【透徹した歴史観のない政治がたどる道 ~ 繰り返される過ち 智恵のない権力者たち の巻】
大臣は禄を重んじて諫めず
小臣は罪を恐れて申さず
「平家物語」
身分の高い大臣は
家禄が召し上げられるのを恐れては
天子を諫めることをしない
身分の低い小臣は
処罰されることを恐れては
意見を述べない
誰もが保身に汲々として
「事なかれ主義」である
◇
比叡山と院の庁との対立に際し
寵臣の言に左右されて
対策を誤る院に対して
直言する者がいない状況を述べるくだりがある。
権力者の支配下にあって
その意思に逆らうまいと
小心翼々と我が身を守ることに腐心する臣たち。
阿諛迎合する臣の集団となり果てては
ついには権力機構事態の腐敗を招き
滅亡の道を歩み始めるのであるーー。
史書にはこうした話が珍しくない。
紀元前の「前漢」の故事説話集「説苑(ぜいえん)」に
「それ大臣は禄を重んじて極諫せず、
近臣は罪を畏れて敢えて言わず、
左右小官を顧寵して君知らず、
これ誠に患(うれい)の大なるものなり」
とある。
このあたりが出典とされるのだから
少なくともさかのぼること二千年、
こうしたことを
繰り返してきたのである。
世を治めようというもの
こういった歴史を
学んだことがないのか。
学ぼうとさえしていないのか。
権力は、退屈凌ぎの玩具であってはならぬ。
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