「徳川家康と小田原・江戸」小田原北条氏誕生500年記念シンポジウムの感想

小田原北条氏誕生500年記念シンポジウム「徳川家康と小田原・江戸」

訪問日:2023年3月25日
今年(2023年)は、北条氏綱が伊勢から北条に改称して500年という記念の年となりますので、いくつかのイベントが企画されています。その第一弾として、小田原北条氏誕生500年記念シンポジウム「徳川家康と小田原・江戸」が小田原城三の丸ホールで開催されることとなりました。小田原北条家ファンとしては見逃せないイベントですので、早速申し込みをし、当日訪れました。

シンポジウムは
・黒田基樹「徳川家康と小田原北条氏」
・芝裕之「徳川家康と江戸幕府」
・後藤宏樹「徳川家康と江戸城」
・諏訪間順「大久保忠世・忠隣と小田原城」
・パネルディスカッション
から構成されており、これらの中から黒田先生の講演で印象に残った箇所を書きたいと思います。

伊勢から北条への改姓

黒田先生の講演の前に、小田原城天守閣学芸員の岡潔さんから本シンポジウムの趣旨説明があり、
・この日に改姓したという史料は見つかっていないが、発見された史料において、伊勢氏綱と名乗った最後のものは大栄3年(1523年)6月12日、北条氏綱と名乗った最初のものは同年9月13日なので、この期間に改姓したと考えられる。

これは北条家ファンとしては、覚えておきたいですね。

徳川家康と小田原北条氏

・北条家と徳川家は一般にライバル関係のように思われているが、婚姻以降、一心同体となった。
・北条家、今川家、武田家の三国同盟は一般に甲相駿三国同盟と呼ばれているが、これは武田家の研究者の数が一番多く、彼らがそのように呼んでいるからであり、本当は今川家が一番格上なので、駿甲相三国同盟と呼ばれるべきである。
・永禄5年将軍足利義輝は今川氏真と松平元康に和睦を命じる御内書を出し、北条氏康と武田信玄にも和睦周旋を命じる。北条氏康は氏真から自身出陣による援軍を求められており、それに応じる意向を伝えた上で氏真と和睦するように酒井忠次と水野信元に働きかけている。

松平元康はこれを無視し、氏康も出陣することはなかったそうですが、もし氏康が出陣していれば信玄も出陣していたかもしれず、そうなれば信長も出陣せざるを得ず、結果、織田・徳川対今川・北条・武田になり、それ以降の歴史が大きく変わっていたかもしれません。

・信玄が駿河を攻めた時、早川殿は輿に乗らずに逃げ、これは信玄が早川殿、すわなち北条家の身分をおろそかにしたと考え、氏康は氏真の味方をした。

早川殿のことを可哀想に思い今川の味方をしたと思っていましたが、早川殿個人ではなく北条家に対する侮辱だと考えたのだと分かりました。

・天正7年、北条家は御館の乱で関係が悪化した武田家と手切れになり、徳川家と最初の同盟を結んだ。当時の徳川家は織田政権に従属する織田大名の立場にあったので、独自の外交をおこなえず、信長の承認を必要としていた。氏政から信長に使者が派遣され、信長に従属を表明する。

北条家が織田家に従属したのは知っていましたが、その理由が徳川家と同盟を結ぶには織田大名になる必要があったとは知らず、印象に残りました。

最後に

パネルディスカッションにおいて、北条五代が大河ドラマになるには何が必要かという話題になり、黒田先生が継続してイベントを開催し、北条氏に対する理解を深め、多くの人が北条家の大河ドラマを見たいと望むようになればよいとおっしゃられ、そのとおりだなと思いました。小田原市には今後も継続してこのようなシンポジウムを開催してほしいですし、私も可能な限り参加してその魅力をブログをとおして伝えていきたいと思います。

三の丸ホールから見た小田原城

小田原城三の丸ホールには初めて訪れました。ホール2階から見る小田原城の景色は新鮮でした(晴れていればなお良かったのですが)。


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