ナンバーの紙面には未掲載だった反田さんの記事がweb版で公開されています。
その中でショパンのバラード第1番についてこのようにお話しをされていました。少し気になった箇所があったので一部抜粋します。
「僕も作品の背景を調べた上で演奏していますが、『バラード第1番』は、ドラマティックで、激動のドラマが繰り返される作品。途中、短調から長調に変わるところでは、祖国ポーランドを大切にしていたショパンの自分の生い立ちや未来を描いている。さらに中間部分の美しいメロディでは、長調のところでポーランドに抱いている幻想やファンタジーを表現し、それが現実だったという気づきもある。最後の熱烈的なコーダでは、あれはもはや夢だったのかもしれない、幻想だったのかもしれないというところで曲が終わるんです。そういったストーリーはピアニスト視点としては壊されたくない世界観なんですが、羽生選手の演技を見ていると、そういったものをしっかりと理解していることが伝わってくる。編集も相当考えられているなと感じますね」
音楽の背景までもを調べて演じる。
web版にはなかったのですが
紙面版では触れていた
「ある人の死」
というその言葉がとても気になったので、ショパンのバラード第1番について、今更ですが少し調べてみました。
バラード第1番は1831年〜1835年に作曲。
ショパンの愛する祖国ポーランドは、長い間、隣国との争いが続いていました。そのためショパンは活躍の場を求めてウィーンそしてパリへ移り住みます。
1831年にバラード第一番を作曲するきっかけには「ある人の死が背景にある」ということを反田さんがナンバー紙面で語っていらっしゃいました。このある人とは、このジョセフ・ソヴィンスキ大将のことではないかと思われます。
ポーランドの英雄ソヴィンスキ大将ソース
1830年。ポーランドでロシアに対する11月蜂起が勃発、ソヴィンスキはワルシャワ守備隊の砲兵司令官に就任。1831年9月6日のロシア軍によるワルシャワ攻撃でソヴィンスキは自ら指揮をとり、現在のポーランド首都ウォラ地区の西側アプローチを勇敢に守る(兵力は1300人、ロシア軍11大隊に対抗)。そして降伏交渉の直後に、ロシア軍によって銃剣で刺殺。
ショパンは祖国ポーランドの英雄の死を悼み、そして、戦争で傷つく祖国への思い、言葉にできないほどのさまざまな感情をこめて作られた曲がバラード第一番だったのではないかと想像します。
またショパンは生涯を通じて肺結核に悩まされた病弱の芸術家としても知られています。亡くなった時は 39歳でした。
ショパンが亡くなった直後の写真 ソース
この写真は2011年3月10日(木)に公開されました。※日本時間では2011年3月11日
Wladyslaw Zuchowski(ウラジスラフ・ズホフスキ)氏提供の写真。19世紀の作曲家Frederic Chopinが1849年に亡くなった直後のものとされています。ショパンの専門家は、ポーランドで発見された写真が本当に19世紀の作曲家のものであるかどうかを検証中。
ショパンはポーランドを心から愛しており、自分の死後は心臓を取り出してポーランドに埋めて欲しいと遺書のこしていました。そして、死後それは実現されました。ワルシャワのクラコフスキ区の聖十字架教会に、レオナルド・マルコーニ作のエピタフの下の柱にショパンの心臓はアルコールに浸けられて収められています。
田之頭一知(大阪芸大)さんの論文ソース
4曲あるバラードには共通する特徴があるといいます。
6拍子という複合拍子
この6拍子は詩を物語るときの韻律のいわば祖形となっていて、詩は歌はないのにも関わらずピアノでしか歌えない歌として構想したのではないかと考察されています。そして終わりを激しく意識している、そんな曲であると。
『詩』がついていないのにも関わらず、『詩』を物語っている曲。見えないものを表現している曲。
羽生選手の演技を見ると、ショパンの思いを背景にしつつも、その中から自分自身の感情も投影し、フィギュアスケートでバラード第1番を表現しているように感じます。たいへんに奥が深いなと感じました。
また反田さんは、記事内で羽生選手に滑ってもらいた曲とし「個人的にはモデスト・ムソルグスキーの『展覧会の絵』とかも見てみたい。」と話していらっしゃいました。
こちらがその展覧会の絵です。
有名な曲ですよね。ちょっと意外な感じもしました(╹◡╹)。またいつか、共演もしくは対談などをしていただく機会があればいいのになと思います✨
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