29.ボクの××は聖水だよ~それは不毛な名言3

【HJMG!不毛さん88】
29.ボクの××は聖水だよ~それは不毛な名言3
      【はじめましての方はこちらへどうぞ】
      【前回のお話はコチラ



「へぇ、大変やな。花粉症?」

「それもあるけど、アレルギー体質でハウスダストとかに弱いんだ。このアパート、埃っぽいし~? いっそ……ゴ、ゴメン」

 話の途中でオキナはさっきたたんだティシュを手にした。おもむろに広げて「ブヒッ!」とかむ。そしてもう半分にたたんでテーブルに置いた。

「ちょっと、何してんの? 汚いなぁ。捨てぇな、ソレ」

「何で? ボクの鼻水はキレイだよ?」

「な、何を根拠に……!」久々にアタシは絶句した。「アカン! 虫わくで。捨て!」

 むーし・むーしっ!

 突然、背後からムカツクくらいのスローペースの拍手が。手拍子に合わせてムシムシ言っているのはお姉だった。いつのまにか玄関に立っている。

「虫なんか湧かせたら、出て行ってもらうわよ」

「ゴキブリ大量発生させた張本人は黙っててよ!」

 オキナの痛い反撃に対してシラを切ってるつもりか、お姉はそっぽを向いた。変な音楽を口ずさんでいる。

「ダストダスト~♪ うちのアパートには~ハウスダストはいません~♪」

 ……そこは認めようや、お姉。


 オキナは鼻をかんではティシュをたたみ、それを広げてはまた鼻をかんでいる。そういや中1の時の生物の先生も同じことして嫌われてたっけなぁ。

「何だよ、その目? ボクの鼻水はキレイだって言ってるじゃん」

「………………」

「ボクの鼻水は聖水だよ」またヘンなこと言い出した、コイツ。「ボクの鼻水が石油並みの貴重な液体だったら、ボク大金持ちだよ。一代で財を築けるよ。石油王ならぬ鼻水王……ボクの場合、優雅な雰囲気だから鼻水王子かな」

「はなみずおうじ?」

 アカン。コイツも妄想スイッチONや。何が鼻水王子やねん。そんな人、誰がもてはやすか!

「そしたらボク、かぐやちゃん連れてこんなアパート出て行ってやるんだ。大きな豪邸に住まわせてあげるよ。ツライけど鼻炎薬も飲まずにがんばる! そして、かぐやちゃんにもっとちゃんとした服を買ってあげるよ」

 ああ、コイツもさすがにあのKILLTシャツには疑問を抱いてたんやな。その点に関しては、ちょっとホッとした。

「服より先に靴買ったげて。あの人、いつもハダシやもん」

「そうだよね。オシャレな軍用ブーツ買ってあげるよ」

「あー、ハイハイ。それがええわ」

 そこへお姉が割って入ってくる。

「ダメよ! かぐや様は置いていってもらうわ!」


 こうして再び不毛すぎる争いが勃発した。

つづく

    このエントリーをはてなブックマークに追加 

  「HJMG!不毛さん」とは…こんなお話はコチラ

   HJMG!不毛さん サイトマップはコチラ


   HJMG!不毛さん第1話はコチラ 


良かったらマンガもみてね。こっちもアホだよ。
          ↓ ↓ ↓
【はじめましての方はこちらへどうぞ】