教員採用試験では、教職教養と一般教養があります。
この記事では教職教養の教育心理学の分野である学習の理論の中の「動機付け」をご紹介します。
学習の理論 動機付け 教育心理
動機付け(モチベーション)は、「行動の原因となって行動を始動させ、目標に向かわせる力」と定義されます。意志や意欲を示す心理学的概念です。
動機付けの基盤には欲求が存在し、動機付けは行動の種類や原因などによって分類分けがあります。
この記事では、その中の内発的動機づけと外発的動機づけ、達成動機と新和動機をご紹介します。
※こちらの記事は下記書籍を参考に作成しています。
外発的動機づけと内発的動機づけ
学習への動機づけは、外発的動機づけと内発的動機づけに分けることができます。
外発的動機づけは、学習内容とは直接関係がない外部の目標があり、学習活動はそれを達成する手段となっている場合の動機付けのことを指します。例えば、受験勉強や成績などがこの例です。
内発的動機づけは、学習活動自体が目的となるものです。興味や関心があり学習が楽しいと感じられる状態を指します。
感覚刺激やその変化を求める感性動機、新しい刺激を求める好奇動機、ものを操作しようとする操作動機、頭を使おうとする認知動機など、動機はさまざまなものがあります。
アンダーマイニング効果と自己決定理論
内発的動機づけによって物事に取り組んでいる子供に予告をした上で外的な報酬を与えると、興味関心が低下するという現象があり、それをアンダーマイニング効果とデシが名付けました。
反対に報酬によって結果的に内発的動機づけが高まることをエンハンシング効果と呼びます。
グリーンとレッパーは、課題に取り組む人が報酬をもらうことであたかもその報酬のために自分が課題に取り組んでいるかのように感じてしまう点に注目し、この現象を過正当化効果と名付けました。
達成動機と新和動機
社会生活を通して獲得される動機づけを社会的動機づけと呼びます。社会的動機付けの種類や強さは時代や文化によって変化し、個人差も大きいと言えます。TAT(主題統覚検査)の開発者であるマレーは、20以上の社会的動機付けを挙げています。
その中で、日常的な意欲に近い概念として注目されているのが「達成動機で」す。これは、成功しようとする動機のことで、達成動機の高い人は、成功できる可能性が50%くらいのような中程度の困難な課題を選択して取り組む傾向にあるのに対して、低い人は失敗やそれに対する恥を回避しようとして、絶対に失敗しないような簡単な課題か、失敗しても当然であるような極度に困難な課題を選択する傾向があるそうです。
社会生活を営む上で愛情のこもった友好的な関係を保って人に接しようとする動機のことを「新和動機」と呼びます。
以前は新和動機は達成動機と対立するものとして捉えられていましたが現在は自分なりの基準で成功を目指す意味で、新和動機も達成動機だと捉えられることも多く、その場合いは他者とのコミュニケーションが達成にとって重要となります。
ヤーキーズ・ドッドソンの法則
動機づけが高いほど学習成績が高くなると考えられがちですが、ヤーキーズとドッドソンは、課題の難易度に応じて最適な動機付けの水準があると考えました。
ある程度までは動機付けの強さに比例して成績が向上しますが、最適水準を超えて動機づけが強くなりすぎると、かえって成績が低下するという考え方です。
一般に、易しい課題は最適水準が高いので、強い動機づけが好成績をもたらすことが多いですが、難しい課題では、逆に最適水準が低めで、あまり強くない動機付けの方が効果的だと言われています。
終わりに
この記事では、教員採用試験の教職教養の分野である教育心理学の学習の理論の中の「動機づけ」についてご紹介しました。
内発的動機づけと外発的動機づけ、達成動機と新和動機をしっかりと抑えることが大切かなと思います。
※こちらの記事は下記書籍を参考に作成しています。
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