何らかのトラブルや人員整理の末に退職することとなった場合、「退職合意書」を結ぶことがあります。
個々のトラブルごとに、退職合意書に盛り込むべき事項は異なってきますが、どのようなケースでもおおむね重要となる「退職合意書」のポイントについて解説します。
・退職日
当然のことではありますが、何年何月何日付で雇用契約を終了するのか、退職日を明確にする必要があります。
・退職理由
離職証明書に記載する離職理由に関して、いわゆる「自己都合」なのか「会社都合」なのかを明確にしましょう。
・最終出勤日、引継ぎ、有給の消化/買取
「退職日」は必ずしも「最終出勤日」とイコールではありません。
最終出勤日以降退職日まで、残っている有給(年次有給休暇)を消化する場合もありますし、何らかの事情により、会社から自宅待機を命じられる場合もあるでしょう。
そこで、必要な場合には、「退職日」と併せて、「最終出勤日」も確認しておきましょう。
そして、引継ぎでもめそうな場合には、最終出勤日までに退職者にて行うべき引継ぎ業務やその方法等についても、確認しておくとよいでしょう。
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また、いつからいつまで有給を取得するのかや、有給の買取を行う場合はその点についても確認することが考えられます。
・残った私物の取り扱い
原則としては、最終出勤日までに、会社立会いの下、退職者本人にて会社に残っている全ての私物を持ち帰るのがよいです。
しかし、何らかの事情により、会社に行くことが困難な場合等については、会社に残っている私物について、所有権を放棄する等、退職合意書にて確認することが考えられます。
・貸与品の返却
会社から退職者に貸与されている物品について、きちんと返却したことが明らかになるよう確認しましょう。
・退職後の秘密保持義務、競業避止義務
会社は、退職後も、在職中に知り得た秘密を第三者に漏らしたり、退職者自身の事業のために利用したりしないよう、退職者に対し、退職後の秘密保持義務を課そうとしてくることが多いです。
また、退職後、競業他社への転職等を禁じる旨の競業避止義務を課そうとすることもよくあります。
このような条項が退職合意書や退職時誓約書に盛り込まれている場合には、内容をよく確認しましょう。
・口外禁止条項
「退職合意書」は、何らかの事情によりトラブルになった末に、締結することが多いものです。
とすると、従業員側としても、トラブルの内容や、解決までの経緯、顛末について、他の従業員や、社外に漏らされたくないと考えることがあると思います。
このような場合、会社にとって不利益な情報や、この退職合意書の内容、存在自体を、他の従業員や社外の人に口外しないよう、口外禁止条項を設けることが考えられます。
・清算条項
清算条項とは、「本合意書に定めるほか、会社と退職者との間に何らの債権債務がないことを相互に確認する」などといった条項のことです。
この条項を設けることで、会社からの損害賠償請求等を防ぐ等、会社とのトラブルに終止符を打つことができます。
他方、この条項を設けると、会社に対し、未払い残業代の請求等をすることもできなくなってしまいます。
清算条項を設けるかどうかやその内容は、慎重に判断しましょう。
会社との間で退職に関しトラブルになっている場合、又はなりそうな場合は、お早めに弁護士に相談してくださいね。
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