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アメリカの失業者はまだ本格的には増えていない

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先日、「アメリカは4-6月期の間に経済活動の縮小が始まり、2023年半ばに景気後退に入る」というカンファレンスボードの予想を紹介しました。

>>カンファレンスボード「4-6月期からアメリカで経済活動の縮小が始まる」

ただ、私はアメリカの景気後退にはしばらく時間がかかる気がしています。昨晩発表された最新の新規失業保険申請件数の数を見ていても、景気後退の足音はかすかに聞こえていてもまだまだ遠い印象です。

この記事のポイント

  • カンファレンスボードは4-6月期にアメリカの経済活動が縮小を初めて、2023年半ばに景気後退になると予想している。
  • 景気後退がやってくる時には失業者が増えるものだが、現時点では失業者の増加は過去の景気後退に比べるとかなり緩やか。
  • 失業の増え方を見てると、景気後退の時期は2023年半ばよりも02023年後半や年末にずれ込む気がする。

カンファレンスボードの予想

数日前に書いたカンファレンスボードの予想について、内容をおさらいしておきたいと思います。

カンファレンスボードは株価、国債価格、建築許可件数、製造業の新規受注、1週間の平均労働時間などの景気の先行きを示す様々なデータをもとに、アメリカの今度の景気の強さを景気先行指数として発表してます。

景気先行指数は既に13ヶ月連続でマイナスになっている状況で、カンファレンスボードは次のような発言をしています。

これは重要なことなのだが、アメリカの景気先行指数は引き続き今年の景気後退を警告し続けている。カンファレンスボードは第二四半期(4-6月)から経済活動の縮小が始まり、2023年半ばには緩やかな景気後退に陥ると予想している。

この発言が正しいなら、6月が近づいている今の段階でそろそろ経済活動の縮小が見られ始めても良い頃になります。

新規失業保険の申請件数はまだ増えていない

しかし、景気を一番左右する雇用の様子を見ていると、アメリカの経済活動の縮小が近いようにはまだ思えません。

昨晩は5月20日までの1週間の新規失業保険の申請件数が発表されましたが、5月に入ってからというもの失業保険が必要になった人たちはそれほど増えていないことがわかっています。

  • 予想:24.7万件
  • 結果:22.9万件
  • 前回:24.2万件から22.5万件へ下方修正

このデータはバラつきも大きいので4週間平均のデータで見ることが多いのですが、2022年9月からは失業者は増加傾向になっているものの、4月と5月は小幅に減少している感じです。

過去のデータ(下に詳細記事)では、新規失業保険申請件数が1週間で35万件を超えると景気後退に入っていることを考えると、景気後退が迫っている感じはまるでありません。

>>【詳細】アメリカのリセッション突入の判断基準

カンファレンスボードの景気先行指数は、過去にかなり高確率で景気後退の到来を予測できているので、アメリカの景気後退がやってくることは間違いないだろうと私も思っています。

しかし、失業者の増え方を見ていると、景気後退の時期は2023年半ばではなく、2023年後半から終盤にかけてなのではないかという気がしています。


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