「老人と海」挫けそうなときに効く名言に学ぶ英語フレーズ

ドラマ

仕事でおおきな実績を残したひとほど、衰えてきたときはひどく落ち込むと聞いたことがあります。

若さはいつの日か消えるもの。しかし、大事なのは心に若さを持つこと!

世界的なベストセラーになり40ヵ国以上で翻訳された『老人と海』。アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイによる短編小説であり、1952年に出版された本作は1954年にはノーベル文学賞を受賞。

1958年に公開された映画『老人と海』は、サンチャゴ老人が自然とたたかう人間の我慢強さを学ぶことができます。

本記事では、アーネスト・ヘミングウェイの文学作品『老人と海』にふれつつ、映画のセリフや名言から英語フレーズを紹介します。

Production Companies
Leland Hayward Productions
Warner Bros. 出典:IMDb

老人と海 あらすじ

サンチャゴの船にはマノーリンという少年が同乗し、老人とともに漁をしていました。しかし、マノーリンの両親は、サンチャゴはもう終わった人間だと見かぎり少年に別の船に行くように命じます。

別の船でマノーリンは腕を上げていきます。一方で、漁について様々なことを教えてくれたサンチャゴを慕い、食事の差し入れなどをしてサンチャゴを気づかうのでした。

かつて漁の名手としてキューバでは名の知れた漁夫サンチャゴ。しかし、ときの流れとともに腕もおとろえ、運も尽きたのか不漁な日が続くばかり……。

84日間も不漁がつづいていたこともあり、漁師仲間たちからはサンチャゴはもう運に見放された男だとバカにされています。

当のサンチャゴは、年齢や勘のにぶりを感じつつも、ひとり小舟に乗り出漁します。残り少ない餌で漁をしていると、とてつもなく大きなチャンスが巡ってきます。

巨大なカジキマグロがかかったのです!

じぶんの船よりも大きな獲物に歓喜するサンチャゴですが、簡単に仕留めるにはあまりに巨大で手ごわい。

4日にわたる死闘でついに獲物をしとめたものの、巨大なカジキマグロは船に乗せられない。船にくくりつけて運んだせいで、血の匂いを嗅ぎつけたサメが寄ってきます。

哀れにも、港につくころにはカジキは頭と骨だけになってしまいました。

かつての勇姿をとり戻せたかに思えたサンチャゴでしたが、自然はあまりに強力で厳粛だったと思い知らされます。

失ったものは大きかったけれど、サンチャゴには満足できた出来事でした。サンチャゴを慕うマノーリンにも「人間あきらめずに行動を起こすことが成長につながる」ことを伝えられたのです。

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老人と海 名言に学ぶ英語フレーズ

The Old Man and the Sea (1958)
Spencer Tracy and Felipe Pazos in The Old Man and the Sea (1958)

人生はどちらかというと大変なことの方が多いのかもしれません。

他人から「困難にめげず進め!」と言われたところで、実行するのは簡単ではないですよね。仲間に見放されても、ひとり漁に向かうサンチャゴは困難と向き合う姿が描かれています。

Everyday Is A New Day

ときの運というのは、いつなんどき変わるかもしれないものです。サンチャゴのセリフは、心が折れそうなときに自分への励ましの言葉として覚えておきたい英語フレーズです。

Only I have no luck any more. But who knows? Maybe today. Everyday is a new day. It is better to be lucky. But I would rather be exact. Then when luck comes you are ready.

ただ、どうやらおれは運に見放されたらしい。いや、そんなことわかるものか。きっと今日こそは。とにかく、毎日が新しい日なんだ。運がつくことに越したことはない。でも、おれは何より手堅くいきたいんだ。それで、運が向いてくれば、用意はできるっていうものさ。

引用:IMDb

Everything About Him Was Old Except His Eyes

The Old Man and the Sea (1958)
Spencer Tracy in The Old Man and the Sea (1958)

粘り強く向きあったことで巨大な獲物が喰いついたとき、サンチャゴの心に眠っていたチカラが呼び覚まされるのでした。

希望をとり戻したときの気持ちと言うのは、共感できる人が多いハズです。ナレーションで聞けるイキイキとした様子を見てみましょう。

Everything about him was old except his eyes, and they were the same color as the sea and were cheerful and undefeated.

サンチャゴはどこから見ても老人しか見えませんでした。しかし、彼の眼だけはちがっていました。それは海のごとく青く、勢いがあり何ごとにも動じないものだったのです。

引用:IMDb

Think Of What You Can Do

The Old Man and the Sea (1958)
Spencer Tracy in The Old Man and the Sea (1958)

巨大なカジキを捕らえたが、老人がひとりきりでは勝ち目はないと思われました。しかし、サンチャゴは何としても獲物をつかまえるという気持ちをふるい立たせます。

Now is no time to think of what you do not have. Think of what you can do with that there is.

今はないものについて考えるときではない。今あるもので、何ができるかを考えるときである。

引用:IMDb

Not Made For Defeat

The Old Man and the Sea (1958)
Spencer Tracy in The Old Man and the Sea (1958)

カジキも力をふり絞って逃げようとします。しかし、サンチャゴは素手に傷をおいながらも、絶対にあきらめないという強い気持ちで一杯でした。

But man is not made for defeat, he said. A man can be destroyed but not defeated.

人間は、負けるように造られてはいないんだ。殺されることはあっても、負けることはないんだ。

引用:IMDb
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老人と海 みどころ

The Old Man and the Sea (1958)
Spencer Tracy in The Old Man and the Sea (1958)

登場人物は、人間だけでなく自然界の生きものがあわさってストーリーが進んでいきます。

あらゆる出会いに対して人間言葉で話しかけているサンチャゴが孤独とどう向き合っているのかが興味深い作品です。

サンチャゴは、カジキにも敬意をはらい相手を弱らせるまでの間ずっとカジキに話しかけています。

また、カジキと戦うときに神に対して祈りをささげ、仕留めたときはサンチャゴは神に懺悔ざんげをしてからカジキを船にくくりつけるのでした。

スポーツマン精神に則ってではありませんが、漁でカジキをつかまえた場面は神聖なもののように描かれていますね。

じっさい、『老人と海』について記事をいくつか読んでいくと物語はキリスト教のモチーフがつかわれているという解釈もありました。

サンチャゴの回想シーンでは、若いころ腕っぷしのつよい黒人との腕相撲に勝ったときのことやアフリカでみたライオンが出てきます。これはサンチャゴ老人が自分のチカラをふり絞るためのモチベーションだったはずです。

ライオンのシーンは最後にサンチャゴ老人の夢にふたたび出てきます。もう戻ることのない力強かった時・・・なんとも切ない気持ちにさせられます。

読むほどに新しい学びが見つかる!

まとめ

『老人と海』 映画のセリフや名言に学ぶ英語フレーズを紹介しました。

余談になりますが、バブル全盛だった1980年代に株の取引でおおきく稼ぎ「兜町の風雲児」といわれた人物の訃報をニュースがやっていました。

亡くなった方は、生活保護なしでは暮らせないほど落ちぶれても、最後まで逆転劇を目論んでいたそうです。

『老人と海』も、漁師としての名誉をとりもどそうとサンチャゴ老人がカジキと格闘する様が描かれています。格闘のすえ捕まえたカジキは港にもどる前にサメにほとんど喰われ逆転劇は叶いませんでした。

『老人と海』も「兜町の風雲児」も人生の残酷さを象徴しているかのように見えます。

しかし、サンチャゴ老人はすべてを失ったように見えて、彼を慕っていた少年マノーリンに「希望」という価値を残したに違いありません。