歪んだ心理空間における精神的被害

モラハラ、DV、ストーカー、セクハラ、性犯罪等における加害者心理と被害者心理

モラハラ・DVにおける不毛な口論の根本原因&被害者が受ける影響

 

モラハラやDVの加害者が行う口論は、問題を解決させるためのものではなく、自分が相手を打ち負かすためだけのものなので、被害者にとって全く不毛なものになりがちです。

 

自分の劣悪性から目を逸らす自己愛性パーソナリティ障害

 

特に自己愛性パーソナリティ障害のあるモラハラ・DV加害者の場合は、自分の権利意識が巨大で、それが少しでも損なわれることによる被害者意識も強く、自己中心的で理不尽な要求を通すために「相手が悪い」という話に捻じ曲げて、相手を非難して相手を操作しようとします。

 

そして彼らは、ちょっとでも自分の劣悪性を自覚すると落ち込んでしまうので、何が何でもそれを避けようとします。

これが元凶です。

そのため、上手くいかない事や思い通りにならない事の一切を他人に責任転嫁して、その相手を攻撃して、自分の無能さや失敗や害悪を、相手の無能さや失敗や害悪だという話にしようとします。

 

被害者は理不尽な事で非難されている状態を解決させるために加害者と話し合おうとするでしょう。

しかし、加害者の目的は相手を打ち負かして、相手に責任を負わせ、自分は優越感をもてる状態を維持することなので、話していて自分の分が悪くなるとすぐに論点を変えて、次々と別の攻撃を始めたりします。

 

そして、被害者が不当な言いがかりから自分の身を守ろうとして事実を指摘しようとすると、加害者は自分に不都合な事実から目を逸らしたいあまり激昂し、攻撃をエスカレートさせます。

あるいは、被害者や第三者が加害者の言い分を認めたら認めたで、加害者は「やはり自分は正しく、相手が悪い」という確信を深め、すっかり勝ち誇って増長し、身勝手な要求を拡大させます。

 

 

被害者における混乱

 

また、彼らは自分がしている悪い事を、「相手が自分に対してしている」と確信し、声高に主張したりする(「投影」)ので、そうした事についての知識のない被害者はすっかり混乱して、頭が変になっていきます。

 

こうした加害者は認識の歪みが酷く、実際の事実と自分の思い込みとがしばしば正反対になるほどです。

彼らは「自分には非がない」と確信するあまり、その時々の自分の都合に合わせて、記憶までもが変わっていきます。

「言った」とか「言わない」とか、「誰がした」とか「しなかった」とかいう口論になりがちです。

相手の確信があまりに深いので、非難されている被害者の方が自信がなくなっていきます。

 

基本的に、被害者は不当な攻撃から身を守るために抵抗しているだけなのですが、傍からはちょうど「喧嘩」をしているように見えます。

被害者自身も口答えをするので、自分がしているのは「喧嘩」だと思うかもしれませんが、被害者はいつもあらぬ言いがかりをつけられて、口論せざるを得なくなっているだけです。

被害者は加害者と喧嘩をしたいどころか、むしろそれを避けるために四苦八苦するようになります。

 

 

被害者は加害者を恐れて暮らすようになる

 

こうしたモラハラやDVの場合、被害者は何をやっても、やらなくても、何を言っても、言わなくても、ありとあらゆる事を攻撃材料にされるので、常に加害者を恐れながら暮らすようになり、いつ何をするのでも、「加害者を怒らせないように」という考えに支配されるようになります(いわゆる「心理操作」)。

けれども加害者が設ける規則は膨大で、しかもその時々の自分の都合によって朝令暮改になってしまうので、被害者が加害者を怒らせないようにすることは、現実的に不可能です。

 

 

加害者は何が問題かハッキリ言わないまま、被害者を恨む

 

こうした加害者たちは、何でも自分の思いどおりにならないと、相手のせいで自分が不快な思いをさせられていると思って、相手に対する憎悪や怨恨を募らせていきます。

彼らは相手に思い知らせようとして、執拗に意地悪をしたり、非難がましい態度を取り続けたりしますが、何が問題点であるかは、たとえ相手から尋ねられても、決して明確に言わない、という変な特徴もあります。

問題点が明確になると、相手から反論される余地が出てきてしまい、相手を負かして苦しめている状態を保持できなくなるからです。

あるいは、相手がいかにダメな人間であるかを証明して見せようとして、意地悪で言わないこともあるし、はっきり口に出すと、自分の方の劣悪性が顕わになって、それに直面する恐れがあって言えなかったりします。

しかし、はっきり言わなければ、相手が自分の思いどおりに行動しないのを我慢し続ける破目にもなり、それがまた「自分はさんざん我慢させられてきた」という恨みになり、数年、数十年とかけて、その恨みや憎しみが雪だるま式に増幅していきます。

 

こうして被害者はこき使われてきたあげく、「無能で、何の価値もない人間」として罵られるだけでなく、深い憎悪の対象にされます。

被害者は、自分のどこが悪くてそこまで憎まれているのか分からないなりに、常に自分の欠点を探して劣等感をもって生きるようになります(「心理操作」)。