた。しかし小さいながらも水回りや厨房設備、建物の補修のための費用が嵩んだので、わたしが東京でOLとして働きながら貯めたお金の大半はそこに消えてしまい、そんな事情だから懐具合は余裕があるとは決して言えない。だからほとんどボランティア待遇なのによく働いてくれる誠也くんには感謝の気持ちでいっぱいだ。

 彼を見ていると自分がやはり大学生だった頃を思い出す。わたしも学生の頃に喫茶店でアルバイトをした。思いもよらず自分のカフェが持てるとなった時、八年働いた会社を退職したわたしは、カフェ経営のノウハウを学ぶため、その学生アルバイトの頃のツテを頼って、一年間、当時のアルバイト先の喫茶店オーナーのご友人の店で修行させてもらった。今現在でもいろいろなアドバイスをいただいている。

「どうかしました?俺の顔に何か付いてます?」
「えっ?ううん。違うの」

 思い出に浸りながら彼の顔を見つめていたらしい。

「わたしも学生の頃に、誠也くんみたいに喫茶店でアルバイトをしていたんだよ」
「そうなんだ。それでいつか自分もカフェをって?」
「うん。夢だったね。でもそういう夢は若い頃は誰でも抱くと思う」
「誰でも。そうかな」
「誠也くんの夢は?」
「俺っすか。はは、夢か。なんだろう。俺、自分が将来どうしたいのか、何になりたいのか、いまいちビジョンが描けないんですよ」
「でも勉強はできるって聞いてるよ」
「そうそう。勉強は、ね」
「あ、ごめん!そんなつもりじゃ」

 うっかり口を滑らせてしまったことに気がつき、慌てて否定する。彼を馬鹿にする気持ちなどまったくない。

「誠也くん、いくつだっけ」
「二十歳です」
「まだ将来なんて考えなくていいんじゃないかな。わたしが誠也くんぐらいの頃は、きみみたいな優秀な学生じゃなくて成績も平凡だったし、未来へのビジョンなんて、ただ薄らぼんやりしたものしか持っていなかったよ」
「そうは言ってもこうして夢を叶えたじゃないっすか」
「それはまあ、結果的にはね。たまたま運が良かったのよ。きっと」
「運も実力って言いますよ」
「はは。ありがとう」

 風が抜けてゆく。自転車に乗った日焼けした男の子たちが坂道を登ってきて、わあっと歓声を上げて通り過ぎる。キョウチクトウの白い花が風に揺れる。

 やはりこのキョウチクトウは、でもな。わたしの好きな花なのだけど。カフェとしてはどうなのだろう。やはり誰かに指摘される前に・・・。

「ところで、ちょっと相談が、というか聞いてもらいたいことがあって」
「・・・えっ。ごめん聞いていなかった」
「相談したいことがあるんです」

 ちょっと真面目な顔になった誠也くんはなかなかのイケメンだ。きっと女の子にモテるだろう。

「いいよ。わたしでよかったら聞いてあげる」
「実は今、気になってる女の子がいて、夏休みに入る前にデートをしたんです」
「なんと、ジャストタイミングな話題」
「何か言いました?」
「ううん。何でもない。続けて」
「それで、そのデートの最中に自分の気持ちを打ち明けようとしたら、急に怒って帰っちゃったんですよ」
「ふむ。もう少し詳しく教えてくれないと状況がわからないな。その時、彼女はなんて言ってたの?」
「俺が、きみのことが好きなんだ。だからこれからちゃんと付き合わないかって言ったら」
「言ったら?それでそれで?」

 そのシーンを思い浮かべてみる。なんだかわたしまでドキドキする。

「最初は、びっくりした顔をして、でも嬉しそうな顔になって、やったぜと思ったのに、急にハッとしたように俺の胸をドンと突き放して」
「ん?んん?突き放す?どういうこと?」

 ということは、誠也くんは彼女をぎゅっと抱いたのかな。だから馴れ馴れしいと突き放された。

「ほら、壁ドンってあるじゃないですか。あれを壁じゃなくて木に変えた告白バージョンですよ」
「は?いまいちそのシーンが浮かばないわ」
「その日も今日みたいに暑い日で、でも急に曇ってきてちょっと雨がぱらつき始めた。だから木の下で雨宿りしようって俺が言って、いい感じだったから、彼女を木に寄り掛からせるように壁ドンならぬ木の幹ドンで告ったんです」

 おう、なかなかやるじゃない。壁ドン告白なんてしてもらったことがないよ。でも誠也くんは失敗したのか。

「それで彼女は何と言ったの?」
「こんな場所で何を考えているの。危険なんだよ。まったくデリカシーが無い人ってこれだから、って思いっきり怒られちゃいました」
「ふうん」
「他人がその辺を歩いている状況で告ったりしたのは確かにデリカシーが無いって責められるのはわかります。でも危険って何でしょう?」

 わたしもわからない。なぜここで危険という言葉が出てくるのか?彼女が一旦嬉しそうな顔なったのは、誠也くんに気があるからに決まっている。告白されて喜んだのだ。それなのに、急に突き放した。いったいなぜ?

 おそらく彼の言葉ではなく彼の行動に謎を解く手がかりがある。彼の言葉を借りるなら壁ドンならぬ木の幹ドンだ。彼に押された彼女は木に寄りかかる。木。そういえば二人が雨宿りしたのはいったい何の木なのだろうか。彼にそう聞いたところ

「白い花が咲いていました。名前は、俺は植物にうといからわからないな」
「そう」
「でも、あそこに・・・」と、彼が指を差した。

「カフェの横にある、あの木によく似ているな。あれは何という・・・」

 彼の言葉に閃いた。わたしはすくっと立ち上がり誠也くんに宣言する。

「わかったわ。彼女の言葉の意味がわかったよ!」



後編へ続く。


☆他サイトと同時掲載です。
© 2021 ciel-bleu

2021/07/27

"Café de Ciel bleu" 二杯目 『夏とジャガーと夫婦愛』後編

 


海を望む丘にある小さなカフェ"Ciel bleu "。そこで織りなされる小さな物語と小さなミステリー。

前回までのあらすじ→前編をお読みください。

☆☆☆

「わかりました。奥様が口をきかなくなってしまった原因がわかりました!」

 興奮のあまり思わず大きな声を出してしまった。驚いた老紳士はコーヒーをこぼしそうになる。

「すみません。ごめんなさい。お召し物は大丈夫ですか」
「ああ、大丈夫ですよ」ほら、このとおりとわたしに微笑んでみせる。

「良かった。今、コーヒーを新しいものにお取り替えします」
「いや。いい。大丈夫だから。ありがとう。それより早く貴女の答えを聞きたい」

 ヒントはコーヒーに添えたミルクだ。しかしそんなことよりも先に、老紳士の期待に満ちた眼差しに応えるべきだろう。

「昨晩のメニューは何でしたか」
「ああ、そういえばそれはまだお話していなかった。それでも貴女は真相を突き止めたと?」
「ええ。どのようなメニューでも同じ答えに行き着くので」
「ほお。それはまるでベイカー街の住人のセリフのようですね。では、このワトソンに真相を教えてくれたまえ、きみ」

 ベイカー街?ワトソン・・・ああ、わかった。イギリスのコナン・ドイルが産んだ稀代の名探偵のことね。それにしても洒落た言い方をする。思わず笑ってしまった。

「ふふふ。シャーロック・ホームズがお好きなんですね」
「はい。著作は全部読みましたよ。まだ若い頃ですが、ロンドン滞在中にベイカー街へ何度も足を運んだものです。貴女も推理ものがお好きなのかな」

 好きかと聞かれたら、どうなんだろうと思う。小説は読む。でも推理小説が特に好きというものでもない。だから、ええまあと曖昧な返事をした。

「それで、奥様がお作りになったお料理は何でしたか」
「カレーです。欧風の、夏野菜のカレーと言っていたな。ナスとかの今が旬の野菜がたくさん入った」

 そっちかあ。けっこう庶民的なんだ。まるで英国貴族のようなこの方の佇まいからコース料理を連想したのだけど、また予想が外れたよ。でも、まあいい。

「サイドメニューはありましたか」
「ああ、ええ、サラダがあったな。レタスにトマトにマッシュドポテトに・・・」

 とても美味しそうだ。聞いているだけでよだれが出そう。だがしかし、よだれをこぼしている場合ではない。

「テーブルの上にはお料理以外に何がありましたか?」
「えっ?何って言われても」
「調味料の類はいかがですか?」

 そこで老紳士は、はっと虚をつかれた顔になった。

「塩、コショウ、ソース、マヨネーズ、ドレッシング、もしも和食ならば醤油、七味唐辛子、山椒とか、そんなエトセトラです」
「ああ・・・」
「奥様のお料理に手をつける前に、それらの調味料をお使いになっていらっしゃいませんか?」
「うう、うむ。言われてみれば確かに」
「昨夜のカレーには何の調味料をお使いになりました?」
「ええと、ブラックペッパーと塩と、ソースを少々」
「ソースも!?食べる前にですよ?」
「・・・食べる前に」申しわけなさそうな小さな声の老紳士。どうやらご自分で気がついたらしい。

 そんなにてんこ盛りの調味料をぶっかけてしまったら味が変わってしまう。しかもソースまで。

 ソースはトマトをはじめいくつもの野菜類を原料に、そこに塩と酢、香辛料を加えて作る。そのような最強の調味料を、奥様が丹精込めた手料理に、しかも味見する前にかけてしまったら、奥様でなくても怒るだろう。

「前に妻から言われたことがある。そんなにかけたら身体に悪いですよとね」
「やっぱり和食の時は醤油ですか」
「そう。醤油と時は塩も。若い頃から僕ははっきりした味付けが好きでね。妻が作ってくれる料理は美味しいのだが何だか味が薄いと感じてもいたから」

 男性に多いタイプだ。濃い目の味を好む男性は多い。若い頃はそれでもいいかもしれない。しかし加齢と共に健康上のリスクが増え、若い頃のツケが回ってくるようになる。

「お料理は、その料理を食べてくれる人のことを思いながら作るんです。長年一緒に暮らしていらっしゃるご夫婦なら尚さらだと思う。奥様はご主人の健康を考え、塩分調整をして美味しいと言ってもらえるものを作っていた。それなのに・・・」
「それなのに僕は妻のその思いを、たとえ無意識にせよ、いつも踏みにじっていた。そういうことか。なるほど」

 わたしは黙ってうなずいた。冷めてしまったコーヒーを下げ、淹れたばかりの三杯目の夏ブレンドをそこに置く。

「これは?」
「サービスです。ところで大変失礼ですが、お客様は本当にこの夏ブレンドを美味しいと感じますか?」
「ああ、うん」
「はっきりおっしゃっていただいて結構ですから。いかがですか」
「それなら、はっきり言おう。昨日までのプレンドの方が美味しいと感じた」

 やっぽりそうだ。そうだと思っていた。その理由もわかる。

「なんだか薄らぼけた味だ、そう思われたのでは?」
「何もそこまで酷い言い方をしなくても」苦笑いを浮かべ、老紳士は、まあ当たっていると認めた。

「では、今度はミルクを入れないで召し上がってみてください」
「うん?ミルクを?」
「そうです。ブラックで一口。騙されたと思って」

 その言い方がおかしかったらしい。老紳士は笑いながらカップを持ち上げ、夏ブレンドを口に含んだ。ワインテイストをするように口の中で転がす。
 
「いかがでしょう」
「甘い。甘みがあって軽いのだが奥が深い。繊細でもある」
「昨日までのブレンドはマンデリン主体のどっしりした味わいなんです。だからミルクにも合うし味の個性がミルクと重複しない」

 ミルクを入れるとコーヒーの味が甘くまろやかになる。だからどっしりした味の豆には合う。しかし。

「今日からお出しするプレンドは、夏ですから爽やかに軽く甘みのある豆をセレクトしました。だからミルクを入れると味がボケてしまうのです」
「僕はコーヒーを飲む際にはいつもミルクを入れている。それはただの習慣で・・・ああ!そうか!貴女は僕のその習慣から妻が機嫌を損ねた原因に思い至った。そうなんだね!」
「ええ。そうです」
「素晴らしい。なるほど。やはり貴女は名探偵ですよ」

 褒められても手放しで喜べない。反省すべき点もある。

「わたしからお客様へ、夏ブレンドはミルクは合わないと申し上げるべきでした」
「うむ。しかし」
「しかしそんな差し出がましいことを言うのもどうかと。それに」
「それに?」
「お客様は当店の常連様です。ですからどこかで甘えていたのかもしれません」

 いらっしゃるお客様の嗜好はさまざま。わたしはプロなのだからその嗜好を考えるべきだった。老紳士にそう言ったところ「僕はそうは思わないな」と微笑んだ。

「客の嗜好に寄り添うことも、無論、大切だと思う。しかし店の味、個性、そこでしか味わえないもの。それが一番大切なのではないかな」
「・・・ええ。そうですね」
「僕は貴女が淹れてくれるコーヒーが美味しいからこうして通っている。とはいえ、出されたコーヒーすべてに味見もせずにミルクを入れてしまう習慣は改めるべきであると、貴女から教えてもらった。この歳で目から鱗が落ちた気分ですよ。ありがとう」
「そんな・・・恐縮です。わたしこそありがとうございます」

 立ち上がった老紳士が優雅にお辞儀をした。わたしも慌てて頭を下げる。

「さて、さっそく妻に謝らねば。また来ます。今日のお礼はその時に」
「えっ!お礼なんていりません」
「いやいや。それでは僕の気がすまない」
「いえいえ。本当にいりません。こうしてここでコーヒーを楽しんでいただけるだけで十分です」

 老紳士はそうですかと残念そうな表情になった。

 緑色のジャガーが夏の眩しい陽光が降り注ぐ坂道を下ってゆくのを、お店の窓越しに見送る。きっと奥様は機嫌を直すはずだ。良かった良かった。

 カップを片付けていたら、カランという音。今日、二人目のお客様だ。

「いらっしゃいませ!」


〜Fin〜

☆他サイトと同時掲載です。
© 2021 ciel-bleu



"Café de Ciel bleu" 四杯目 『ブルージーンズとカフェの休日』後編

海を望む丘にある小さなカフェ"Ciel bleu "。そこで織りなされる小さな物語と小さなミステリー。 前回までのあらすじ→ 前編 をお読みください。 ☆☆☆ 「わかったわ!彼女の言葉の意味がわかったよ」  彼女はおそらく知っていた。自分たちが雨宿りしている木...