性暴力における<征服>と<破壊>
「性暴力」や「男女間の暴力」には<征服>や<支配>のほか<破壊>といったテーマがあり、次のようなパターンがあると思います。
①<侵害>程度で終わるケース
②加害者が被害者を<征服>して去っていくケース
③加害者が被害者を<征服>しようとして付きまとうケース
④加害者が被害者を<征服>し、その後も<支配>し続けるケース(これは、下の⑥への可能性あり)
⑤加害者が被害者を<征服>したり<支配>したりすることができずに、腹いせに<破壊>するケース
⑥加害者が被害者を<征服>したうえで<破壊>するケース
何らかの仕方で、⑥のパターンに当てはまる被害を受けている方は、かなりのトラウマを抱えていらして当然だと思います。
性的な<侵害>や<征服>を受けたうえに、破壊的な攻撃まで受けると、自分が人間でなくなったような気がするものです。
悪質な加害者は女性を性的に侵害し、征服したうえで、女性からの抵抗や拒絶が面白くないという理由で、最後は被害者を破壊しようとします。
あるいは抵抗されたり拒絶されたりする可能性がないように、最初から被害者を破壊するつもりで犯行に及びます。
その最も顕著な例が、強姦殺人です。
セクハラも、酷いケースになると加害者は強姦までしてしまうし、被害者に抵抗されると、しまいに被害者を悪者に仕立て上げようとする人たちがいます。
これも<征服>と<破壊>です。
「征服できないなら、破壊しよう」というのが、多くの凶悪ストーカーですが、ストーカーの場合も、相手を征服した上で、被害者が自分に抵抗したり、自分を嫌ったりするのが許せなくて、破壊に及ぶケースがあります。
異常者においては、<征服>の目的も、<破壊>の目的も、万能感を得ることです。
<征服>によって万能感が得られることは分かりやすいと思いますが、何らかの仕方で万能感が損なわれた異常者は、<破壊>によって万能感を回復させます。
破壊的な行為によって相手を打ち負かしたり、支配したり、思い通りにしたりすることができるからです。
変質的になればなるほど、自尊心が傷つけられる余地がないように、最初から<破壊>まで目論みます。
そうした加害者は不意打ちを狙い、被害者を一気に<征服>し、<破壊>します。
変質者にあるのは、性欲だけではなく、相手からの拒絶を恐れて避けようとする心理です。
拒絶を避けようとする心理が卑怯な遣り口を捻り出し、<征服欲>が強引で脅迫的な態度をもたらします。