神経伝達物質の大暴走

副腎疲労との戦いの中で、一番難しかったことの1つは、完全にバランスを崩した神経伝達物質に対処することでした。

神経伝達物質が完全に変容してしまいました。その状況をどう説明すればいいのか・・・とにかく、自分の体のなにもかもがハチャメチャに狂っているように感じるとしか言いようがありません。平衡感覚がなくなったようでした。

当たり前に動き、無意識に作用するべきことが、すべて「異常」になってしまいます。「正常」という状態からどんどんかけ離れていきました。こんなに不安なことは今までありませんでした。そんな月日を過ごしているうちに、僕は「普通」がなんだったのか、忘れてしまいました。

常にストレスにさらされていると、正常な神経伝達物質の働きが変化してしまうということを、ドクターから学びました。

副腎疲労の初期(ステージ1、2)では、エピネフリンとノルエピネフリンが上昇し、セロトニンが弱まります。それを補うためにGABAが増加する傾向になります。

副腎疲労が進行すると、コルチゾールが低下し始めます。甲状腺も影響を受け、T4とT3が減少、それに伴ってTSHが上昇します。DHEAが増加し、体はより多くのコルチゾールを生成するためにオーバードライブ状態になり、交感神経系が活性化、ドーパミンとノルエピネフリンは上昇し続けるため、セロトニンがさらに減少します。

さらに副腎疲労が進行すると(ステージ3以上)、コルチゾールとセロトニンと共に、今度はDHEAが減少し始めます。エピネフリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、GABAは高レベルを保とうとするか、あるいはレベルが不安定になることがあります。自律神経系の調節がうまくいかず、アドレナリンが放出され、「疲れやすい」感覚になります。

「正常」「普通」の状態を取り戻しつつある今、これまでの副腎疲労との闘いの旅を振り返ってみると、神経伝達物質の変化と結びつく現象をはっきりと覚えています。

例えば、僕は楽天的でいつもハッピーな性格だったのが、ちょっとしたことでイライラするようになって、しょっちゅう怒っているようになりました。

また、何かを計画したり決めたりする気力が沸かず、無気力になることも多くありました。

もちろん、睡眠にも影響が出て、毎晩のように夜中の2時から4時まで目が覚めてしまいます。

副腎疲労が起きていることに気づかず、ステージ3まで来てしまった頃、今度は「自分は無敵」という感覚に陥ったのです。常にランナーズハイのような。40代後半にして、20代の頃よりもハードに働き、無茶ができた・・・。今までの人生で最高の気分でした。嘘のようなおかしな話に聞こえるでしょうが、これ本当なんです。ドーパミンやらエピネフリンやら、とにかく出まくっていて、どんなことでもできる、どんどん仕事とってこーい!という感じになっていました。

でもそんなことがいつまでも続くわけはありませんでした。最後のほうになると、疲労感に襲われ、なかなか疲れがとれなくなりました。しかし疲れているのに眠れない、目がギラギラにさえてしまう。この感覚は、とにかくひどかったし、拷問のようでした。72時間、1時間おきに濃いエスプレッソを飲んでいるようなもので、まったく眠ることが許されない。これ、想像できますか?

そして、完全シャットダウンとなったわけです。

結局のところ、そうなるように設計されていた通りになった、というわけです。自分をプッシュし、プッシュし続け、体が発していたサインも見逃してさらにプッシュしまくった結果、体は起きるべき反応を起こした、という話です。

副腎疲労症候群ステージ3の穴に落ちてしまった僕は、そこから何年もかけて這い上がらなくてはならなくなったのです。

皆さんはどうですか?

あなたの神経伝達物質が今どうなっているか、わかりますか?